亥年にちなんで
「猪あれこれ」
平成31年,西暦2019年は十二支の「亥」。「亥」は「イ・カイ・ガイ」と読み,草木の生命力が種の中に閉じ込められている状態を表しているとされる。日本では「亥」は猪=イノシシを意味するが,中国では猪=ブタを意味している。十二支の動物の内,日本と中国で異なるのは「亥」だけで他は全て同じだという。 何故「亥」だけ異なるのだろう? ブタはイノシシを家畜化したものなので元は同じだが,何故異なるのだろう? 私が無い知恵を絞り出して出した答えは「十二支の思想が日本に伝来した時代にはまだブタがいなかったのでは?」だったが,根拠は何処にも無い。 ネットであれこれ検索したところ,磯田道史著『江戸の備忘録』<文春文庫>の「日本人と動物」の項にその答えらしきものが載っていることを知り,早速,605円也を払って本を取り寄せ読んでみた。 亥年は「ブタ年」 イノシシ年というのがあるが,これは日本だけの話らしい。国際的にはブタ年である。事実,中国・韓国・香港とも日本のイノシシ年のカレンダーはブタの絵だらけである。「亥・猪」は日本ではイノシシと読ませるが,中国ではブタ。西遊記の猪八戒がイノシシで無くブタなのを見れば納得がいく。 なぜ日本だけがブタ年でなくイノシシ年なのか,答えは簡単。「干支」を輸入した島国日本が,大陸と違ってブタを飼っていなかったからである。ブタは野生イノシシを家畜化したものであり,日本では弥生時代に北九州を中心に一時ブタを飼ったことがあるが,この弥生養豚はすぐにすたれた。 森林豊かな島国では,ブタを飼うより,山で野生のイノシシを狩ったほうが手っ取り早かった。やがて仏教も伝来。肉食が嫌われ,日本からブタがいなくなったそこに干支が入ってきて「亥<ブタ>」をイノシシにしてしまった。そういうわけで,亥年をイノシシ年とするのは,日本の特殊事情・・・後略 その結果,私の仮説は100点満点とはいえないまでも,的外れではないことが裏付けられたことになる。因みに,十二支獣の思想のある国々の内,「亥」にイノシシを割り当てているのは日本だけで,他の中国・韓国・タイ・ベトナム・チベット・モンゴル・インド・アラビア・ロシア・ベラルーシ等は全てブタを割り当てている。・・・フリー百科事典「ウィキベディア」 |
平成31年(2019)郵便局カレンダー |
猪目模様 |
破 魔 矢 |
絵 馬 |
土 鈴 |
植 物 |
お年玉切手シート |
「いのしし」の大看板 |
我が家のグッズ |
<余談ー1>猪の故事・ことわざ |
<余談−2>豚と軍艦 |
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猪目(いのめ)模様を存知ですか? 私は恥ずかしながら,見たことも聞いたこともなかったと言いたいところだが,聞いたことはなかったけれど,見たことはあっても気づかなかったようだ。少々回りくどい話になってしまったが,猪にまつわる故事・ことわざの類を調べている過程でその存在を初めて知った。 ^目とは文字どおり猪の目のことで,神社や仏閣等の棟木や桁の端を隠すため破風板(はふいた)に取り付ける懸魚(げぎょ)と呼ばれる板に施される装飾の形が,イノシシの目のようなハート形をしていることに由来しているようだ。^目模様は神社・仏閣の懸魚以外の装飾金具等にも数多く施されているらしい。 イノシシの目は本当にハート形をしているのだろうか? そこで思い出したのが一昨年かんぽ生命勧誘員から貰ったカレンダー。その6月にイノシシの子供うり坊の可愛い写真が載っていた。2019年が亥年なので何気なく切り抜いておいたのを引っ張り出し,しげしげとうり坊を眺めてみると,昨年6月,毎日のように見ていながら気づかなかったが,確かにその目はハート型をしているようにも見える。特に右目がそれらしい。 |
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それにしても何故?神社・仏閣の建物に^目が多用されるのだろう? 物の本によれば,古人は獣の目には魔除けや火除けの力が宿っていると信じ,飛鳥・天平の時代以前から比較的身近な獣のイノシシの目を文様化して,懸魚等装飾の透かし彫に用いてきたらしい。 ^目はその形状だけを見ればハートのマークそのもの。現代人にとってハートマークは心臓を表すシンボル。このシンボルは「心」や「愛」「恋」等を表現するために用いられている。従って古人が魔除けや火除けのシンボルとしたのと用途は異なるが,神社・仏閣へ初詣に行った折などに「^目=ハート」探しをするのも一興と思われる。 そこで物は試し,我が家の氏神様的存在である鴨居八幡神社へ^目探しに行ってみた。鳥居をくぐり先ずは手水舎。型通り手と口を清めた後,手水舎の内外を見回したところ,これ迄気づかなかった事が不思議なぐらい沢山の^目があるのにはビックリ。その数ざっと10数個ある。 猪の目をモチーフにした「^目」,心臓をモチーフにした「ハート」。由来こそ異なるが形状は同一。私はそのマークをこれまで単に「心」「愛」「恋」等を表現していると思っていたが,「魔除け」「火除」等も表現している事を知り,ハートマークがこれ迄に増してありがたい存在に思えてきた。 その後,拝殿や本殿,更には会津藩士の墓のある西徳寺へ立ち寄り^目探しをしたが,懸魚の他に,鈴や装飾金具等にも数多くの^目が施されているのには,驚きを通り越して感動すら覚えた。初詣などで家族や友人,そして恋人と神社・仏閣へ参詣の折には,是非「^目=ハート」探しをすることをお勧めしたい。蛇足ながら,盛り上がり過ぎて呉々も参拝をお忘れないように! |
