サンコタケ
(三鈷茸)


アカカゴタケ科  高さ:5〜10cm

(食用に不適)

 観音崎ふれあいの森の園道を歩いていると,カニのツメのようなものが地面に落ちていた。近づいて良く見るとそれはキノコの一種のようで,まだ生えたばかりなのか,ツメの先が僅かにのぞいていた。

 ふれあいの森の園道は倒木から造ったチップを腐食させ,土に近くなったものを敷き詰めてある。他の場所の園路が御影石やレンガを敷き詰めたり,コンクリートやアスファルトで舗装されたりしているのに比べ,ふわふわとした感触が足に心地良く,その上いろいろなキノコが顔を出す。 
2004.11.15
 
 カニのツメのようなキノコが生長したらカニが現れるかも?そんな期待もあって翌日同じ場所へ出かけてみると,例のキノコは残念なことに誰かに踏みつけられ,無惨な姿になっていた。

 諦めきれず,その周辺を丹念に探してみると,20m位離れた場所で同じキノコを発見。それは昨日のものより生長していて,親指と人差し指の先を合わせたような形をしていたが,角度を変えて見ると指は4本あることが判った。
    
  
   
 そのキノコの生えている周辺は,まるでウズラの卵から孵化するように,他にも同じキノコが続々顔を出しそうな気配で,なんとなく不気味な雰囲気が漂っていた。
  
 キノコ図鑑で名前を調べてみると,写真に撮ったキノコはサンコタケ(三鈷茸)と呼ばれるキノコで,驚いたことに同じアカカゴタケ科の仲間には,ツメのような部分が2本のカニノツメと呼ばれるキノコもあることが判明した。

 三鈷とは密教で使われる仏具で,カニのツメのような部分が3本あることからそう呼ばれるが,キノコの場合は3本以上,多いものでは6本もある。観音崎の場合は,私が見たもの全ての腕が4本であった。

 図鑑によれば,サンコタケはカニのツメに似ているが食用には不向きで,腐肉のような悪臭がするとあった。後日,私は物好きにも念のため,その臭いを嗅いでみたところ,確かになんとも言えない悪臭で,食べることは勿論,臭いを嗅ぐこともあまりお薦めできない。
  

密教の仏具 三鈷(三鈷杵)

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