酉年にちなんで
「酉≒鳥あれこれ」
2017年,平成29年の干支は酉。酉はニワトリのことを指すが,30〜40年位前までは自宅でニワトリを飼育している家庭が数多く有り,早朝ニワトリの鳴き声をよく耳にしたものだった。ところが近年,騒音や鳥インフルエンザの影響等もあってか,全く耳にしなくなってしまった。また,小学校や幼稚園・保育園等でも子供達が当番制で飼育したりしていたが,そのような光景も全くなくなってしまった。そこで「酉≒鳥」と広義に解釈して,観音崎と周辺地域及び我が家で目にする鳥に因んだあれこれを思いつくままに並べあげてみた。ご笑覧頂ければ幸いである。 |
神社関連あれこれ 鳥 居 神 輿 山 車 酉 の 市 |
破 魔 矢 |
絵 馬 |
土 鈴 |
野 鳥 |
植 物 |
昆 虫 |
海の生き物 |
お年玉切手シート |
「とり」の大看板 |
風見鶏 |
我が家のグッズ |
<余談-1> 烏鷺の争い |
<余談-2> 伊藤若冲の鶏図 |
<余談-3> 若冲と手塚治虫 |
|
|
|
|
鳥居とは,神社などにおいて神域と人間が住む俗界を区画するもので,神域への入り口を示す一種の門のこと。語源については,鶏の止まり木を意味する「鶏居」を語源とする説もあるようだが,諸説有り不明。 | |
走水神社・初詣の朝 |
|
鴨居八幡神社・さいと焼きの朝 |
|
東叶神社・例祭の朝 |
|
|
|
神輿の屋根の天辺には大鳥の鳳凰。屋根の四隅には小鳥の鳳凰または燕がついている。鳳凰は中国で古くから尊ばれた想像上の鳥。鳥類の長とされる存在で,神輿の天辺にはほぼ100%鳳凰が燦然と輝いている。 | |
観音崎自治会の神輿 |
|
脇方町内会・神輿の小鳥(鳳凰) |
|
|
|
山車の懸魚(げぎょ)と呼ばれる部分には,縁起が良いといわれる動物の木彫が取り付けられるのが一般的。その中でも多いのが鳳凰と龍で,観音崎及び周辺地域の山車のほとんどがこのどちらかである。尚,上町の山車には金鵄(トビ)のついた杖を持った神武天皇の人形が祀られていて,以前は本祭りの時,屋外展示されていたが近年は展示されなくなってしまった。 | |
走水・上町の山車:内部に神武天皇の人形 |
|
屋外展示された神武天皇の人形と金鵄(トビ) |
|
上町山車の懸魚彫刻は鳳凰 |
|
八幡神社・東町山車の懸魚彫刻 |
|
|
|
酉の市は,例年11月の酉の日に鷲神社・大鳥神社など鷲や鳥にちなむ寺社で行われる祭りで,お酉様・大酉祭などともいわれている。酉の日は2回か3回あり,2回の時は二の酉,3回の時は三の酉といわれている。 「三の酉のある年は火事が多い」と言われているが,浅草・鳳鷲神社のホームページに興味深い記述があったのでご紹介させていただく。尚,由緒等の詳細は同ホームページをご参照下さい。 『これは地方などに宵に鳴かぬ鶏が鳴くと「火事が出る」といわれたことから出た俗信です。鶏は神の使いであるとされ「時」を知るために飼われました。三の酉の頃になると次第に寒さを増し、火を使う機会も増えることから火に対する戒め、慎みからいわれたのでしょう。』 しかしながら,観音崎周辺地域では鴨居八幡神社と西叶神社に合祀されている大鷲神社で例年行われているが,どちらも1回だけ酉の日以外に開催されている。鴨居八幡神社は11月下旬頃,大鷲神社は例年12月13日に酉の市が行われている。 |
|
鴨居八幡神社の酉の市 |
|
西叶神社・大鷲神社の酉の市 |
|
|
2017年(平成29年) 鴨居八幡神社 |
|
|
西叶神社の説明板 |
|
|
|
2017年(平成29年) 西叶神社 |
|
|
|
観光旅行へ出かけた時,神社仏閣や土産物店で土鈴が置いてあることが多い。我が家では地元の鴨居八幡神社へ初詣で出かけた時や,観光旅行先等で土鈴を買ってくるのが習慣になっている。ここではこれ迄に買い求めたニワトリの土鈴をいくつかご紹介したい。 | |
西叶神社の説明板 |
|
2017年(平成29年) 鴨居八幡神社 |
|
2017年(平成29年) 東叶神社 |
|
2017年(平成29年) 西叶神社 |
|
2005年(平成17年) 鴨居八幡神社 |
|
2005年(平成17年) 川崎大師参道のお土産店 |
|
|
自然に恵まれた観音崎及び周辺地域には数多くの野鳥たちが生息。冬には北の国から冬鳥が,夏には南の国から夏鳥が飛来する。それもあって観音崎では一年を通じてバードウォッチングを楽しむことができる。ここでは比較的目にする機会が多い野鳥たちをご紹介したい。 | |
