ツユクサ
(露草)
別名 : 月草・蛍草・青花・藍花・帽子草他
ツユクサ科 | : | 1年草 |
花 期 | : | 6〜9月 |
草 丈 | : | 15〜30cm |
観音崎京急ホテル正門の道路の向かい側,防衛大学校走水官舎の片隅にツユクサの群落を見つけた。まるでホタルが乱舞するように,青い花が無数に咲いていた。 ツユクサの群落は,歩道に沿った低いフェンス越しに見ることができる。他にもいろいろな雑草が生えているところを見ると,人為的にツユクサだけを保護しているとも思われない。たまたまその場所が,ツユクサの生育に適しているようだ。 ツユクサの仲間に白い花を咲かせるトキワツユクサがある。観音崎公園内の林の中に,数ヶ所大きな群落が見られるが,ツユクサはあちこちで散見されるものの,群落らしきものは見当たらない。 トキワツユクサが大木の木陰等,人があまり立ち入らない場所で繁茂するのに対し,ツユクサは園路沿いの,比較的日の当たる場所で繁茂,頻繁に除草されてしまうため,群落が形成できないと思われる。 |
2006.8.25 |
ツユクサは観音崎公園は勿論,空き地や路傍に生えているありふれた雑草で,特に珍しい存在ではない。早朝開花,午前中には萎んでしまうはかない花だ。朝露に濡れた青い花の風情からツユクサ(露草)と名づけられたようだが,私は子どもの頃,この草をホタルグサと呼んでいた。いかにもホタルが飛んでいるような雰囲気があり,この花に相応しい名前と思っていたが,ツユクサという正式名があるのを知ったのはつい数年前のことである。 私は東京で生まれ,戦時中,茨城や静岡に疎開,小学校二年生になって再び東京に戻ったが,ホタルグサという名前をいつ覚えたか定かではない。ツユクサにはホタルグサの他にもツキグサ,アオバナ,ボウシグサ等々別名が30数個あると言われている。それだけ身近で,人々に愛されてきた花なのだろう。 小学館の世界原色百科事典によれば,「ツユクサからとった青色の液体を青花といい,水で洗うと消える特色があるので,友禅染などの下絵を描くのに用いる。市販されているものは,液を一旦和紙に含ませ,乾かしたもの(青花紙)で,これを水につけて青色に染まった液を使う。」とある。ツユクサはなんとも奥ゆかしい花だと思う。 ツユクサの若葉はお浸しなどにして食用になると言われるが,正直のところあまり食べる気にはならない。恐らく無味無臭,無益無害,淡泊な味だと思われる。普通,雑草と呼ばれる草花も,調べてみると意外な薬効があり,民間薬として使用されているものが多いが,ツユクサにはそのような成分は含まれていないようだ。あまり自己主張せず,癖のないところがツユクサの特徴なのかもしれない。 |
ツユクサは日本全国どこでも見られるありふれた雑草だが,なかなか美しく可愛らしい花である。写真を拡大してみると,まるでミッキーマウスかなにか動物の顔のようで,目が笑っているようにも見える。 |