オナガガモ
(尾長鴨)


カモ目 カモ科  冬鳥
全長:♂約75cm
♀約53cm


 久し振りに磯釣りに出かけた帰途,上々の釣果に気分を良くして鴨居港の浜辺を歩いていると,波打ち際にタケノコのようなものが三本,水面から顔を出していた。そろそろタケノコのシーズンではあるが,海の中からタケノコが生えるわけがない?
2007.3.22
 
 
 タケノコの正体を確かめに近づいたところ,一本がカモに変身してしまった。私の気配を察してか残り二本もすぐカモに変身。オナガガモだった。オナガガモは水面採餌ガモで,潜水採餌ガモのホシハジロスズガモと違い潜水はあまり得意でない。大潮で潮が引いた浜の浅瀬で,シンクロナイズド・スイミングよろしく逆立ちして,海藻類を採餌していたようだ。
 
 
 オナガガモは鴨居港に向かって左手の岩場で採餌している姿をよく見かける。岩に着いたアオサやノリなどの海藻類を食べているようだ。その岩場ではオナガガモに混じって,ヒドリガモを時々見かける。ヒドリガモはオナガガモと同じ水面採餌ガモで生息域が共通しているが,仲が良いらしくケンカしている姿は見たことがない。
 
 
  
 食事が済むとオナガガモ達は,鴨居港の突堤の上で日向ぼっこをする。暖かい陽差しを浴びながら,目を閉じ,時には羽毛に顔を埋めた姿はなんとものどかだ。
 
  
小松ヶ池のカモ
   
 京急・三浦海岸駅と三崎口駅のほぼ中間にある小松ヶ池へ行った。早咲きの河津桜が満開と聞き,家内と花見に出かけたのだが,池の周辺に残された豊かな自然を訪ねるのも楽しみの一つだった。

 この日,2月には珍しいポカポカ陽気。三浦海岸駅から三崎口駅へ至る鉄道と道路の分離帯及びその周辺には,平成12年から植栽された約1000本の河津桜が7〜8分咲きで見頃を迎えていた。 
2007.2.21
 

前方が三浦海岸駅,左手の池が小松ヶ池
 
 池の周辺は公園になっていて,立派な遊歩道も有り,思いの外整備が進んでいる。池には100羽くらいのカモが浮かび,その顔ぶれはオナガガモとヒドリガモが大半,カルガモも数羽混じっている。

 見物客がパン屑等を池に投げ与えると我先に泳ぎより,人を恐れる気配はほとんどない。それに比べ鴨居港のオナガガモやヒドリガモは警戒心が強く,人が近づくと岩場から離れてしまう。その点,小松ヶ池のカモ達より鴨居港のカモ達は野性的といえる。

 小松ヶ池周辺は小松ヶ池公園と名づけられ,三浦市や京急が観光の目玉として河津桜を植えたと聞いた。その努力がようやく実り河津桜も生長,この日,遊歩道は切れ目がないほど見物客の列が続いていた。 
 
 
 オナガガモとヒドリガモは同じ水面採餌ガモなので,まるで仲間のように一緒に行動していることが多い。オスはそれぞれ特徴があり簡単に見分けられるが,メスはよく似ているので,なかなか見分けにくい。その点,小松ヶ池のカモ達は人慣れしているため間近に観察することができる。お陰でこの日,2種類のメスをじっくり観察,ようやく見分けることができるようになった。

 首が細長く,嘴が黒っぽいのがオナガガモ。首が太く短く,嘴が鉛色で先端部のみ黒っぽいのがヒドリガモであるが,少し離れて見ると相変わらずややっこしい。それぞれのオスが自分のメスを見分けられるのか心配になるほどだ。 
  

オナガガモ・メス
 

ヒドリガモ・メス
北帰行
 
 彼岸が過ぎ,桜の花がほころび,ツバメ達の渡来する時期が近づいてきた。鴨居港のカモ達も北帰行に備えてか,食欲が一段と旺盛になり,採餌している姿が目立つようになった。旅立ちの日は近い。
 
引鴨となる日の近し羽搏ける
 冬を日本で過ごした鴨も帰る日が近づいてきた。鴨が海で羽搏(はばた)いている。冬が終わりに近づくとともに,その羽搏きにも力が入ってきたように感じられる。長距離飛行のウォーミングアップなのだろうか。・・・・・・私の歳時記<冬の句>

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