ハ マ ユ
ウ
(浜木綿)
別名 :
ハマオモト(浜万年青)
ヒガンバナ科 多年草
草丈:50〜80cm
ハマオモト(万年青)の別名を持つハマユウが咲き始めた。ハマユウには真夏の青空と海がよく似合う。30数年前,東京に住んでいた頃,ハマユウは伊豆半島辺りまで行かないと見られない南国の植物と思っていたが,観音崎でこの花を初めて見たときはおおいに感激したものだ。 観音崎周辺で見られるハマユウは全て植栽されたもので,大きな群落はないが,お薦めの場所が4ヶ所ある。たたら浜,観音崎京急ホテル,鴨居・高橋邸,鴨居・田辺邸がそれで,観音崎への道すがら立ち寄ってみるのも一興だ。 |
2007.7.20 |
2007.7.20 |
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毎年夏になると,たたら浜の上にある木道の花壇にハマユウの花が咲く。その花壇にはハマユウの他に,イソギク・ハマカンゾウ・ハマナデシコ等の海岸植物が植えられ,観音崎自然博物館のボランティアの努力により,四季折々花が咲き,道行く人の目を和ませてくれる。 ところが今年年はハマユウの様子がどうもおかしい。私はそれを梅雨明けが遅れ,天候が不順なためと思っていたが,それにしても成長が遅いため,近づいて良く見ると驚くべきことを発見した。 昨年,私が撮ったお気に入りの写真の一つに,海を背景にしたハマユウの写真があるが,そのハマユウの生えていた辺りがポッカリと穴が空いたようになっていて,良く見ると,枯れたハマユウの株に,白と黒の縞模様をした蛾の幼虫らしきイモムシがうごめき,サナギも幾つか付着している。 私は反射的に一匹のイモムシをつまみ上げ,踏みつぶしてしまったが,あまり気持ちの良いものではない。ハマユウを善,イモムシを悪とするのは私から見た価値判断で,そうすることが良いものかどうか,結局結論が出ないままに私はその場をあとにした。 |
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2003.7.28 | |
2002.7.19 |
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2003.7.28 |
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ハマユウを食い荒らしていたイモムシのことが気にかかり,昆虫図鑑で調べてみたがハッキリしない。フト思い出したのが,鴨居港を臨む小さな亀崎半島にある,横須賀市自然・人文博物館の元館長 田邊 悟
氏のご自宅の前にハマユウの群落があることと,その著書「観音崎物語」にそれに関する記述があることだった。 読み返し要約すると…… ハマユウは三浦半島の相模湾に面した葉山に近い天神島を北限とし,神奈川県の天然記念物に指定され,横須賀市の”市の花”に制定されているが,観音崎周辺は自生分布から外れていている。……従って,観音崎周辺にあるハマユウは全て植栽されたものになる。 ハマユウは別名ハマオモトとも呼ばれるが,最近”害虫”がつきはじめ,その名をハマオモトヨトウという蛾である。この蛾の幼虫ヨトウムシは,ハマユウだけしか食べないという食べ物の選択肢がハッキリしている。 しかも,ハマユウを全部食べてしまうと,自分たちの食べるものがなくなるので,適当な量を食べて共存しているのだといわれる。黒と白の横縞な虫なので念のため…… ハマユウを食い荒らしているイモムシは,なんとも憎たらしげだが,小さな魚や貝まで根こそぎゴッソリと乱獲してしまう人間より,知恵はだいぶ上のようである。 |
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三年前まで見事な花を咲かせていた,たたら浜の木道沿いに植えられたハマユウが,ボランティアの努力も空しくヨトウムシに食い荒らされ,10株が枯死,残り10数株も葉が黄ばんで元気が無く,花をつけているのはたった一株だけとなってしまった。 田辺先生の著書によれば「ヨトウムシはハマユウを全部食べてしまうと,自分たちの食べるものがなくなるので,適当な量を食べて共存しているのだといわれる。」とあるが,最近のヨトウムシは人間同様,目先のことしか考えないのだろうか? |
2005.8.6 |
ハマオモトヨトウの食害で,開花しないのではと思われた木道周辺のハマユウ2株が遅ればせながら咲き始めた。海に面して左側の10株ほどは全滅したが,右側の10株が生き残り,その内の2株が何とか花を咲かせている。たたら浜の海水浴客を見下ろすように咲いているハマユウの花にはどこか南国ムードが漂っている。 |
2006.8.6 |
2006.8.6 |
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2005.9.9 |