子年にちなんで
「鼠あれこれ」

 令和2年,西暦2020年は十二支の「子」。「子」は「ね,し」と読み,植物の種子の中に新しい生命が」兆しはじめる状態を指すという。日本では「子」は鼠(ねずみ)を意味する。十二支には12種の動物「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」が当てはめられているが,いずれも何らかの理由で人間に身近な存在の動物たち。ところが,そこにペットとして今ブームとも言える猫の名前が無い。何故?猫がいなくて鼠が一番なのだろう?

 十二支に割り振られている動物の順番や猫がいない理由については諸説あるようだが,私が子供の頃に読んだ絵本のあらすじをおぼろげな記憶を頼りにご紹介したい。・・・諸説は余談-4参照

 昔々その昔,ある年の暮れ。神様?が動物たちに告げました。
「元日の朝,私のところへ挨拶に来なさい。家の前に到着した者から順番に12番目までの者を毎年交代でその年のリーダー?にしてあげよう!」

 それを聞いた動物たちは,我こそが一番になろうと張り切ってその日を迎えることにしました。ところが,ネコはウッカリその日を聞き漏らしてネズミに尋ねたところ,1日遅れの日付を教えられ,それを真に受けて帰りました。そして当日,自分が歩くことが遅いことを知っていたウシは,誰よりも早く夜明け前から歩きはじめました。

 すると牛小屋の天井に住んでいたズル賢いネズミがそれを見て,こっそりウシの背中に飛び移りました,それに気づかないウシは我こそが一番乗りと神様の家へ張り切って向かい,神様の家へ無事到着。門前にはまだ誰もいません。自分が一番!だとウシは大喜び。門が開くのを静かに待っていました。

 やがて夜が明け門が開き,ウシが入ろうとする直前,背中からネズミが飛び降りて一番になってしまいました。結局ウシは二番となり,その後トラ・ウサギ・タツ・・・・・・の順に到着して十二支に割り振られました。一方ネコは,一日遅れで到着したため十二支に入ることができず,それ以来ネズミを恨んで今でもネズミを見ると追いかけ回すようになったという。 
 
破 魔 矢
絵  馬
土 鈴
植  物
動  物
お年玉切手シート
「ねずみ」の大看板
我が家のグッズ
<余談-1>鼠の故事・ことわざ
<余談-2> 百鼠考
<余談-3>四十八茶百鼠
<余談-4>猫が十二支に入らなかった本当の理由





破魔矢
 

西叶神社・説明板
   

鴨居八幡神社・破魔矢
   





絵  馬
 

西叶神社・説明板
 

2020年(令和2年) 鴨居八幡神社
  

2020年(令和2年) 東叶神社
  

2020年(令和2年) 西叶神社





土  鈴
 
 観光旅行へ出かけた時,神社仏閣や土産物店で土鈴が置いてあることが多い。我が家では地元の鴨居八幡神社へ初詣で出かけた時や,観光旅行先等で土鈴を買ってくるのが習慣になっている。ここではこれ迄に買い求めたイノシシの土鈴をいくつかご紹介したい。
 

西叶神社・説明板
  

2020年(令和2年) 鴨居八幡神社

2020年(令和2年) 西叶神社

2008年(平成20年) 鴨居八幡神社

2008年(平成20年) 川崎大師参道のお土産店

1996年(平成8年) 鴨居八幡神社

不明





植  物
 
 
トウネズミモチ
(唐鼠黐)
 
モクセイ科 常緑小高木
樹高 10〜15m
帰化植物 中国原産
渡来時期 明治初期
要注意外来植物
 

2012.10.22
  

2011.7.3
 

2011.7.5
 
ネズミノオ
(鼠尾)
 
イネ科  多年草
草丈:30〜100cm
 

2009.9.27
 

2008.10.19





動  物
 
 
ハツカネズミ
(二十日鼠)
 
ネズミ目 ネズミ科
頭胴長 57〜91mm
尾  長 42〜80cm
体  重 10〜25g
 

2011.4.17
  

2011.4.17
タイワンリス
(台湾栗鼠)
 
