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「この鳥の名前は?」の答はメジロです。「人を馬鹿にするな!」とお叱りをうけそうだが,実は私は7〜8年前まで,この鳥をウグイスだと思いこんでいた。メジロと知った時のショックは大きく,自分の常識がいかにいい加減なものであったかと思い知らされたものだ。 ところがその後,梅見に出かけ何気なく注意していると,メジロを見て「ウグイスだ!」と囁きあったり,喜んだりしている光景を度々目撃する。どうやらメジロをウグイスと思いこんでいる人は私ばかりではなさそうだ。 |
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メジロをウグイスと思いこんでる人が多い理由に「梅に鶯」の例えがあげられる。「取り合わせがよい」ことの例えだが,私は本物のウグイスが梅に留まって”ホーホケキョ”と鳴いている姿はいまだに一度もお目にかかっていない。逆に,メジロが梅の花を吸蜜している姿はしばしば見かける。 | ||
ウグイス 2002.2.24 |
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それとウグイス餅やウグイス豆の存在もある。餅も豆も美しい黄緑色をしているが,その色を一般的には「ウグイス色」と呼んでいる。そのウグイス色はメジロの羽色に近い。 ところが,色の区別を表すために考案された色名を調べてみると,面白い事実がわかった。現在,私達がウグイス色と呼んでいる色は萌黄色(もえぎいろ)に近く,本物の鶯色は鳥のウグイスの羽のように暗い色をしている。何故このような混乱が生じたのだろうか? 梅の花の咲く頃,ウグイスは「ホーホケキョ」と美しい声で鳴くようになるが,「声はすれども姿は見えず」で,なかなかその姿を現さない。その頃メジロは,梅の花を吸蜜にしばしば姿を現すようになるが,あまり囀る(さえずる)ことはない。そのため昔の人は,メジロが「ホーホケキョ」と鳴いているものと勘違いしたのだろう? |
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ウグイス 2002.6.10 |
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萌黄色 |
鶯色 |
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観音崎公園にはメジロが多い。群れをなして移動する姿を時々見かけるが,4〜5月頃になると美し声で囀るようになる。ウグイスに負けず劣らず美しい声だが,少々早口で,ウグイスのようなおっとりとした優雅さはない。 メジロの鳴き声は「チーチュルチーチュルチーチーチュルチー」だが,昔の人は「長兵衛,忠兵衛,長忠兵衛」と聞こえたらしい。そう思って,メジロの鳴き声に耳を澄ますと確かに「長兵衛,忠兵衛,長忠兵衛」と鳴いているように聞こえる。 |
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2004.6.27 |
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メジロの名前の由来は,目の周りが白いことから来ているが,目の周りが黒い「メグロ」も存在する。小学館の図鑑・NEO「鳥」によれば「小笠原諸島の母島列島と聟島列島だけに分布していた固有種でしたが,聟島では絶滅しました。放されたヤギが森林を破壊し草原を裸地にしたのが原因です。」とある。 | ||
メジロ 2005.1.12 |
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メグロ 小学館の図鑑・NEO「鳥」から転載 |
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見頃を迎えたサクラの花見に,一般開放中の走水水源地へ出かけた。途中,走水神社近くの路上で,家内が「あんなところにボールが!」と声を上げた。指さす先を見ると,ボールのようなものがモミジの枝にぶら下がっていた。 「あれはメジロの巣だよ!」見覚えのある私は説明したが,「硬式テニスのボールかもしれない?」と家内はなかなか納得しない。言われてみると確かに見事な球状をしていて,とてもメジロが作ったものとは思えない。 帰宅後,「メジロの巣」でウエブ検索してみると,50,000件を超えるデータが表示された。その幾つかを開いたところ,走水のものと類似した巣の写真が見つかり,家内に得意気に報告してようやく面目を施したが,それにしても見事な出来栄えの巣だった。 |
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206.3.27 | ||
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自宅の近所を歩いていると,ツタで覆われたブロック塀の中程から,小さな鳥が二羽飛び出し近くの電線に留まった。メジロだった。雌雄のメジロのようで,飛び去ることなく,なにやら私の方を心配気に眺めてる。 | |
2006.5.25 | |
メジロの巣でもあるのだろうか?二羽が飛び出した辺りを覗き込んでみると,ツタの細い根に,巣立ちしたばかりと思われるメジロのヒナが留まっていた。辺りを見回してみたが,近くに巣は見当たらない。 親鳥の心配をよそに,ヒナの記念写真を撮らして貰い,その後,少し離れた場所で親鳥の行動を観察してみた。私がヒナから離れたのを見て安心したのか,二羽は飛び立ったが,しばらくすると戻ってきて,再び電線の上に留まった。口には虫のようなものをくわえている。 電線の上で周囲を窺い,危険がないことを確認して,二羽は塀の中の茂みに飛び込んでいった。耳を澄ますと数羽のヒナがいるのか,賑やかな鳴き声が聞こえてくる。そこに巣があるようだ。 どうやら下にいるヒナは,せっかちに巣立ちしたものの,採餌能力がまだ充分でないのか,心配した親鳥が時々給餌しているようだ。最近は人間様の世界でも,似たような若者を時々見かけるので,ヒナを横目で見ながら,思わず苦笑してしまった。 |
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野暮なコメントは不要? | |
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7〜8分咲きのソメイヨシノに十数羽のメジロが群れて,忙しげに花から花へと飛び移り,花の蜜を吸っていた。サクラの花の蜜はどんな味がするのだろう? | |
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我が家のネコの額ほどの庭から,チーチー,チーチーと可愛らしいメジロの鳴き声が聞こえてきた。樹齢35年になる柿の木に,来年もまた豊かに実るよう「木守り」として一つだけ取り残した実を,いかにも美味しそうに啄んでいる。昨日までは丸々残っていたものが,いつのまにやら半分ほどになっていた。カラスやヒヨドリも啄んだのかもしれない。 | |
いかにも美味しげに啄んでいる姿を眺めていると,そこへもう一羽のメジロがやって来た。恐らく実の奪い合いになるのでは?と心配していたが,あとから来たメジロは,先客の食事が終わるのを,傍らで静かに待っている。暫くして,満腹した先客が飛び去るのを待って,柿をつつきだした。マナーは人間様より上のように見えた。 | |