クサフグの集団産卵
(草河豚)


フグ科  内臓と皮に猛毒
全長:25cm

猛毒クサフグ
産 卵 場
集団産卵始まる!
観察に適した日時
産卵準備?
猛毒クサフグ
 
 クサフグは体長10〜15cm。愛らしい姿をしているが,その姿に似合わず肝臓・腸・卵巣・皮には猛毒,肉にも弱毒があるので食用にはならない。「フグ調理師が処理したものなら食べることができる。」との情報もあるが,素人調理は禁物である。

 クサフグの食欲は旺盛で,海の表層部を泳いでいるため,釣り糸を垂れると真っ先に食いついてくる。小さな鋭い刃を持っていて,ハリスを簡単に食いちぎり逃げてしまう。仮に釣り上げても食用にはならないので,結局逃がすことになる。釣り人には実に迷惑千万な存在だ。 
集団産卵場
 
 観音崎にはクサフグの集団産卵場がある。場所は観音崎大橋の下,高橋邸の前に広がる腰越の浜がそれ。例年,6月上旬〜7月中旬にかけての夕方,潮の干満の差が大きい大潮の満潮時刻の2〜3時間前から,数百・数千匹のクサフグが徐々に波打ち際へ集まってくる。

青で着色した付近が産卵場
集団産卵始まる!
 
 波打ち際に集まり,最初はてんでんバラバラに泳いでいたクサフグ達も,日が沈み,辺りが薄暗くなるのにつれて,丸々と太ったメスを先頭に,少し小さくスリムなオス達がそれを追いかけるようになる。波打ち際には,あちこちに幾つものグループが出現する。

 メスが大波に身を任せ,砂浜に乗り上げ身体を震わせ産卵すると,追いかけてきたオス達が,狂ったように精子を放出する。辺りの海水は白濁,一瞬薄い煙幕を張ったような状態になる。何回見ても,神秘的で感動的な光景だ。
2005.6.23

2005.6.23
  

2005.6.23
 

2005.6.23
 クサフグ達は寄せる波に乗って砂浜へ乗り上げ,産卵は瞬間的に行われる。返す波に乗って波打ち際へ戻るが,産卵がピークを迎えると,返す波に乗り遅れた連中が,砂浜でピチピチ暴れる姿があちこちで目撃される。

 卵は0.5mm程で,干潮時の乾燥に耐えられるよう,殻は丈夫に出来ている。8〜9日で孵化するがハゼ等に食べられてしまうことが多い。(フリー百科事典:ウィキペディアから引用)

2006.6.28
 

2006.6.28

2018.5.31 読売新聞・朝刊
2023年・集団産卵観察に適した日時
 
曜日 満潮時刻 潮高(cm)
17 大潮  17:11 165
18 17:53 168
19 18:33 169
7  16:53 162
17;35 168
18:13 171
18:49 172
    
(注)集団産卵はその日の波浪・気圧・風向・雨量などの自然条件等により,
また,年によっては観察できないことがありますので,この点ご承知下さい。
産卵準備?
 
 鴨居港近くの橋の上から,和田川を覗き込んでいる親子連れがいた。和田川は鴨居小学校の前を通り,鴨居港へそそぐ,川幅せいぜい4〜5mの小さな川。私もつられて覗いてみると,クサフグの大群が見えた。その数はザッと数えて千匹は下らない。

 この辺りは河口から20〜30mの地点なので,海水と淡水が入り混じる汽水域だが,更に30〜40mも遡れば,潮の干満の影響を受けない淡水域になる。それなのにクサフグ達は集団で上流を目指している。産卵を約1ヶ月後に控え,なんとも不可解な行動だ。
2008.5.16
 
 
 



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