辰年にちなんで
「龍あれこれ」

 2012年(平成24年)/2024年(令和6年)の干支は辰(龍)。年末から年初にかけ,新聞・テレビ等で,龍にちなんだあれこれが紹介されていた。私も遅ればせながら,観音崎とその周辺地域及び我が家のあれこれを物色してみたところ,思いの外,数多くのものがあるのに驚かされた。

 龍は中国の伝説上の生き物で,南宋時代の博物誌『爾雅翼』では,龍の角は鹿,頭は駱駝,目は鬼あるいは兎,身体は蛇,腹は蜃(シン),背中の鱗は鯉,爪は鷹,掌は虎,耳は牛にそれぞれ似るという。また口辺に長髯をたくわえ,喉下には一尺四方の逆鱗があり,顎下に宝珠を持っていると言われる。……フリー百科事典「ウィキペディア」

(注)腹の蜃(シン)とは蜃気楼を作り出すといわれる伝説の生き物。古代の中国と日本で伝承されており,巨大なハマグリとする説と,龍の一種とする説がある。

神社仏閣等の彫刻
漆喰鏝絵
龍神の噴水
破 魔 矢
絵  馬
土  鈴
お年玉切手シート
「龍」の大看板
高松塚古墳保存基金切手
植  物
動  物
我が家のグッズ
番外-1・・・横濱中華街
番外-2・・・成田山新勝寺 
神社仏閣等の彫刻
浦賀港周辺の神社仏閣等には龍の彫刻が多数見受けられるので
初詣に巡るのも一興
西叶神社
    
 西浦賀にある西叶神社の社殿彫刻は,現在の社殿が天保十三年(1842)に再建された時に施された彫刻で,虹梁(コウリョウ),欄間,拝殿の格天井(ゴウテンジョウ),木鼻(キバナ)など総数230点を超す。これらの彫刻は横須賀市の市民文化資産に指定されている。

 社殿の再建に要した費用は約三千両と記録されているが,彫刻に要した費用は,総建築費の約七分の一にものぼる約四百十一両(現在の貨幣価値で三千万円〜四千万円相当)でした。奉行所が置かれ,廻船問屋が軒を連ねていた隆盛期の浦賀であったからこそできたと思われます。

 作者は,のちに名工とうたわれた安房国千倉(現在の千葉県)の彫刻師・後藤利兵衛橘義満,当時,20代の若さであったといわれている。利兵衛は龍の彫刻を得意とし,西叶神社の社殿には39点の龍の彫刻が残されているが,刻彫後170年を経た現在も,見るものを圧倒する迫力がある。

社殿正面欄間

社殿右側欄間

社殿左側欄間

拝殿の格天井

格天井の彫刻−1

格天井の彫刻−2
 社殿後部側面の木鼻(キバナ)と呼ばれる木の端には左右4点ずつ,合計8点の龍の彫刻が施されていたが,右側面の1点は欠落して現存しない。画竜点睛を欠く感があり惜しまれる。

木鼻−1

木鼻−2
  
 手水舎の欄間にも龍の彫刻が施されているが,この彫刻の歴史は新しい。手水舎は昭和五十六年(1981年)創建800年を記念して再建されたので,この彫刻は後藤利兵衛のものではない。
東耀稲荷
    
 東浦賀・顕正寺の門前近くに鎮座する東耀稲荷は,道路から見上げても繁茂する蘇鉄に遮られて社殿が見えないほど小さなお稲荷さん。ところが,狭く短い階段を上がり,間近に見る社殿は,ドッシリとした重厚感さえ漂っている。

 東耀稲荷の創建は天明二年(1782年)。欄間,格天井,懸魚(ゲギョ)など,随所に見事な龍の彫刻が施されている。また,屋根には恵比寿と大黒天の飾り瓦がのり,江戸時代,干鰯(ホシカ)で栄えた東浦賀の繁栄ぶりを今に偲ばせてくれる。この社殿は横須賀市の市民文化資産に指定されている。

(注)懸魚(ゲギョ)は妻の破風板の下にあって,棟木や桁の木口を隠す飾り板。建物が切妻屋根か入母屋造りの屋根であれば必らずついている。
 

社殿裏の欄間

社殿左の欄間

社殿右の欄間

屋根下の懸魚(ゲギョ)

