タンキリマメ
(痰切豆)

マメ科 つる性多年草
花 期 7〜9月


 観音崎にほど近い,亀崎半島のオオイタビ群生地の近くでタンキリマメを見つけた。赤いサヤがはじけて,黒いタネが目,サヤが口,まるでカエルの顔のように見える。何となくユーモラスな雰囲気が辺りに漂っている。

 タンキリマメの生えている場所は空き地であるが,4〜5年前までは地主が生け垣の剪定や草刈りをしていたので,生け垣沿いの細い道をバイクで通行できた。ところがここ数年は草も木も伸び放題で,バイクで通行できないどころか,腰をかがめないと歩けないほどになってしまった。それが逆に植物たちにとっては幸いしてか,いろいろな植物が実に伸びやかに生き生きとしている。これが本当の自然なのだろう。

 タンキリマメを漢字で書くと「痰切豆」,その名の通り黒いタネには痰を切る効能があるとか。講談社の日本語大辞典には”黒い種子は鎮咳去痰剤”とあった。今度カゼを引いた時,タネを磨りつぶして試してみたい。 
2006.11.1
  
  
  
   
 可愛らしいタンキリマメに出会ってから8ヶ月余,どんな花が咲くのだろうか?5月末頃から気になり,時折,現地を訪れていたが,つぼみがなかなかふくらまずヤキモキしていた。

 台風一過後,久し振りに現地へ行ったところ,強風の影響で周辺はだいぶ荒れ果てていたが,黄色い花をつけた,タンキリマメのツルを見つけた。花の写真を拡大すると,花が笑っているように見える。カエルの顔に似たタネやサヤ同様,何処か愛嬌がある花だ。
2007.6.16
  
  
トキリマメ
   
 タンキリマメに似たつる植物にトキリマメがある。赤いサヤの大きさ形,はじけた状態と黒い二つのタネ,実によく似ている。三年前,防衛大学の野戦演習場?の片隅でトキリマメを見つけ写真に撮ったが,最近は警備が厳重で立入が不可能になり,現状を確認できないのが残念だ。せめて日曜祭日くらい,あの広大で自然豊かな場所を一般開放して貰えないものだろうか?

 タンキリマメとトキリマメの大きな違いは葉の形状にある。タンキリマメの葉はその中央部以上のところで最も幅が広くなり,葉先は尖らない。それに対して,トキリマメの葉は中央部が最も幅が広く,葉先が急に細くなって尖っている。

 タンキリマメもトキリマメも観音崎公園内では見た記憶がない。公園管理者がつる植物を目の敵にしている為か?最近ではアケビもほとんど姿を消してしまった。つる植物の多くは秋になると美しい実をつけるものが多い。観音崎公園の豊かな自然の象徴として「つる植物の保護」は不可欠だと私は考えるのだが?年を追う毎につる植物が減少しているのが残念でならない。

2003.10.5

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