ワ カ メ
(若布)

褐藻類
コンブ目 チガイソ科
高さ 100〜200cm
 鴨居港の冬の風物詩,ワカメの天日干しが始まった。小春日和に恵まれた1月25日,観音崎への散歩途中,鴨居の浜を覗いてみると,朝早く収穫した生乾きのワカメ棚から,特有の磯の香りが漂ってきた。観音崎近くの鴨居や走水ではワカメ養殖が盛ん。天日干しされたワカメは「観音崎わかめ」の名で市内・県内は勿論,東京方面へも出荷されている。
2004.1.25

鴨居港外に広がるワカメの養殖棚
 
 
 
 
 
天然ワカメ
 
 観音崎周辺の磯には天然ワカメが沢山生えている。春,大潮の干潮時,波にユラユラ揺れるワカメを,あちこちで見ることができる。
 

天然ワカメの収穫
健康食品
     
 ワカメの収穫時期は1月中旬から3月下旬。特に2月末頃までの生ワカメをサッと湯通しすると,朽葉色から一瞬にして若葉色に変化する様は神秘的ですらある。そのワカメをショウガ醤油で食べると,シャキシャキとした歯ごたえがあり,ことのほか美味しい。味噌汁の具の他,シャブシャブやサラダにしたり,いろいろな食べ方がある。

 天日で干したワカメは生ワカメと比較すると,歯ごたえこそ若干落ちるが,栄養価は高く,健康食品として人気がある。ワカメにはミネラルやビタミン類が豊富に含まれ,肥満防止・新陳代謝の促進・動脈硬化予防等々,成人病予防・メタボ対策には最適の食品のようだ。老化防止にも効果があり,禿や薄毛にも効くと聞いたことがあるが,これは眉唾ものだと私の頭で証明できる。(*^_^*)
 

湯通しの前・後
 

醤油をかけると酒のつまみに!
 
芽  株
    
 ワカメの茎の根元部分にあるヒダ状の部分をメカブ(芽株)と呼ぶ。収穫したワカメを天日干しする時,以前,その部分は切り捨てられていたが,メカブが微量栄養素の宝庫で,健康食品としての成分が,葉の数倍も豊富に含まれていることが判り,最近では貴重品扱いされるようになった。因みに,近所のスーパーで値段を調べた所,葉が100g当たり58円に対し,メカブは78円,35%も割高なのには,一瞬,我が目を疑ってしまった。

 食べ方はいたってシンプル。メカブをスライス又は細かく刻み,醤油や下ろし生姜を少し加えてかき混ぜると,粘りが出てきて,まるで納豆のような状態になる。それをご飯にかけて食べる。食感は歯ごたえがあり,シャキシャキしているが,味そのものは,美味と言うほどのものではない。メカブ人気の秘密は,味よりもその健康性にあるようだ。
2010.1.28
   
 
    
天秤で量り売り
  
 鴨居の浜で菜の花やハマダイコンが咲く頃,ワカメの収穫シーズンが終わりに近づいた時期でもある。日ごとに上昇する水温に急きたてられるように,浜では漁師さん達が,菜の花を横目に忙しげに働いていた。
2005.3.13
 
 船から陸揚げしたばかりのワカメを,丁寧に切りそろえている漁師さんを何気なく眺めていると,一人のお年寄りが現れ「生ワカメを親戚に送ってやりたいので,少し分けてくれる?」と漁師さんに声をかけた。「ああ!いいよ!何キロくらい?」「2000円頼むわ!」「2000円だと○kgくらいだね!」「それくらいで良いわ!」と商談が成立。

 生ワカメの重さをどうやって量るのだろう?好奇心に駆られ眺めていると,驚いたことに天秤(テンビン)が登場した。むかし,行商人や屑やさん(現在の廃品回収業者)が持ち歩いていた,懐かしい天秤。私が天秤を最後に見たのはいつだったろうか?いくら考えても思い出すことができない。
 
 
 あまりに懐かしくも珍しい光景に,私は思わず漁師さんに「写真を撮らせて貰って良いですか?」と声をかけた。漁師さんは笑顔で「ああ良いよ!」と快諾してくれたが,カメラは一切眼中になく,作業はどんどん進んでいく。私は慌ててカメラを構え,シャッターを押したが,はたしてどんな写真が撮れたことやら?多いに不安であった。
 売買が終わった後,私は厚かましくもお願いして,天秤を手に持たせて貰い,写真に撮らせていただいた。鉤(かぎ)と分銅(ふんどう)部分が錆びている割には棒の部分は比較的新しい。不思議に思い「この天秤はいつ頃から使っているのですか?」とお尋ねすると「二年前,横須賀・公郷の”はかりやさん”で18,000円で買ったの!」と奥さんから意外な返事が戻ってきた。どうやら今でも需要と供給があるらしい。需要も供給も少ないためそのような高値?になるようだ。

 私が懐かしそうに天秤を手に持ち,しげしげと眺めていると,「片側で7kg,反対側で15kgまで量れるの!」と言われた。意味が理解できずに詳しく説明していただいたところ,支点Aを持つと15kgまで,支点Bだと7kgまで計量できることが判明した。いい歳をして,このようなことすら知らなかったのはお恥ずかしい限りだが,今の子ども達には,この道具の用途すら判らないのでは?とその場を後にした。 

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