ネズミ目 リス科
頭胴長 20〜22cm
尾  長 17〜20cm
体  重 360g
 

2013.1.30
 

20018.9.18





お年玉切手シート
 
小槌乗りねずみ
1984年(昭和59年)
 
唐辛子乗りねずみ/米倉ねずみ
1996年(平成8年)
 
福徳十二支土鈴・ねずみ/十二支招福土鈴・子
2008年(平成20年)
 
2020年(令和2年)
 





「ねずみ」の大看板
 
 例年,西叶神社近くにある西源材木店の店頭には,商品の材木を並べて立てかけ,カラースプレーで絵と文字を書いたと思われる新年挨拶の大きな看板が飾られる。普通,店舗や施設の新年挨拶はA4かA3サイズの用紙が使用されているが,西源材木店のそれは,畳十畳くらいはある超特大サイズ。カラースプレーで一気に書き上げたと思われるが,なかなか見事な出来映えで,西叶神社へ初詣に訪れた人たちが,その前で代わる代わる記念写真を撮っている姿が微笑ましい。
  





我が家の「ねずみ」グッズ
 
ミッキーマウス
 
 「ねずみ」に因んだ我が家のグッズをあれこれ探してみたが,驚いたことに何一つ無い。例年なら必ず幾つかは見つかるのだが今年は皆無。諦めていたところ,正月に遊びに来た孫娘の着ていたパーカーにミッキーマウスが笑顔で愛嬌を振りまいていた。
  


ネズミ花火
 
 二年前の夏。小学6年と3年の孫が二人,夏休みを利用してホームステイに来た。ある日の夜,我が家前の交通量の少ない道路で,中国製の安価な線香花火や打上げ花火をして楽しんだ。ところが,中国製は私が子供の頃に親しんだ日本製の伝統的花火に比べて情緒が感じられない。特に線香花火などはあっという間に終わってしまう。

 昔の日本製線香花火は一見地味で華やかさは無かったが,最初は小さな,そして徐々に大きな火花を散らし,終わりが近づくと精一杯火花を散らし,最後になると切ないようにポトンと終わってしまう。そこには儚い人生を見るような趣があった。

 しかしながら,ネズミ花火は例外だった。クルクル回転しながら忙しなく動き回る花火に孫達は大喜び。調子に乗って私は火のついたネズミ花火を孫達の前に投げつけた。キャーキャー怖そうに歓声を上げながら逃げ回るその姿は,半世紀前の私を見ているような懐かしい光景だった。
  
  





<余談−1> 鼠にまつわる故事・ことわざの類
 
 鼠にまつわる故事・ことわざ等の類は意外と数多くあるが,良いたとえのものは比較的少ない。これは体が小さいことや日頃の行動に起因していると思われる。尚,故事・ことわざの類は日本語大辞典から大半を引用。

 「鼠」について日本語大辞典では次のように語釈している。
【鼠】@ネズミ科の哺乳動物。体長は5〜35cm。体毛は灰色・黒褐色など。生涯伸びつづける。繁殖力が旺盛。器物をかじり・農作物・食料品を食いあらし,病菌のなかだちをする。便宜上,クマネズミなどのイエネズミ,ハタネズミなどのノネズミに分類する。全世界に分布。 Aネズミ色の略 Bひそかに害をなす悪人。 Cいたずらもの。
 
