ヒドリガモ
(緋鳥鴨)


カモ目 カモ科 冬鳥
全長:約48.5cm



 走水水源地裏にある走水海水浴場の浅瀬でカモの群れが採餌していた。静かに近づいてみるとヒドリガモのようで,ざっと数えて120〜130羽はいる。ヒドリガモは今年1月5日に鴨居港でオスとメス各1羽ずつを確認しているが,このような大群を見るのはこれが初めてである。

 ヒドリガモ達がこの海岸で越冬したのか,どこかで越冬して北帰行の途中たまたま立ち寄っただけなのかは判らないが,浅瀬で海藻類を採餌している姿は,海岸で潮干狩りをしている人々の姿に似て,なんとものどかで微笑ましい。
2005.3.26
 
 
 
 
 数日前,車で走水水源地付近を通った時,走水海水浴場の海岸にカモの姿を見かけた。遠目でカモの種類までは判らなかったが,数十羽飛来しているようだ。

 ヒョッとして,今年の春先見かけたヒドリガモかもしれない?気になりバイクで確認に出かけてみた。海岸には人影はなく,水源地付近から湧き出た水が流れ込む浅瀬にカモ達が群れている。

 近づいてみると案の定ヒドリガモだった。湧水をいかにも美味しそうに飲んでいる姿が愛らしい。カモにも水の美味さが判るのだろうか?より鮮明な画像を撮ろうと10m位の距離に近づくと,一斉に飛び立つことはしないが,カメラへお尻を向け海の中へと逃げ込もうとする。鴨居港で越冬するホシハジロに比べ,少し警戒心が強いようだ。

 ヒドリガモ達はこれから来年の3月末頃まで,この海岸で越冬すると思われるが,この海岸にはヒドリガモの他にセグロカモメやユリカモメ等も飛来するので,ウミウ・ウミネコ・トビ等の留鳥と共にバードウオッチングを楽しむことができる。また,運が良ければ霊峰冨士を眺めることもできるので,双眼鏡を持参されることをお勧めしたい。
2005.11.30
 
  
 
 
エクリプス羽状態
  
 鴨居八幡神社の前をバイクで走行中,鴨居港に浮かぶカモの姿が目に入った。ホシハジロが飛来したのだろうか?例年,鴨居港へ最初に飛来するのはホシハジロで,越冬する数も一番多く,人なつこい。

 バイクを止め,カモ達に近い突堤の先端に近づくと,スーと沖の方へ離れていった。ホシハジロではない。カメラでズームアップしてみると,ヒドリガモのメスに似ているが,頭に白い帯のあるオスの姿が見あたらない。その代わり,羽に白い模様が目立つのが一羽だけいた。これがオスとするとヒドリガモではない?
2009.11.5
 
 
 帰宅後,野鳥に詳しい先輩ボランティアへ,カモ達の写真をメールで送信,同定をお願いしたところ,翌日,早速ご返事をいただいた。「カモのお知らせありがとうございます。写真の白い羽の部分のあるのはヒドリガモで、繁殖が済み8〜10月頃までの間、雌と同色になるエクリプス羽の状態のヒドリガモの雄です。今年は早く鴨居港に来たようです。11月末頃になると、雄本来の色になります。」

 エクリプス羽?私には馴染みのない用語なので,日本鳥類保護連盟ウエブサイトで調べてみた。「カモ類のオスは、繁殖期の後に全身換羽がおこなわれます。羽色はメスに似て地味になります。この時期の羽をエクリプスといいます。」どうやら,一羽のオスが四羽のメスを引き連れて先遣隊として飛来したようだ。
  
 ヒドリガモのことが気になり鴨居港へ行ってみた。5日に見た辺りにはいなかったので,港内を見回したところ,左手にある岩場周辺にカモの姿があった。数がだいぶ増えているようだ。

 陸伝いにカモに近づき,そっと覗いてその数を数えてみたところ,ザッと数えて22羽。その全てがヒドリガモのようだ。カメラでズームアップしてみると,面白いことに,エクリプス羽状態のオスと本来の状態に近づいたオスとが混在していることが判った。
2009.11.10
 
 
 

エクリプス羽状態のオス
 

本来の状態に近づいたオス
オスの次列風切翅の一部が緑色
 
 観音崎園地の磯で,二窒フヒドリガモ?が岩に着いたアオサと思われる海藻を,一心不乱に啄んでいるのを見かけた。ヒドリガモの写真は,これまで100枚以上は撮っているので,パスしようと思ったが,この冬初のカモであることに気づき5枚の写真を撮った。

 帰宅後,パソコンに取り込んだ画像を拡大して驚いた。オスの頭部にヒドリガモ特有の白い帯がない。その上,オスの羽の一部が美しい緑色をしている。これまで撮りためた100枚以上の写真を確認してみたが,緑色の羽のあるヒドリガモは1枚も見つからない。念の為,ネットで検索して数十枚の画像を確認してみたが,やはり1枚も見当たらない。ヒドリガモではなさそうだ。

 そこで未知の野鳥の同定で,いつもお世話になっている野鳥に詳しい先輩ボランティアにメールで問い合わせたところ,下記要旨の返信を頂いた。
「……ヒドリガモのオスの次列風切翅の一部が緑色しています、通常隠れていますのであまり見られません。オスの頭部の黄色の線は、まだ見えませんが、夏羽のエクリプスが残っているためで、あと数週間過ぎれば黄色が目立つようになります。 写真の鳥はヒドリガモで良いと思います。……」

 恥ずかしながら,エクリプスのことはすっかり忘れていたが,「ヒドリガモ♂の次列風切翅の一部が緑色」については初耳。念の為,「ヒドリガモの次列風切翅」をキーワードにネット検索してみたところ,次列風切翅の一部が緑色をしているヒドリガモの写真を数枚見つけることができた。
2024.11.8
 
  
  
余     談
   
 永岡書店発行「野鳥ガイドブック」の豆知識欄に面白い記載があった。

 ヒドリガモの種小名 penelope は,ギリシャ神話のオデュッセウスの妻の名である。ペーネローペは夫がトロイア戦争に出征中の20年間孤閨を守り通した。貞淑な妻の代表とされる。

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