トビ(鳶) |
|
キジバト(雉子鳩)/別名:ヤマバト(山鳩) |
|
コゲラ(小啄木鳥) |
|
ウミウ(海鵜) |
|
アオサギ(青鷺) |
|
ヒヨドリ(鵯) |
|
カワセミ(翡翠) |
|
ホトトギス(時鳥・杜鵑) |
|
|
ハゲイトウ(葉鶏頭) |
|
オオキンケイギク(大金鶏菊) |
|
カラスウリ(烏瓜) |
|
ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸) |
|
ホトトギス(杜鵑草) |
|
オリヅルシダ(折鶴羊歯) |
|
セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草) |
|
|
オオスズメバチ(大雀蜂) |
|
カラスアゲハ(烏揚羽蝶) |
|
ムラサキツバメ(紫燕蝶) |
|
ツバメシジミ(燕小灰蝶) |
|
キイロスズメ(黄色雀蛾) |
|
トビイロトラガ(鳶色虎蛾) |
|
トビモンオオエダシャク幼虫(鳶紋大枝尺蛾) |
|
|
ウミフクロウ(海梟) |
|
ウノアシ(鵜の足) |
|
|
1969年(昭和44年) |
|
1981年(昭和56年) |
|
1993年(平成5年) |
|
2005年(平成17年) |
|
|
例年,西叶神社近くにある西源材木店の店頭には,商品の材木を並べて立てかけ,カラースプレーで絵と文字を書いたと思われる新年挨拶の大きな看板が飾られる。普通,店舗や施設の新年挨拶はA4かA3サイズの用紙が使用されているが,西源材木店の店頭に飾られるそれは,畳十畳くらいはある超特大サイズ。カラースプレーで一気に書き上げたと思われるが,なかなか見事な出来映えで,西叶神社へ初詣に訪れた人たちが,その前で代わる代わる記念写真を撮っている姿が微笑ましい。 | |
|
|
観音崎公園近くの瀟洒な洋館の屋根の上には,この辺では珍しい風見鶏が取り付けられている。重厚な煉瓦造り風の建物は,有名な神戸の風見鶏の館を想起させる。 風見鶏は鶏の向く方向によって風向を知ることができる風向計のことだが,「日本語大辞典」によれば「定見がなく,周囲の意向に合わせ,処世をはかる人」の意味もある。戦後の日本政界で「風見鶏」と呼ばれた総理大臣がいたが,現在の政界には個人に限らず,団体として常に「世論」という風向きを読み,上手に政界のキャスティングボートを握っている政党もあるから恐れ入る。 |
|
|
|
北海道・摩周湖土産のフクロウの木彫 |
|
ライチョウの土鈴 |
|
1万円札裏面の鳳凰 グッズとして沢山収集したいがなかなか貯まらない! |
|
|
|
群鶏図(伊藤若冲) |
鳶烏図(与謝蕪村) |
|
タンチョウヅル(丹頂鶴) 岡山後楽園 |
ハハジマメグロ(母島目黒) 自然保護 |
|
ルリカケス(瑠璃懸巣) |
ライチョウ(雷鳥) |
|
キジバト(雉子鳩) |
コウノトリ(鸛) |
|
ウグイス(鶯) |
ホオジロ(頬白) |
|
|
角川書店 1988年発行 |
|
平凡社 2016年発行 |
|
宝島社 2016年発行 |
|
|
「烏鷺の争い」という諺がある。囲碁の黒石を「烏」,白石を「鷺」に見立て,囲碁で勝負を争うことをいうが,その囲碁の世界に昨年三月大きな衝撃が走った。 英グーグル・ディープマインド社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」が,韓国のプロ棋士イ・セドル九段との五番勝負に4勝1敗で勝利したのだ。イ・セドル九段は韓国の誇る世界最強の囲碁棋士の一人で,1996年プロに昇段して以降,世界棋戦で18回のチャンピオンに輝いている強豪。 日本の棋士はこの10年間で,昨年,国内七大タイトルを独占した井山裕太棋聖が2013年に,日本・中国・韓国の棋士による国際棋戦「テレビ囲碁アジア選手権」で優勝した1回だけなのだ。イ・セドル九段の実力は世界が認めるところ。その棋士がコンピュータに負けるとは誰もが予想だにしなかった。私も楽勝するものと信じていた。 囲碁は創造的,戦略的思考を必要とするゲームでチェスや将棋に比べて局面のパターンが遙かに多いため,人間に勝つのが最も難しいゲームとされてきた。チェスでは1997年にコンピュータが世界チャンピオンに勝利して,今ではチェスはコンピュータが人間を超えたといわれているが,囲碁でコンピュータが人間を追い越すにはあと15〜20年位はかかるだろうと言われていた。 将棋でもコンピュータの進化は日進月歩。