2026・観音崎カレンダー
観音崎の野鳥歳時記

 観音崎では数多くの野鳥たちを観察することができます。観察できる場所は観音崎公園の他,公園近くの鴨居港・走水港・走水海岸・和田川などです。特に冬は広葉樹が葉を落とし,雑草が枯れているのでバード・ウオッチングには最適のシーズンです。そして春になると冬鳥は北国へ飛び立ち,磯や浜辺で旅鳥を観察出来るようになり,やがて夏鳥が飛来するシーズンとなります。
私の歳時記から抜萃 俳句 情景 村岡 茂夫
写真 編集 kamosuzu

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2026観音崎 カレンダー 目次
Month サムネイル 記       事
1月 January 初茜雲間を黒き鳥の群
 元日の朝,東の空が次第に明るくなり,赤く染まって来た。日の出直前の美しい景色である。さわやかですがすがしい。空には雲が漂い,その雲間を鳥が飛んでいる。海鵜であろうか,その黒い姿が印象的である。
2月 February 子雀のただ鳴くばかり木を去らず
 子雀が木の上で鳴いている。まだ飛ぶ自信がないのであろう。ただ鳴くだけで一向に飛び立たない。
3月 March 一対となりし鴨より引きにけり 
 冬を,日本で過ごした鴨は春になると,北の繁殖地へ帰って行く。群れをなして,一群,一群と引いてい行く。 行く先が繁殖地のためか,長旅を乗り切るためか,伴侶の出来た鴨から順次帰って行く。
4月 April 岩礁や鵜はそれぞれの海を向く
 岩礁には鵜の一群がいる。塒(ねぐら)と岩礁の往復の移動と岩上での休息は群としての集団行動をしている。しかし,捕食のために海に入る時は単独行動に切り替わる。そのためか,岩礁にいる鵜の向きはそれぞれ異なり,別々の海を見つめている。
5月 May 親鳥の巣戻りせしか雛の声 
 雛の声が一段と大きくなった。親鳥が巣に戻ったらしい。餌をねだる雛の声である。餌運びは雛の巣立ちまで、毎日何回も何回も繰り返される。親鳥の愛情には頭が下がる。かくして雛は育ち、命は子々孫々に繋がる。
6月 June 軒下の汚れて見上ぐ燕の巣 
 燕は春日本に渡って来ると毎年同じ家の軒下などに巣を作る。主な材料は土で,藁や枯れ草などを混ぜて補強されている。軒下が汚れている。見上げると案の定燕の番。うれしい心のときめく一瞬である。
7月 July 翡翠の翔たねば我も立ち去らず 
 翡翠
(かわせみ)が水辺にいる。じっとしてなかなか動かない。私が動けば翡翠が飛び立つような気がする。久しぶりの翡翠との出会い。少しでも長く見ようとして私も立ち去ることも出来ない。しばらくは翡翠との我慢比べである。
8月 August 一羽づつ翔つ鵜戻る鵜巌の上
 鵜は海に潜っては上手に魚を捕食する。一羽ずつ飛び翔(た)って,海に入っては戻ってくる。全くの単独行動であるが,戻ってくるのは群の中。して見ると,この単独行動も集団行動のバリエイションの一つなのかも知れない。
9月 September 人避けて先は電線椋鳥の群
 地面で何か啄んでいた椋鳥の大群。人が来たので一斉に飛び上がって電線に止まった。多分,電線は一時的な避難場所であろう。高いところは遠くまで見える。行き先を決めるのに好都合である。人が通り過ぎたらまた降りるのか,あるいは遠くに飛び去るのかなどと,何故か気になる。
10月 October 稀に訪ふ生家父母なく木守柿
 親がいなくなると生家への足が遠ざかる。久しぶりに訪れた生家には昔変らぬ柿の木があり,枝先に実が一つなっていた。子供の頃の懐かしい記憶がまざまざと甦る。
11月 November 釣り船の止まれば揺るる秋の波
 海は荒れている。釣り船は横波を避け,縦波を乗り越えながら沖に向かっていく。釣り場に着いてエンジンを止めると,船は大揺れに揺れた。止まると船はすべて波まかせ。よく揺れる。
12月 December 手を振れば渡舟すぐ来る冬鴎
 
最近は橋が増えて,渡舟が少なくなった。しかし,距離は短いが,浦賀港には東西浦賀町を結ぶ渡舟がある。舟は向こう岸にいても,手を振るとすぐ迎えに来てくれる。海には鴎の乱舞。情緒豊かな心温まる港である。

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