鼠が塩を引く ほんの少しずつでも積み重なって大量になる。
鼠,壁を忘る,壁,鼠を忘れず ネズミは壁をかじって穴をあけたことを忘れているが,壁についた跡は消えずに残っている。害を加えたものはとっくに忘れてしまっていても,加えられたほうは「いつまでも覚えている。
鼠講 鼠算式に会員を増やすことを条件にして会員に大きな利益を与える。金銭の融通を目的とした組織。無限連鎖講。昭和54年(1979年)禁止された。
鼠算 @和算で,1月に一対のネズミが12匹の子を生み,2月に親子それぞれが12匹ずつ生むということを,12月まで繰り返せば何匹になるかという等比級数的計算問題。A急にはげしくふえることのたとえ。
鼠取り・鼠捕り @ネズミを捕らえる道具や薬剤。道具には,ばね仕掛けでネズミを捕らえるもの。針金製の籠で,入ったら出られない仕組みにものなどがある。Aネズミを捕って殺すこと。アオダイショウの別称。C(俗語)スピード違反の取締のこと。
窮鼠猫を噛む どたん場になれば,弱者も強者に反撃する。
大山鳴動して鼠一匹 大騒ぎをしたわりに,結果が小さいことのたとえ。
頭の黒い鼠 こっそりつまみ食いをしたり,小づかい銭をくすねたりする者に言う。
袋の鼠 逃げ場のないたとえ。
ただの鼠ではない 尋常の者ではない。油断のならないやつである。
国に盗人,家に鼠 物事には必ず,害になる物が伴うことのたとえ。
鳴く猫は鼠を捕らぬ 口数の多い物は,かえって実行しない。
鼠の嫁入り 昔話の一つ。ネズミの夫婦が天下一の婿を求め歩き,最後に同じ仲間のネズミを選ぶ話。あれこれ迷っても。結局は無難な結果に落ち着くことのたとえ話。





<余談−2> 百鼠考
 
 「子年」ネズミに因んだあれこれを物色していて,思いの外手間取ってしまった。そして我が身の浅学非才さを思い知らされたのが読売新聞朝刊・文化面に1月6日〜8日の三日間にわたって掲載された「百鼠考」。私はこれ迄,ネズミは取るに足らない小動物と思っていたが,どうやら層でも無さそうだ。
 

読売新聞 2020.1.6 朝刊

読売新聞 2020.1.6 朝刊・文化欄

読売新聞 2020.1.7 朝刊・文化欄


読売新聞 2020.1.8 朝刊・文化欄





<余談-3> 四十八茶百鼠
   
 上記 「余談-3百鼠考」の記事冒頭に『今年の干支は「子」。日本では俗に四十八茶百鼠(しじゅうはちちゃひゃくねずみ)と言われるほど様々なネズミ色があるが,ネズミと人間との関係も色々。』とある。ところが,私が名前を知っているのは「鼠色(灰色)・銀鼠(ぎんねず)利休鼠」の三色のみ。「百鼠」本当にそんな沢山の鼠色があるのだろうか?

 「四十八茶百鼠」をキーコードにネット検索してみたところ,四十八茶百鼠は江戸時代の町人が工夫して編み出した,茶系,鼠色(灰色」系の染色バリエーションを指す言葉だと言う。「四十八」「百」は「たくさん」という意味で,実際にはそれ以上のバリエーションがあったと言うから驚きだ。

 鼠色系にはどんな色があるのだろう? 凝り性な私は興味をそそられ「色見本」をキーコードにしてあれこれ検索したところ,これが鼠色の仲間? と思われるような色が続々登場。私が知っていた三色に加えて,特徴的な梅鼠・深川鼠の色見本をご紹介したい。
  
鼠色 銀鼠 利休鼠 梅鼠 深川鼠






<余談-4> 猫が十二支に入らなかった本当の理由
       ネズミでなく,トラに負けた?
 
 ネット・ニュースを拾い読みしていると,朝日新聞社が運営する犬・猫などのペットの情報サイトsippo(シッポ)1/11(土)9:30配信記事にタイムリーな興味深い記事が載っていた。整理してご紹介したい。

十二支に入らなかった猫
 新年の話題のひとつといえば「十二支(えと)」。今年は子年(ねずみどし)なだけに、猫好きは、少々切ない気分にさせられる。なぜ十二支に「猫」がいないのか……と。そこで、その理由を探るべく、猫に詳しい動物学者の今泉忠明さんに話を聞いて見た。
  