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拝殿 |
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拝殿正面・破風の懸魚 |
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拝殿正面・向拝虹梁と鈴 |
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拝殿正面・向拝虹梁左端 |
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拝殿横・破風の懸魚 |
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拝殿横・軒桁の懸魚 |
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拝殿他各所に使用されている装飾金具 |
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本殿 |
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本殿の鳥伏間 |
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本殿・破風の懸魚 |
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本殿・欄干の装飾金具 |
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帰途,八幡神社から歩いて4〜5分の西徳寺に立ち寄り^目マークを探してみた。期待しながら本堂の周りをウロチョロしたがそれらしきものが見当たらない。唯一,本堂破風の懸魚に^目らしきものを見つけたが,残念ながらひょうたん形。帰宅後,諦めきれず懸魚の装飾について調べたところ,ひょうたんのような形は,^目を二段に重ねたもので,これも^目の一種と言うことが判明した。 | |
本堂の懸魚 |
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意外に本堂周りで^目見つけることができなかったので,そのまま帰ろうかと思ったが,念の為,あまり期待しなかったが,本堂脇にある鐘楼へ寄り道。ところが今度は^目のオンパレード。懸魚をはじめ蛙股・木鼻にも^目が施されている。その数ざっと30数個あり八幡神社の手水舎よりも多かったのにはビックリ。 | |
鐘楼の懸魚 |
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鐘楼の蛙股 |
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鐘楼の木鼻 |
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西叶神社・説明板 |
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鴨居八幡神社・破魔矢 |
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西叶神社・説明板 |
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鴨居八幡神社 |
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東叶神社 |
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西叶神社 |
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観光旅行へ出かけた時,神社仏閣や土産物店で土鈴が置いてあることが多い。我が家では地元の鴨居八幡神社へ初詣で出かけた時や,観光旅行先等で土鈴を買ってくるのが習慣になっている。ここではこれ迄に買い求めたイノシシの土鈴をいくつかご紹介したい。 | |
西叶神社・説明板 |
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2019年(平成31年) 鴨居八幡神社 |
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2019年(平成31年) 西叶神社 |
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2007年(平成19年) 鴨居八幡神社 |
