BGM:太陽の家いつまでも | |
作 詞 | 畔柳 昌司 |
作 曲 | 小宮佐地子 |
演 奏 | どんぐりバンド |
浦賀燈明堂の裏山・平根山に連なる山の上に「太陽の家」と名づけられた特別養護老人ホームがある。65歳以上のお年寄りで,常時介護を必要とする人,自宅での生活が困難な人に,生活全般の介護を行う施設。デイサービスセンター,在宅介護支援センターも併設されている。 私の友人・知人3人がこの太陽の家と,スタイルは異なっているが何らかの形で関わっていることを知り,訪問することになった。訪問日はボランティア団体「どんぐりの会」の活動日2008年8月19日と決まり,どんぐりバンドの皆さんが太陽の家の歌「太陽の家いつまでも」を演奏して頂けることになった。その歌の作曲者は,本サイトのBGM 「観音崎慕情」 「燈明堂の四季の花」 「弟橘媛」 の小宮佐地子先生。 |
定刻午後2時の30分ほど前に,どんぐりの会のメンバー13人が到着,演奏準備開始。15分前頃から入居者の皆さんが徐々に会場へ集まりはじめ,ほぼ予定通り演奏が始まった。どんぐりの会のメンバー全員がピンク色のユニホームをしている。 どんぐりバンドの編制はキーボード,サキソホーン,ハーモニカ,タンバリン。民謡の時は三味線が登場する。その間,演奏者以外のメンバーは入居者とのスキンシップを図り,一緒に歌ったり,手を叩いたりしている。 友人の小座野正法 さんは,どんぐりバンドではサキソホーンを担当している。彼の演奏を聞くのはこれが初めてだが,楽しげに演奏する姿はなかなか様になっている。演奏曲目は童謡・唱歌から始まり,民謡,歌謡曲と幅が広い。どんぐりバンドのレパートリーは184曲もあるとか。 |
童謡・唱歌5曲,民謡6曲の後,小宮先生作曲の「太陽の家いつまでも」が演奏された。大きな歌詞カードに大きな文字。最近,老眼が進み,カラオケの文字が見ずらくなった私でも楽に読める。親しみやすい歌詞とメロディー。私もいつのまにか,つられて口ずさんでいた。 |
「太陽の家いつまでも」を全員で熱唱の後,気分転換にADL体操が行われた。何やら難しい体操かと思ったが,“体調にあわせて,寝たまま,あるいは車椅子のまま,ただしい方法で,無理なく身体をうごかし,運動機能の回復・維持の高齢者体操”ということで,私も写真を撮りながら,ご一緒に体操させて頂いた。 |
体操の後は歌謡曲。懐かしいメロディーが次から次へと演奏される。「旅の夜風」「青い山脈」「誰か故郷を想わざる」………写真を撮るのを忘れ,私もいつしか一緒に歌っていた。極めつけは「旅姿三人男」,これは私の十八番,飛び入りでマイクを持って歌おうかと思ったが,私より10歳くらい年上の先輩がマイクを向けられ,懐かしそうに歌われているのを見て遠慮した。 懐メロは全部で12曲。最後はどんぐりバンドのエンディング曲「好きになった人」。入居者とボランティアの皆さんが,再会を約し,一人一人固い握手を交わしながら演奏を終了しました。 |
演奏終了後,どんぐりバンドの皆さんとはお別れ。本サイトの 「昔の遊び」 「昔の商い」 「トッピキピーおどり」 の作者・藤井俊二さんの画が館内に飾られていると聞いていたので,施設内を1〜3階まで一巡させて頂いた。 施設内は想像した以上に明るく,広く,そして清潔な感じがしたが,肝心の藤井俊二さんの作品が見当たらない。最後に「カエルの合唱隊」と名づけられた油彩画を一点見つけたが,これだけではない筈。受付の方にお話ししたところ,「太陽の家 二番館」の方かもしれないということになった。 |
「カエルの合唱隊」 |
二番館は一段高い山の上にある。周辺にはそれより高い山や建物が見当たらず,いかにも眺望が良さそうだ。バイクで坂道を上り詰めると,玄関前に赤い郵便ポストが目に入った。昔懐かしいポストだが,ところどころ黒く塗られマダラ模様になっている。 受付の方にお尋ねしたところ,このポストは実際には使用されておらず,一種の置物で,わざと一部黒塗りにしてあるとのこと。年配者には郷愁を誘うポストだ。電話が普及していない時代,郵便は遠隔地にいる人との唯一の通信手段だった。このポストを眺めて,さまざまな出来事を懐かしく思い出すお年寄りも多いことだろう。 |
受付の方に来意を告げると,館内を案内して頂けることになった。2階と3階の廊下に,藤井俊二さんの油彩画の大作「かいぼり遊び」と「海はたのし」が飾られていた。また,油彩画とは別の場所に,本サイトに掲載している「昔の遊び」シリーズが「笑いと喜びの世界」と題して計6枚展示されていた。 これらの画は時折,その季節に相応しいものに差し替えられているという。藤井さんの作品に登場する人物や動物は,皆,大きな口を開けて笑っているように見える。入居者のお年寄りを和ませ,元気づけるのに相応しい画だと思う。 |
「かいぼり遊び」F100号 |
「海はたのし」F100号 |
「昔の遊び」シリーズ |
館内一巡後,お願いして,いかにも眺望が良さそうな屋上に上がらせて頂いた。屋上は予想に違わず素晴らしい展望だった。東側は燈明崎とかもめ団地越しに観音崎が遠望できる。灯台は残念ながら見えないが,戦没船員碑と観音崎自然博物館がクッキリと見える。北側は太陽の家とマリーナ越しに浦賀港の最奥部まで。南西側は久里浜港が一望できる。 |
東側の眺望・観音崎方面 |
北側の眺望・浦賀港方面 |
南西側の眺望・久里浜港方面 |
ここからは私が結婚以来,住み着き,働き,子供を育み,遊んだ場所の全てが一望できる。目前に迫った老後,このような施設に入れたらいいな!とりとめのないことを考えながら観音崎沖を眺めると,白い客船が目に入った。靄(モヤ)にかすんだ海上は,空と海との境がハッキリしない。白い船体は海を離れて,空に浮かんでいるように見える。あの船はこれから何処へ行くのだろう? |