地球深部探査船
ちきゅう
総トン数 | 約57,087 | ||
全 長 | 210m | ||
全 幅 | 38m | ||
深 さ | 16.2m | ||
やぐらの高さ | 121m | ||
推進装置 | サイドスラスター | 2,550kw×1基 | |
アジマススラスター | 4,200kw×6基 | ||
最大速力 | 12ノット(時速約22.2km/h) | ||
発電機容量 | 35,000kw | 主発電機 | 5,000kw×6基 |
補助発電機 | 2,500kw×2基 | ||
最大乗船人員 | 150人(乗組員100人,研究者50人) | ||
乗組員 | 900名 | ||
ヘリコプターデッキ | 30人乗り大型ヘリコプター発着可能 | ||
就 航 | 2005年 | ||
船 籍 | 横須賀港 | ||
建造・運用 | 海洋研究開発機構 地球深部探査センター |
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運航・掘削 | 日本マントル・クエスト |
2010年3月30日横須賀に帰港する地球深部探査船「ちきゅう」が午前7時30分頃,浦賀水道に入航するのを知り,観音崎公園・展望園地へ出かけた。7時20分過ぎ園地に到着。浦賀水道航路・南口付近を見ると,高いやぐらを載せた大型船が目に入った。ちきゅうだ! 定刻の7時30分頃,ちきゅうは動き出したが,スピードは遅い。本船の最大速力は12ノット(時速約22km/h)で自転車並みのスピード。客船は普通20〜30ノット(時速約37〜56km/h),その約半分のスピードなので非常に遅く感じられる。 ちきゅうは「巨大地震・津波の発生メカニズム,地下に広がる生命圏,地球環境変動等々の解明,そして人類未踏のマントルへの到達という壮大な科学目標を掲げている科学掘削船(深海掘削船)。水深2,500mの深海で,地底下7,500mまで掘削することができる世界最高の能力を備えている。」とか。 ※要旨:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 |
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ちきゅうは徐々にスピ−ドを上げ観音崎沖に近づいてきた。一見したところ,海底油田で活躍する石油掘削船に似ているが,それにしても,やぐらの高さが際立っている。手前の海上では,ちきゅうの通過も知らぬげに,小型漁船が数隻,何やら一心不乱に漁をしている。カメラをズームアップしてみると,天然ワカメを採っているようだ。 | |
しばらくして,東京湾観音の前を通過。残念ながら逆光気味のため,鮮明な画像は撮れないが,富津市の大坪山山頂にある東京湾観音が小さく見える。身の丈56mの観音様も,この巨大な建造物には目を丸くされているに違いない。 | |
ちきゅうが東京湾観音の前を通過したのを見届け,観音崎園地へ移動。東京電力富津火力発電所や新日本製鐵・君津製鉄所前,そして第一海堡前を通過したが,工場の高い煙突や人工島の第一海堡がいつになく小さく見える。このころになってようやく逆光から順光に転じ,本船の全貌が少しハッキリしてきた。時刻は8時40分,浦賀水道航路・南口をスタートしてからすでに1時間10分が経過していた。 | |
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昨秋の衆議院選で民主党が大勝,政権交代が実現した。育児手当や高校の授業料無償化,高速道路の一部無料化等々。誠におめでたい限りである。事業仕分けとやらで,無駄遣いが排除されたのは,喜ばしいことだが,スーパーコンピュータなどの科学技術費削減決定に対しての某議員の発言には耳を疑った。「世界一になる理由があるんでしょうか?」「2位じゃダメなんでしょうか?」まるで正義の志士のごとく,高圧的な態度で振る舞うその姿に愕然とした。 日本は資源を持たない技術立国。子ども達の将来を本当に考えるなら,育児手当や高校の授業料無償化も結構だが,科学技術費の削減などは論外だと思う。ちきゅうで採取した貴重な試料等を分析・解明するには,最新鋭のスパコンは必要不可欠の筈だ。近視眼的な政策では日本の将来が案じられてならない。 NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」,大河ドラマ「龍馬伝」に登場する幕末から明治にかけての志士たちは,貧しいながらも常に天下国家を論じ,日本の将来を考えていた。私利私欲とは無縁と思われるひたむきさがあった。ちきゅう関連の予算が削減されたかどうかは定かでないが,仮初めにも本船の稼働がストップしたり,係船されるようなことがあってはならないと願うのは私だけだろうか? |
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2010.4.1 | |
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2010.10.26(火)付の読売新聞・朝刊・13面・解説のページに「ちきゅう」関連の記事が掲載されていた。近年,中国はさまざまな分野で日本を脅かす存在になっているが,海洋掘削の分野も例外ではないようだ。 今週から事業仕分けとやらが始まったが,昨年の事業仕分けを考え合わせると気が気ではない。税金の無駄づかいを排除することは大歓迎だが,行き当たりばったり,近視眼的な現政権が,どこまで日本の将来を見据えた事業仕分けができるのだろうか?その仕分けの推進責任者?がファッションモデル紛いの大臣だというから,なんともお寒い限りだ。 海洋地下には石油や天然ガス資源の他に,自動車や電子機器など日本の基幹産業に欠かせないレアメタルも眠っている可能性がある。海外からの輸入がストップすることに戦々恐々としている現状を考えると,一刻の猶予も許されない。 極論を言えば,育児手当や高校の授業料の無償化は,経済的な支援を必要とする者だけに止め,浮いた予算を科学技術などの将来を見据えた分野に増額する。それが子ども達の明日を考えた真の事業仕分けではないだろうか? |
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2010.10.28 | |