キンミズヒキ
(金水引)
バラ科 多年草
花 期 :
8〜10月
草 丈 : 30〜80cm
私がキンミズヒキに初めて出会ったのは,一昨年のことだった。観音崎自然博物館で展示する植物を採集中,見慣れぬ可愛い花を見つけ,研究員にお尋ねしてキンミズヒキと知った。 そして昨年7月末,そろそろキンミズヒキが咲く頃と現地へ出かけて驚いた。辺り一帯がまるでゴルフ場のように綺麗に除草されていたのだ。どうやら,公園管理員の方々はキンミズヒキの存在を知らなかったようだ。 その後,顔見知りになった公園管理員の方にキンミズヒキの存在を力説。今年は花の季節が終わるまで,辺り一帯を除草しないようお願いした。ところが7月25日,花の広場へ足を運んで愕然とした。花の広場全体が,昨年同様ゴルフ場のようになっていたのだ。 |
2007.7.25 |
ガッカリしながら,それでも諦めきれず,キンミズヒキが生える辺りへ行ってみると,その辺りの草が刈り残されているのに気づいた。私が除草対象から外すことをお願いした範囲がほぼ刈り残され,近づいてみると,あちこちでキンミズヒキが葉を広げ,顔をのぞかせている。私の願いが管理員の方々に通じたようだ。 観音崎公園では,都市近郊で珍しくなった植物を数多く観察することができる。ところが,種類は多いものの,それぞれの個体数は少なく,中には絶滅したり,絶滅寸前のものもあり,全体として減少傾向にある。 原因としては,心ない希少植物マニア?による盗掘,タラやアシタバのように山菜として新芽を頻繁に摘み取られての枯死等が考えられるが,公園管理員の除草に起因することも少なくない。観音崎公園の貴重な希少植物を次世代に伝えるため,フィールドレンジャーの仲間と共に,管理事務所と協力して保全・増殖する活動を推進したいと計画している。 |
観音崎公園・花の広場の片隅でキンミズヒキが見頃を迎えた。ススキやチカラシバに埋もれそうになってはいるが,金色に輝く小さな花はハッキリとその存在感を示している。名前の由来は,金色の花がついた穂を,お祝い事の熨斗袋(のしぶくろ)につける金色の水引になぞらえたといわれ,漢字で書くと「金水引」,なんとも縁起の良い名前だと思う。 |
2007.10.1 |
キンミズヒキの種子 |
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キンミズヒキ同様,熨斗袋などにかける紅白の水引になぞらえた植物にミズヒキがある。名前は近縁種のように思われるが,キンミズヒキはバラ科,ミズヒキはタデ科で,種は全く異なる。 ミズヒキは半日陰の場所を好み,繁殖力が旺盛で,観音崎公園の全域ではびこっている。ここ数年,縁起の良い植物ということで保護されたためか,所かまわず大繁殖,他の植物を圧倒する勢いで分布域を拡大している。 ミズヒキ同様,保護され分布域を拡大している植物には,トネアザミやヤブミョウガ等がある。これらもほどほどの数の場合は,それなりに美しく存在感があるが,あまり増え過ぎると,目障りでうっとうしい存在に見えてくる。 希少植物は保護しろ!増え過ぎた種はほどほどに除草しろ!とはいささか虫の良い注文だが,この辺りが公園管理の難しさなのだろう。 |
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2004.9.23 |
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2006.9.23 |