コバノタツナミ
(小葉の立浪)


シソ科 多年草
花 期 4〜5月
草 丈 5〜20cm



 4月下旬から5月中旬にかけて,観音崎公園の噴水広場から戦没船員碑へ至る坂道の側溝沿いや,観音埼灯台の入り口付近の崖地等でコバノタツナミが見頃を迎えるが,小さな花なのでうっかりすると見逃してしまう。しかしながら,顔を近づけてよく見ると,なかなか美しい花で,花の形が波頭に似ていることから「立浪」と名づけられたことからも分かるように,押し寄せる波の雰囲気があり,実に素晴らしいネーミングだと感心する。
2006.4.30

2006.5.6

2014.4.22

2005.5.4

コバノタツナミの実  2005.6.8
 コバノタツナミの花の形を眺めていて,私は何故か葛飾北斎の冨嶽三十六景 の一つの情景を連想した。早速,本棚の片隅に眠っていた北斎の版画集の中から, 私のイメージにあった「神奈川沖浪裏」を戯れに同じ額縁に納めてみた。北斎の波頭は大胆にデフォルメされて迫力満点だが,コバノタツナミにもそれに負けず劣らずの雰囲気を感じるのは,私の欲目だろうか?

葛飾北斎の冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」
シロバナコバノタツナミ
 
 コーラスの練習から帰った妻が,なにやら得意気な顔で,私の目の前にビニールポットに入った小さな白い花を差し出した。誕生日でもないのに花のプレゼント?珍しいことがあるものと思いながら,差し出された花をよく見るとコバノタツナミに似ている。

 仲間内のバザーで,誰かが自宅の庭で繁殖した花を小分けにし,小さなビニールポットに移植して,100円で売っていたので買ってきたとの話。来歴はあまりハッキリしないが,白色のコバノタツナミかタツナミソウらしい。観音崎に自生するコバノタツナミに比べると,花は若干大きめ,葉は同じくらいの大きさだが,緑色が薄く,全体に少し弱々しい感じがする。

2006.5.16
 それからしばらくして,私が毎週二回,趣味の囲碁クラブに通う鴨居コミセン近くのお宅の塀沿いにシロバナコバノタツナミが生えているのに気付いた。現地は2m位の幅の道路に面した民家の塀沿いにあり,白花のコバノタツナミがザッと数えて20株くらい,ほぼ等間隔に生えていた。その他に雑草は見当たらない。その状況からすると,どうやら塀の中の住人が植えたものと推測される。

 失礼とは思ったが,辺りに人がいないのを幸い,それとなく生け垣の隙間から庭を覗いてみると,矢張り白花のコバノタツナミが咲いていた。その他にも山野草が数種類生えているところから,住人はなかなかの風流人と察せられる。私の怪しげな風体から,空き巣狙いと間違えられる恐れがあるので,植栽されたものであることを確認して,早々にその場を後にした。
 鉢植えのシロバナコバノタツナミを見てから5年後。観音崎公園近くの空き地でシロバナコバノタツナミの群落を発見した。近くのお宅の庭から脱走?した栽培種が野生化したと思われるが,鉢植えのものに比べて逞しく,色は異なるが青紫色の自生種に似た雰囲気が感じられた。

2011.4.27

2011.4.27

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