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2007年(平成19年) 川崎大師参道のお土産店 |
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1995年(平成7年) 鴨居八幡神社 |
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1983年(昭和58年) 鴨居八幡神社 |
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不明 |
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アスカイノデは観音崎で一番大きく数も多いシダの一種。芽吹き直後の状態が「猪の手」に似ていることから名づけられたようだが,実物を見るとなるほどと納得する。芽吹きから2ヶ月もすると,観音崎の林内がまるで熱帯のジャングル?と思わせるような雰囲気を醸し出してくれる。 | |
芽吹き直後:2月中旬頃 |
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芽吹き約1ヶ月後:3月中旬頃 |
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芽吹き約2ヶ月後:4月中旬頃 |
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エゾノシシウドは2017年6月,シニア向けツアーで利尻・礼文・サロベツへ行った時に出会ったもので,当然のことながら観音崎ではお目にかかれない。「シシウド」という名前から山菜や野菜として好まれるウコギ科タラノキ属の「ウド」を連想するが,シシウドはセリ科のシシウド属で別種。ウドには似ているが苦くて食べられないようだ。名前の由来には諸説あるが「猪が食べる,あるいは猪しか食べない。」という説もある。 尚,観音崎にはエゾノシシウドと同じセリ科のシシウド属のアシタバがあるが,こちらは栄養価の高い健康野菜として近年注目されている。シシウドも食べられるのでは?と思ったが,灰汁が強くて毒では無いが食用には不向きのようだ。矢張り「猪が食べる,あるいは猪しか食べない。」という説がもっともらしい気がする。 |
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例年,西叶神社近くにある西源材木店の店頭には,商品の材木を並べて立てかけ,カラースプレーで絵と文字を書いたと思われる新年挨拶の大きな看板が飾られる。普通,店舗や施設の新年挨拶はA4かA3サイズの用紙が使用されているが,西源材木店のそれは,畳十畳くらいはある超特大サイズ。カラースプレーで一気に書き上げたと思われるが,なかなか見事な出来映えで,西叶神社へ初詣に訪れた人たちが,その前で代わる代わる記念写真を撮っている姿が微笑ましい。 | |
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^口(ちょこ)と言う言葉の由来には諸説あり,猪の口と書くので形がイノシシの口に似ているからと言うもっともらしい説もあるようだが,どこから見てもイノシシの口には見えない。私は単なる当て字で安直を表す「直」が転じて^口(ちょこ)となったという説を支持したい。 お^口に似た酒器にぐい飲みがあるが,どこがどう違うのだろうか?結論は単に大きさの違いにあるようだ。居酒屋などで徳利とセットで出てくるような小さな酒器がお^口。小料理屋などで常連さんに選ばせてくれる少し大ぶりの酒器がぐい飲み。 我が家の食器棚を調べたところお^口が2個出てきたが,これ迄使った記憶がない。その代わりにぐい飲みが12個も出てきた。写真の左端が私好みのぐい飲みだが,居酒屋の一合徳利では2杯で空になるくらいの大きさがある。 |
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左端:ぐい飲み 右:お^口 |
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猪にまつわる故事・ことわざの類は,他の十二支獣より比較的少ないように感じる。 「猪」について日本語大辞典では次のように語釈している。 【猪】((猪の獣の意))@イノシシ科の哺乳動物。ブタの原種。体長は1.1〜1.5m。体重45〜300kg。犬歯は発達してきばとなる。夜行性で雑食性。子には縦じまがあり「うり坊」と呼ばれる。肉は「山鯨」「牡丹」と呼ばれ美味。本州・四国・九州からヨーロッパに分布。シシ。イ。イノコ。ヤチヨ。数え方:一頭・一匹・一蹄 A((接頭的))向こう見ずの意。 |
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映画「豚と軍艦」は,カンヌ国際映画祭で2度のグランプリを獲得した日本を代表する映画監督の一人今村昌平監督が,横須賀を舞台に戦後日本の荒廃した現実を描いた作品。ロケ地は全て横須賀。そして主要舞台の一つとして観音崎が登場する。観音崎はどのような形で登場したのだろうか? | |