猫が十二支にいない、3つの説
1.ネズミにだまされた説
そもそも,十二支に猫が含まれていない理由について、もっとも有名なのが、「ネズミにだまされた説」だろう。

 神様が地上の動物を招き、先着順で十二支を決めるという話である。日頃から猫のことをよく思っていないネズミがわざと1日後の日付を伝え、猫は約束の日に到着できず、選考に漏れてしまったというのがよく聞く話だが、地方によっては、神様に呼ばれていること自体、ネズミは猫に伝えなかったとするパターンもあるらしい。

 このほか、「お釈迦さまが亡くなるきっかけを猫が作った説」「干支が生まれたころ中国に猫がいなかった説」など、諸説あるようだ。 
 
2.歴史の長さで,トラに負けた説?
 なぜ十二支に猫がいないのか。この疑問に対し、今泉先生はあっさり、「中国にはトラが猫より先にいたからね」と答えた。

 「中国で『ヤンシシ(ヨウシトラ)』の化石が出土しています。およそ35万年前にいたとされるトラの祖先です。おそらく十二支ができたころには、トラは恐ろしくて強い動物として神格化され、憧れの存在になっていて、架空の動物・竜と並んで干支に選ばれたんでしょうね。それに比べて、猫は中国では新しい動物です」

 今泉さんの著書「飼い猫の秘密」によれば、トラやライオンなどの祖先となるグループが誕生したのが640万年前。その後、中国大陸を含むアジア東部でトラへと進化を遂げたという。

 一方、猫は古代ジプトで飼育され、神格化されていた個体が、地中海東部のフェニキア人によりシャム(タイ)やペルシャ(トルコ)などに密輸され、じわじわと世界に広まったとされる。当時、エジプト国外への持ち出しが禁止されていたのだそうだ。

 その後、ローマ帝国が古代エジプトを征服し、今から1900年ほど前、1世紀ごろに勢力を拡大したことを機に、ヨーロッパやインドなどにも猫が広がり、ようやく中国に伝わったのではないかと先生は言う。
  
3.猫がお釈迦様の亡くなる理由になった説
 因みに,「猫がお釈迦様の亡くなる理由になった説」は、動物学より宗教学的観点から掘り下げた方がよいでしょう、とアドバイスしてくれた。
十二支に猫が入っている国も
 
 一方,中国より先に猫が伝来したとみられるタイを始め、ベトナムやベラルーシなど、十二支に猫を含む国もある。
「タイでは猫は王室で飼われていて、それがシャム猫のもとになっています。東南アジアの温かい地域にはやたらとネズミがいるうえ、サイズもかなり大きいので、ネズミを狩ってくれる猫は重宝したでしょうね。そういうことも、タイで猫が十二支に選ばれたことに影響しているのかもしれないですね」
十二支は家畜の群れ?
 この「みんながよく知っている動物かどうか」が、十二支レースの勝敗を分けたと見る理由が、もうひとつある。古代の中国で生まれたといわれる十二支だが、当初は動物など別に関係なく、12の動物はあとづけされたものだとか。

 「一般の人が干支を覚えやすいように動物とひもづけた、という話を聞いたことがあります。十二支の動物を見ると、ほとんどが家畜ですよね。ニワトリ(酉)は3〜4000年前に東南アジアのセキショクヤケイが家禽化したもので、歴史が古い。犬の起源だって最近いわれているもっとも古い説は3万5000年前で、おそらく2万年前には家畜化されていたのではないかと見られています。十二支を覚えてもらうには、古くからなじみのある動物にしなきゃ、ということが背景にあったんじゃないかと思います。」

 今でこそ、我々にとって、とてもなじみ深い猫も、歴史のなかでは新参者。寓話ではネズミにだまされ、歴史ではトラやほかの家畜に認知度で負けて、十二支に入れなかった、としたら……なんだか切ない。すると先生はなぐさめるように「もし今、十二支を選び直すとしたら、絶滅しそうなトラより、絶対猫を入れるでしょうけどね」とフォローしてくれた。」

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