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今は便利な時代だ!簡単な物なら近くのコンビニへ行けば,24時間なんでも手に入る。街のいたるところにジュース・酒・タバコにお米の自動販売機すらある。デパートやスーパーへ行けば,それこそ何でも揃ってる。インターネットやテレビショッピング,カタログ通販なら外出しなくても,居ながらにして欲しい物が手に入る。
ところが,便利になった代償として失ったものも多い。米屋・魚屋・八百屋・肉屋・豆腐屋・惣菜屋・酒屋・蕎麦屋・寿司屋・駄菓子屋・金物屋・履物屋・文房具屋等々の個人商店が激減。物売り・行商・修理等の商いは,いつのまにやらほとんど姿を消してしまった。
いたずらに昔を懐かしむつもりもないが,個人商店や物売り・行商の類には,売り手と買い手の間に会話があり,人情があり,季節感もあった。考えてみれば,個人商店の場合,多くのお店が電話一本で,配達や出前をしてくれたし,物売り・行商・修理の類は家の玄関先まで商品を運んで来たり,修理をしてくれた。昔は意外と便利な時代だったような気もする。
昔と言っても,大正・明治・江戸時代の話ではない。今から約半世紀前,戦後の昭和20年〜30年代のことだ。その当時のことを思い出しながら,物売り・行商の類を中心に,懐かしい“昔の商い”等の情景を数回に分け,一年がかりで再現してみたいと思う。舞台は作者の故郷「横須賀・吉井」と編者の故郷「東京・大森」が主な舞台である。
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