キランソウ
(金瘡小草)

別名 : 地獄の釜の蓋・医者殺し

シソ科 多年草
花 期 3〜5月
茎長さ 5〜15cm

 観音崎公園・噴水広場の周辺でキランソウが花盛りだ。花盛りとはいえ,キランソウは地面にへばりつくように生えているため,あまり目立たず気づかないことが多い。しかしながら,腰をかがめ,時には膝をつき,近づいて良く見ると,色も形もなかなか美しい花だ。

 私がフィールドレンジャーを始めたばかりの五年前,先輩からキランソウには「地獄の釜の蓋」という面白い別名があることを教えていただいた。その頃,先輩達からは,いろいろな花の名前を教えてもらったものだが,万年ボケの私は教わるそばから忘れてしまった。ところが,「地獄の釜の蓋」だけは何故か一度で憶え,時々先輩に「地獄の釜の蓋の本名は,なんていいましたっけ?」と尋ねて呆れられたことを憶えている。
2006.4.15
名前の由来
 
 キランソウ(金瘡小草)
 キランソウの漢字名は講談社の日本語大辞典によれば「金瘡小草」と書かれていたが,意味がよくわからない上に,読み方も合点がいかない。いろいろ調べてみたが,別名「地獄の釜の蓋」に関しては,諸説入り乱れていろいろあるものの,「金瘡小草」については全く見当たらない。

 そうなるとますます知りたくなるのが人情で,私なりに推理を働かせてみることにした。先ず気になったのが「瘡」の字だった。「瘡」は「疱瘡」「痘瘡」「凍瘡」を連想して,あまりいいイメージはない。ところが,キランソウは古来,民間薬として用いられ,その優れた薬効から「医者殺し」の別名がある。

 次に「金」の字を改めて調べてみると,「ゴールド」の他に「尊い,貴い」の意味がある。「金瘡小草」とは医者が要らないほど「病に尊い草」即ち,「薬効のある草」の意味だと私は思う。但し,これはあくまでも私の推測なので,本当の意味をご存知の方はぜひご教示いただきたい。

 尚,キランソウは 「紫藍草」とも書くようで,は古語で紫を意味,ランは藍(あい)を意味しているという説もある。 この場合,キランソウは 「紫藍草」を音読み,この花の色を表現していることになるが,ネーミングとしては「金瘡小草」の方が味わいがある。

 ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋) :
 奇抜なネーミングで,一度聞いたら忘れられない名前だ。古人は,地面にへばりつくように生えているキランソウの形状を釜の蓋に見立て,病気で死んで地獄へ行こうとする人を,万病に効くその優れた薬効で守ってくれる,言い換えると「地獄の釜に蓋をしてくれる。」と考えたようだ。それにしても地獄の釜はあちこちにあるようで,うっかり蓋の開いた釜に落ちないよう心がけたいと思う。

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