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観音崎にペンギン現る?

 観音崎自然博物館裏の岩場で,花盛りを迎えたハマボッスの花の写真を撮っていた。何げなく海に目をやると,人間の頭のようなものが動くのが見えた。水深1〜2mほどの浅瀬で,何か獲物を探しているのだろう?海はベタ凪に近い穏やかさだ。

 10秒,20秒,30秒経っても顔を水中に入れたまま,一向に顔を上げない。シュノーケルも着けずに,良く息が続くものだ。感心していると,突然水中に潜った。その素早い動きは,とても人間業とは思われない。カッパだろうか?
2008.5.23
 今時カッパがいるはずもないのに。何となく薄気味悪くなったが,カメラを向け,身構えていると,頭は徐々にこちらへ近づき,そして顔を上げた。鳥だった。それもペンギンだ。全長は30cm前後?小型のペンギンのようだ。

 観音崎にペンギン?ビックリ仰天,辺りを見回したが人っ子一人,猫の子一匹いない。八景島シーパラダイスか京急油壺マリンパークから脱走でもしてきたのだろうか?
 帰宅後,画像を拡大してみたが,これまでお目にかかったことのない鳥だ。見れば見るほどペンギンに似ている。もしペンギンだったら一大スクープ。ニックネームは観音崎のペンギンだから「カンペンちゃん」はどうだろうか?

 他愛もないことを考えながら,野鳥図鑑とにらめっこ。先ずはペンギンの仲間と比べてみたが,図鑑には似たようなペンギンは載っていない。それに全長が小さすぎるようだ。一番小さなコガタペンギンでも全長は40cmあるという。

 止むを得ず,他の海鳥の仲間と比較してみることにした。当てずっぽうに,片っ端から調べて見たが,なかなかそれらしき鳥に辿り着かない。最後の最後,チドリ目ウミスズメの仲間にそれらしき鳥を見つけた。どうやらウミスズメのようだ。

 確認の為,野鳥に詳しいボランティアの先輩にメ−ルでお尋ねしたところ,下記のようなご返事を頂いた。
 「ウミスズメにまちがいないです。よく見つけましたね。城ヶ島沖でたまに見かけることはありますが,観音崎ではあまり見かけません。先日の台風並みの風雨で,観音崎まで飛ばされて来たと思います。」
余    談
  

 ペンギンではなかったが,ウミスズメとしてもこの近辺では目撃例は少ないはず。そこで,山階鳥類研究所へこの事を報告したところ,折り返し次のようなご返事を頂いた。
 
「ウミスズメは千島・アリューシャン列島、やアラスカ南部および日本の北海道・岩手県で繁殖し、冬はやや南下します。「レッドデータブック」絶滅危惧IA類。日本野鳥の会神奈川支部2007の「神奈川の鳥2001-05」によると、神奈川県では冬鳥で飛来し、越冬するが、個体数は多くない。近年3月から5月にかけて房総半島方向へ多くの個体が数十羽の群れになって移動するのが確認されているとのことです。」


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