イセエビ(伊勢海老)脱皮!

 観音崎自然博物館のボランティアルームに入ると一匹のイセエビが目に飛び込んできた。傍にいた東京海洋大学の実習生の話では,今朝,脱皮したらしい。

 2年前,初めて伊勢エビの抜け殻を見た時,私はてっきりイセエビが死んだものと思い「可哀想なことをしましたね!こんなことなら元気なうちに食べてしまえば良かったですね!」と場違いなことを言ったため,館員やボランティアの先輩達から大笑いされてしまったことを思い出した。
2004.12.7
 イセエビの脱皮は,下記写真の部分,頭胸部と腹部の境目から生身が抜き出て行われる。細いヒゲの先端・手や足の爪先・目玉にいたるまで,どれ一つ欠損することなく脱皮している姿は驚きを通り越して神秘的,且つ芸術的ですらある。
 イセエビは成長するまでに数百回脱皮を繰り返すそうだが,博物館のイセエビは最近では一年に1〜2回のペースで脱皮。展示用飼育水槽の上の壁には,平成14年と15年の抜け殻が展示されているのが興味深い。今回の抜け殻も剥製にして展示されることになるので,来年は3つの抜け殻が並ぶことになる。
 観音崎自然博物館の新館は平成元年にオープンしたが,このイセエビはそれ以前から飼育されていたようで,体長は約30cm,推定年齢は20歳を超えると思われる。

 博物館から東京湾口を望む鴨居沖は、昔からタイの漁場として知られ、その味は極上で江戸城へ献上されていたと聞くが、イセエビの漁場でもあったと聞いたことがある。

 5年ほど前,鴨居漁港の防波堤で釣りをしていた時,釣り船で漁港に引き上げてきた釣り人同士の会話が,なにやら盛り上がっているので駆けつけてみると,一人の釣り人のクーラーから体長50cm位のイセエビがはみ出していた。

 クーラーの持ち主の話によると,タイ釣りをしていたら海底の岩に針がかりしたような感触がしたので,苦労してあげてみるとイセエビが掛かっていたとのこと。こんな外道なら大歓迎である。

 居合わせた漁師のおかみさんによれば,これだけの大物になると?十人分の刺身がとれるので,高級料亭へ卸せば?万円はするであろうととの話,この日ばかりは大きなタイを釣り上げた人より,巨大イセエビを釣り上げた人がヒーローであった。

 イセエビの抜け殻を見ながら,そんな昔のことに思いを巡らしていると,実習生が「脱皮した後のイセエビを見てみませんか、色が赤く鮮やかで綺麗ですよ!」と声をかけてくれた。早速,抜け殻の元所有者にご対面したところ,脱皮直後のイセエビは,まるで生まれたての赤ん坊のように初々しく色鮮やか,人間も脱皮できたら良いのにと思ってしまった。

 イセエビは昔から縁起物として,正月飾りや鏡餅飾りに使用されてきたので,今度の正月には初詣の代わりに,観音崎で初日の出を参拝した後,博物館のイセエビとご対面,これまでの自分からの脱皮の仕方を教えて貰うつもりでいる。
脱皮発見!
 
 観音崎自然博物館へ行き,何げなくイセエビの展示用飼育水槽を見ると,これまで一匹だったものが二匹に増えていた。ところがよく見ると一匹は死んでいるのか?動く気配がない。その様子を眺めながら,5年前の出来事を思い出した。

 どうやら前日の休館日に脱皮したらしい。館員もまだ気づいていないようだ。今年も残り僅か,新年を間近に控え衣替えをしたのだろうか?イセエビは年に1〜2回脱皮するが,ここ数年の記録を見ると,8月と年末11〜12月に脱皮している。

 脱皮直後のイセエビは,実に美しい色合いをしている。体長30cmを越えるイセエビにとって,60cmの水槽はいささか窮屈そうで気の毒であるが,オキアミとシコイワシだけを餌に,良くこのような美しい姿を維持できるものと感心させられる。
2007.12.4
 
  
  

海辺の生物TOP  HOME