格天井
(横須賀市の案内板から転載)
鴨居・能満寺
    
 久し振りに鴨居の能満寺へ行き,本堂と薬師堂の欄間に龍の彫刻が施されているのに気づいた。制作年代や彫刻師の名前は不明だが,本堂のそれは西叶神社の社殿彫刻師・後藤利兵衛橘義満に似た作風で,ヒョッとすると彼の作品かもしれない。薬師堂の彫刻はそれに比べると小ぶりで,彼の作ではなさそうだが,龍虎が睨み合っている構図が珍しい。
2012.3.12

本堂の欄間彫刻

薬師堂の欄間彫刻
漆喰鏝絵
    
 東浦賀にある八雲神社には龍の漆喰鏝絵(シックイコテエ)がある。左官職人が,土蔵などの壁の仕上げに鏝と漆喰で作り上げたレリーフを鏝絵と呼び「三浦の善吉」として「伊豆の長八」とともに,漆喰細工の名人として全国的に知られる石川善吉48歳時,明治35年(1902)の作品。「向背の龍」と呼ばれるその作品は,木彫り彫刻?と見紛う,見事な出来栄えの漆喰細工で,全国的にも珍しい存在と思われる。
  

正面
 

背面
龍神の噴水
 
 東浦賀にある東叶神社の手水舎と身代り弁天社の鳥居脇の手水鉢には,ブロンズ製?龍神の噴水が設置されている。人の気配をセンサーで感知して,人が近づくと放水を始め,遠ざかると止まる。最近設置された量産品と思われる。
 

手水舎の龍神
 

手水鉢の龍神
 
破 魔 矢
  

西叶神社の説明板
 
2024(令和6年)  鴨居八幡神社





絵  馬
 

西叶神社・説明板
 

2024(令和6年)  鴨居八幡神社
  

2024(令和6年)  西叶神社
 

2024(令和6年)  東叶神社
 
土    鈴
  

西叶神社の説明板

2024年(令和6) 鴨居八幡神社

2024年(令和6年) 西叶神社
 

2024年(令和6年) 西叶神社

2012年(平成24年) 鴨居八幡神社

2000年(平成12年) 鴨居八幡神社
 

2000年(平成12年) 川崎大師参道のお土産店
 

2000年(平成12年) 川崎大師参道のお土産店
 

2000年(平成12年) 川崎大師参道のお土産店

不明
 

不明
お年玉切手シート
    
 お年玉付年賀はがきの賞品「お年玉切手シート」の絵柄は,年によって異なるが,干支の郷土玩具が多い。我が家には昭和39年(1964年)以降の辰年の切手シートが5種類保存されていた。
 
龍神と辰
1964年 (昭和39年)
 
たつぐるま
1976年 (昭和51年)
  
倉敷はりこ
1988年 (昭和63年)
   
からつ曳山人形・七宝丸/常石張子・辰
2000年 (平成12年)
   
相模土鈴・頭竜/土佐和紙雁皮張り子・龍
2012年 (平成24年)
 
 
束ね熨斗
2024年 (令和6年)
 

お目出度いデザインだが,龍の姿がどこにも見当たらないのが残念!
高松塚古墳保存基金切手・東壁龍
    
「龍」の大看板
 
 例年,西叶神社近くにある西源材木店の店頭には,商品の材木を並べて立てかけ,カラースプレーで絵と文字を書いたと思われる新年挨拶の大きな看板が飾られる。普通,店舗や施設の新年挨拶はA4かA3サイズの用紙が使用されているが,西源材木店のそれは,畳十畳くらいはある超特大サイズ。カラースプレーで一気に書き上げたと思われるが,なかなか見事な出来映えで,西叶神社へ初詣に訪れた人たちが,その前で代わる代わる記念写真を撮っている姿が微笑ましい。
  

 
 
植   物
   
リュウゼツラン(舌蘭)
 
葉の形を龍の舌に見立てた
 
リュウノウギク(脳菊)
 
葉をもむと龍脳樹という樹木 から採れる香料に似た香りがする
 
リュウノヒゲ(の髭)
 
葉の形状が龍の髭を思わせる
 
フデリンドウ(筆胆)
 
龍の胆は苦いと言われ,リンドウの根も苦味が強い
 
キンミズヒキ(漢名:牙草)
 

果実の刺毛が内側に曲がった姿から龍の牙を連想

 

ハダカホウズキ(漢名:珠)
 
赤い果実が龍の目のようだから
 
ヒガンバナ(漢名:爪花)
 
花が龍の爪のようだから
 
アマモ(別名:龍宮の乙姫の元結いの切り外し)
 
日本一長い名前の植物:リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ
 
動    物
    
タツノオトシゴ(の落し子)
 
