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権現洞に落石防護網が設置された2009年前後から園路沿いの崖地には,次から次へと落石防護網を設置する工事が施され,それはいまだに続いている。その結果,今では公園内の大半の崖地が落石防護網に覆われてしまったと言っても過言ではない。
正直のところ落石防護網の見た目は,あまり感じの良いものではない。安心感を与えたり注意力を喚起するよりも恐怖心を煽るような気持ちになるのは私だけだろうか?必要な安全対策工事に異論を唱えるつもりはないが,過剰とも思われる工事も少なからず見受けられる。「県立観音崎公園再生計画(案)」をそろそろ復活して欲しいものだが,「安全第一」の錦の御旗には逆らえないのが現状。
園内の崖地に落石防護網の設置工事が始まってから,古いものでは既に10~16年が経過。最近では園内を歩いていてもあまり気にすることも少なくなってしまった。慣らされてしまったのかと思いながら,設置した辺りの場所をカメラ片手に歩いて見たところ,自然の持つ回復力・治癒力の大きさに改めて驚かされた。しかしながら,今後の設置工事及びメンテナンスの参考になると思われる事例もいくつか目についた。私は土木工学の専門家でもカジッタことすらないずぶの素人だが,少なからず参考になることもあるかと思われるので,写真でご紹介したい。
尚,落石防護網には「覆式落石防護網」と「ポケット式落石防護網」の二種類があり,法面(のりめん)と呼ばれる防護網を設置する地盤の傾斜面の状態によって使い分けている。 |
2023.6.9 |
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権現洞のある崖地には覆式落石防護網が設置された。工事中は崖地全体の草木が刈り払われ丸坊主にされてしまったが,施工後14年が経過。今では,洞窟の開口部周辺以外には,網目から顔を出した草木が生い茂り,防護網の存在があまりわからなくなっている。
その反面,固い岩盤が垂直に剥き出しになっていて,ほとんど表土が堆積していない開口部周辺は植物の姿もまばらで,四角形に切り取られた防護網の存在が妙に目障りな感じがする。開口部の防護網を洞穴の形状に合わせて少し大きめな半楕円形に改修できないものだろうか?
もし,それが技術的に難しいようであれば,観音崎周辺に自生する塩害に強い常緑つる性木本のオオイタビを網の下部に植栽して網伝いに繁殖させるのは如何でしょう?いずれにしても,現在の状態は観光スポットの一つとして,少々お粗末な感じが否めない。 |
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2023.5.16 |
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観光スポットの一つ「灯台」へ通じる坂道の崖には覆式落石防護網が設置されているが,崖が硬い岩盤で表土がほとんど堆積していないため植物はあまり生えず,落石防護網は剥き出しのままで,法尻(のりじり)と呼ばれる崖斜面下部に岩石等は全くたまっていない。この坂道は観音崎では通行量の多い場所なので,万一を考えて設置したと思われるが,ここまでする必要があったのか?後述の「塔のへつり」と対比するといささか疑問を感じる。 |
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2023.3.8 |
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2023.3.8 |
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灯台・」権現洞と並ぶ 観光スポットの一つ「花の広場」へ通じる第2駐車場から三軒家トイレに至る緩やかな坂道。道はくねくねと曲がりその左側はほとんどが崖。崖はほぼ北西ー北ー北東に面し,その上部には薄い表土が堆積。その上に大木が生えている場所も多く,過去に倒木や崖崩れがあった箇所もある。それもあって崖の約70~80%に落石防護網が設置されている。防護網を設置してから10~16年が経過したこの坂道を注意深く歩いてみたところ,改めて自然の持つ回復力・治癒力の大きさに驚かされると共に,今迄気づかなかった大きな問題点が浮かび上がってきた。そこで工事直後と今回撮影した写真を対比する形で問題点をご紹介したい。 |
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この坂道の途中に,自然の持つ回復力・治癒力の大きさと公園が抱える大きな問題点を感じる興味深い場所がある。その場所を仮に「X地点」,その場所の下方を「A地点」,上方を「B地点」と名付け,その「今・昔」写真を覧いただきたい。 |
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2007.3.7 |
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A地点の崖は写真左上に網目が若干覗いているものの,アジサイなどの低木やつる植物・シダ類その他が全面に生い茂り回復が進んでいる。崖は北西に面し,向い側には高木は見当たらず,中低木の落葉樹が生えてるだけなので,日照条件に恵まれているのが幸いしているようだ。 |
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2023.6.6 |
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X地点の崖は,北東に面しているため日照条件はA地点より若干劣るが,向い側はほぼ同条件のため防護網設置直後に比べてそれなりに回復している。しかしながらポケット式防護網を採用,網が直立して高いためその存在が未だに目立ちすぎる。それを和らげる対策として,観音崎に自生する常緑つる性木本のフウトウカズラやテイカカズラ,つる性落葉木本のフジを網の下部に植栽したら如何だろう? |
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2023.6.6 |
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2007.3.7 |
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B地点の崖の日照条件は,上記2地点に比べて一番劣る。東に面しているが,向い側に常緑高木のマテバシイが繁茂,林を形成して陽光を遮るため,崖に生えているのはほとんどシダ類で,防護網設置直後に撮影した写真と比べても,あまり回復しているとは思われない。
この地点から更に上っていくと,マテバシイは更にその数を増し,ますます崖の植生状態は悪くなる。マテバシイの林の中は,落ち葉が堆積しているだけで,林床に他の草木の姿はない。落石防護網の見てくれも大事だが,喫緊の課題として「マテバシイによる公園の荒廃化」が心配になってきた。マテバシイを適度に間伐すれば,林内の日当たりが良くなり,生物の多様性も増すのでは?在来植物を保護して繁茂すれば,結果として落石防止網の存在も目立たなくなることが期待される。
尚,マテバシイ問題については後日調査の上,「マテバシイが公園を荒廃」と題して掲載したいと思います。 |
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2023.6.6 |
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