近年は一流プロ棋士達でも劣勢になり,既に超えていると言っても過言ではない。羽生善治元七冠や渡辺明竜王はいまだに対戦したことが無いので,コンピュータが全てのプロ棋士を超えたとは断言できないが,将棋の賞金額トップ竜王戦挑戦者に決定していた三浦九段が,将棋のスマホ・ソフトを不正使用したとされる疑惑で,公式戦の出場停止処分を受け竜王戦挑戦者を取り消された。 その後,日本将棋連盟が第三者調査委員会を設置。昨年末,不正使用の証拠はないと結論付けた報告書が提出されたことから,同連盟は三浦九段に謝罪した上で,処分を取り消してこの1月から復帰することになった。しかしながら,このような問題が発生すること事態,将棋でコンピュータが人間を超えた証のように思えてならない。 |
|
黒 番 |
|
かく言う私は囲碁のアマ六段。いかにも強そうだが,プロとアマの段位の実力はそれこそ段違い。仮にプロの初段と対戦したとしても,残念ながら簡単にひねられてしまうだろう。そんな私でも,つい3〜4年位前までは市販の囲碁対局ソフトは相手にならいほど弱かったが,今ではほぼ私くらいの実力あるいはそれ以上に進化しているようだ。 チェス・将棋・囲碁等の知的ゲームを制覇した人工知能AIは,私たちの生活の中でも徐々に浸透してきている。身近なものでは自動掃除機・カーナビ・万国語翻訳機等々,最近では自動運転車が話題に上っている。いつの日かSF映画やアニメの世界のように,人工知能が人間を支配する時代が来るのだろうか?いたずらに恐れることは無いと思うが,それを悪用する人間が現れることが無いことを祈りたい。 |
|
|
昨年,東京都美術館において「生誕300年記念 若冲展」が開催されたが,大変な盛況で大混雑だったらしい。待時間1〜2時間は当たり前,4〜5時間の日もあったという。私も行ってみたいと思っていたが,あまりの混雑ぶりに恐れをなして,テレビや雑誌を眺めて我慢した。 若冲の人となりや絵の魅力は語り尽くされているので省略するが,鳥の絵が多いことに驚かされる。鶏・鶴・鷺・孔雀・鷹・錦鶏・鴛鴦・鵞鳥・七面鳥・鸚鵡・雁・鳩・鶯・目白・雀そして鳳凰等々,その数は20種類は超える。 それらの鳥の中でも鶏の絵が際立って見える。数の多さ,絵の精緻さ,色彩の鮮やかさ等,異様なまでの美しさには見るものを圧倒する迫力がある。若冲が「鶏の画家」と呼ばれる所以だろう。今年は「酉年」,若冲人気は昨年以上に大フィーバーするのではないだろうか。 |
|
旭日雄鶏図 |
|
南天雄鶏図 |
|
群鶏図 |
|
|
昨年末の12月22日,夕食後テレビをつけたところ,伊藤若冲の絵がいきなり目に飛び込んできた。新聞の番組表を見るとBS朝日の「天才絵師
‘伊藤若冲’の謎 波乱生涯ドキュメント」という番組だった。 MCは生物学者の青山学院大学 福岡伸一教授。興味をそそられ見ていると「若冲のことを見ていたら,手塚のことを思い出した。」「伊藤若冲と手塚治虫は非常に似た感覚で生物のことを見ていた。ふたりには幾つかの共通点がある。」と語る。 |
|
ふたりの天才が似ているのは「絵が好きで,生物が好き」「配置と構図の妙」そして「時代背景」にあると教授は語る。確かに二人の絵には数多くの生物が描かれている。また,配置や構図がそれ迄の画法に縛られず斬新である。 |
|
ふたりには「制約を受けずに自由に絵を描きたい。」という強い憧れがあったが,時代背景がそれを許してくれなかった。若冲は彼が23歳の時,父が急逝。家業の青物問屋を継ぐことになり,絵はあくまでも余技として学び描く程度。40歳を迎えた時,家督を弟に譲りようやく作画三昧の生活に入ったという。一方,手塚は太平洋戦争という荒波に翻弄された時代に育ち,絵を描く自由を奪われた。 『ふたりの「自由に絵を描きたい!」という強い憧れと願望。ふたりの自由への憧れの象徴,それが「鳥」だったのではないか?そして若冲は「鳳凰」,手塚は「火の鳥」を描いたのではないか?過去・現在・未来,人々の「不老不死性」への憧れ,ふたりの天才から永遠の命を与えられた二窒ヘ,時空を超えた名作として今も羽ばたいている。』と教授は語っている。 ドキュメンタリーはCMを含めて二時間の番組。その中で若冲と手塚治虫の話は6〜7分程の短い時間だったが,私にはこの二人についての話が強く印象に残った。若冲は北斎と並んで私が大好きな天才絵師。手塚治虫は比類無き存在の天才漫画家。ところが私はこれ迄,二人を結びつけて考えたことが無かった。福岡教授の慧眼には脱帽である。 |
|