龍に子どもがいたら,こんな姿であろうということで名づけられた

<観音崎自然博物館>
 
イセエビ(漢名:蝦)
 

<観音崎自然博物館>
    
トカゲ・カナヘビ・ヤモリ
神の使いと言われて,縁起の良い生き物とされています
  
ニホントカゲ(日本蜥蜴)
 
ニホンカナヘビ(日本金蛇)
 
ヤモリ(家守・守宮)
我が家の龍グッズ
 
 我が家にはどんな龍グッズがあるだろう?納戸,押入や成人して独立した息子達の空き部屋など,さほど広くない我が家の中を思いつくままに物色してみた。
 

常滑焼 置物
 

龍凧

飯塚羚児画伯の色紙「龍」
平成12年(2000)辰年書

三崎・海南神社の宝船

東京湾産サンゴ
地元漁師の地引き網にかかったサンゴに青のビーズを入れてみた
龍or蛇のように見える

龍の文鎮

ファミコン版「ドラゴンクエスト」

ドラゴンボール第一巻
(番外-1)横濱中華街の龍
 
 1月26日(木)家内の誕生祝いを兼ねて横濱中華街へ行き,昼食をすることにした。横浜球場に近い善隣門から入門。門を何気なく見上げると,「中華街」と描かれた額の周辺や,あちらこちらに龍の彫刻が施されたり,絵が金銀の絵の具?で描かれていた。

 入門後,先ずは關帝廟と媽祖廟へ初詣したが,それぞれの門や神殿にもおびただしい数の龍の彫刻や絵が施されていたのにはビックリ。これまで気づかなかったのが不思議なくらいの多さだ。そのいずれもがカラフルに彩色され,日本の社殿彫刻とは著しく異なり,異国情緒を醸し出していた。

 参詣後,昼食する店を探しながら中華街をぶらついたが,平日にもかかわらず相変わらずの人出。多いのも道理1月23日から2月6日までは旧暦の正月にあたる春節。中華圏で最も重要とされる祝祭日で,期間中は様々なイベントが開催され,2月4日(土),5日(日)には龍舞も披露されると聞く。
2012.2.3
  
善 隣 門
 

額の周囲には無数の龍の彫刻
横濱関帝廟
   
横濱媽祖廟
    
龍  舞
 

横濱中華街「春節ポスター」から転載
(番外-2)成田山新勝寺の龍神
 
 2012年(平成24年)3月家内と房総半島一週ドライブに出かけた。一日目は横須賀〜横浜ベイブリッジ〜海ほたるを経由して木更津の「龍宮城スパ・ホテル三日月」に一泊。二日目,最初に立ち寄ったのが成田山新勝寺。

 成田山新勝寺の開山は平安時代中期の天慶3年(940年)。不動明王を御本尊とする由緒ある大寺院。境内には不動明王の他に四大明王・聖徳太子・虚空菩薩・千手観音・弁財天・稲荷・龍神・鳳凰等々の多数の神仏や眷族が祀られた御堂やブロンズ像が点在している。初詣の参拝客数は明治神宮に次いで例年全国第二位。節分には歌舞伎の(成田屋)市川団十郎や大相撲力士・人気芸能人等が派手に豆撒きをする姿をテレビや新聞でご覧になった方も多いと思う。

 境内はあまりにも広大なこともあり大本堂参拝後,国の重要文化財に指定されている釈迦堂・三重塔・仁王門・額堂等を見学したが,到る所に龍神の彫刻が施され,ブロンズ像が多数設置されているのには驚かされた。帰宅後,撮りためた写真を整理しながら,龍神が多い理由を調べてみたが結局判らずじまい。あるサイトに寄ればその数400以上あることだけが判った。それにしても,1940年(昭和15年)辰年生まれの私が龍宮城に一泊して,二日目に沢山の龍神に出会えるとは。何か良いことがありそうな予感がする。
 
仁王門階段下・手水舎

水口&水盤

水口
   
仁王門階段下・四角形燈籠
   
仁王門・大提灯

仁王門・大提灯下部
   
倶利伽羅龍王の銅像
   
三重塔

三重塔・木鼻の龍神
   
龍神に乗る眷属童子の銅像
  
額  堂

額堂正面左木鼻・龍神
 
額堂正面右木鼻・龍神

額堂右奥木鼻・龍神

額堂左奥木鼻・龍神
   
釈迦堂

釈迦堂正面

釈迦堂正面虹梁・龍神

釈迦堂正面矢切・龍神

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