レンガ構築物
走 水 水 源 地

 観音崎に程近い,あるいは観音崎の一部とも言える「走水」はその名が示すように地下水が豊富で水質が良いことでも知られている。

 観音崎の初代灯台を建設したフランス人ヴェルニーは横須賀造船所の建設にも関わり,そこで使用する水道水として走水の豊富な湧水に着目して水源としたのが走水水源地の始まりです。

 明治9年にヴェルニーが造船所に通水した当時は土管を敷設し,湧水を送水する程度の物でしたが,その後レンガ造りの貯水池を始めとする集水施設を建設,明治35年に完成しました。

 走水水源地は市内唯一の水源で,明治時代に造られたこれらの施設は現在も現役として働き続けている。走水水源地の保有水量は1日あたり2,000m3で,横須賀市全体の水の使用量から見れば1%程度の微々たるものですが,関東大震災でも枯れることがなかったため,災害時には横須賀市の応急給水の拠点となる重要な役割を持っています。  
   

走水水源地のレンガ造貯水池
 貯水池のレンガはイギリス積で,アーチ型部分の内側は出入り口として使用していたものを後日長手積のレンガで塞いでいるため,レンガの色合いや質が異なっている。
      

建設当時の写真
 貯水池の前には国道16号を挟んで横須賀市水道局・走水水源地管理センターの建物がある。数年前までは,それを囲むレンガ塀にあるヴェルニー像の水瓶から流れ出る水で道行く人がのどを潤すことができた。

 ところが味の良さが評判となり,大きなポリタンクやペットボトル等をいくつも持参し長時間駐車しながら多量の水を汲む人が増え,交通事故等の発生する危険性も考えられる事態となった。

 このため水道局は危険防止を理由にヴェルニー像からの給水をストップ,胸像のある部分を鉄製のカバーで塞いでしまった。当時の現場での混乱ぶりを知るものとしては水道局の処置も止む得ないものがあると思うが,危険防止策を講じ給水が再開されることを望むこと大である。
    

撤去されたヴェルニー像

走水神社境内にある湧水

湧水の由来

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