カラスウリ
(烏瓜・唐朱瓜)


ウリ科  つる性多年草

カラスウリの花
            
 カラスウリの花が咲き始めた。赤い卵のような形をしたカラスウリの実をご存知の方は多いと思うが,この花を知る人は意外と少ない。カラスウリの花は,夏の日の夕暮れ時から日没までの一時間ほどの間に開花,翌朝,日が昇る頃にはしぼんでしまうため,あまり人目に触れることがないようだ。

 薄暗がりで,まるでスローモーション画像を見るように,ユックリと花開く白い花は,美しさの中に,どこか妖しげな雰囲気が漂っている。開花の様子を連続写真に撮ってみようと思い立ち,夕方6時半頃,観音崎の灯台下へ出かけてみた。

 イモの子を洗うように賑わっていた観音崎の浜も,昼間の喧噪がウソのように静まりかえり,薄暗くなりかけた灯台下付近には人っ子一人いない。少々心細かったが,辺りを見回すとあちらこちらで,白いカラスウリの花が闇に浮かび上がって見える。

 特定の花に狙いをつけて写真を撮ることにしたが,迂闊なことに三脚を持参するのを忘れていた。止むを得ずカメラを固定せず,ほぼ同じ位置と角度から2分間隔で撮影したが,5分で相当開花が進むことが判る。 
    
※通常の画像は自然光で撮影したものですが,
マウスポインタを画像の上におくとフラッシュ撮影に変わります。

 

19:02
 

19:04
 

19:07
 カラスウリの花が満開に近づいたところで,首筋や腕の辺りが妙にむず痒くなってきた。それまで気づかなかったが,ヤブ蚊が相当いるらしい。完全に開くまで我慢しようとも思ったが,あまりの痒さに絶えきれず,近くに完全に開いた手頃な花を見つけ,それで間に合わせることにして,その写真を撮り引き揚げてきた。どうやら私には研究者の資質はなさそうだ。
  

19:07
キイロスズメ
       
 カラスウリの花が10日ほど前から咲き始めたので,19時頃,鴨居小学校グラウンド裏の道路に面した崖地へ行ってみた。カラスウリの花は日没近くにならないと開花しないので,観音崎にも夜間の照明はあるが,あまりにも広大で薄暗いため,男でも一人で出かけるには相当の勇気が必要である。

 鼻っ柱の強い割には臆病な私が,観音崎の代わりに比較的明るくて安全な場所として見つけたのが,鴨居小学校グラウンド裏の道路に面した崖地で,この場所は人家も近く人通りも多いので,車に注意すれば安心してカラスウリの開花を観察することができる。但し,観音崎の灯台下付近に咲く花と比較すると,若干小さいような気がする。 
2004.7.26
 日没近く花開き,日が昇る頃にはしぼんでしまうカラスウリが,どうして秋になると美しい赤い実をつけるのだろう?最初はチョウかと思っていたが,チョウは夜間活動しない。図鑑やネットであれこれ調べたところ,カラスウリの受粉・結実を手助けするのはスズメガの仲間のキイロスズメということが判明した。
  

緑色型幼虫  2003.9.5
 

褐色型幼虫  2005.9.11
 
スーパーマクロの花
            
 見頃を迎えたカラスウリの花を,スーパーマクロ撮影することを思い立ち,午後6時半頃,観音埼灯台下付近へでかけた。この付近のカラスウリの花は,他の場所の花に比較してサイズが少し大きいので,写真の見栄えが良いように思われる。

 6時45分頃現地へ到着したが,花はまだ半開きの状態。辺りはだいぶ薄暗くなり,人影はまばらだが,不審者と間違えられないように,しばらく辺りをそれとなく行ったり来たり。7時近くになって,ようやくほぼ完全に開花した一輪?を発見。ヤブ蚊に悩まされながらも,10数枚の写真を撮り,早々に帰宅した。
2007.8.3
 
※通常の画像は自然光で撮影したものですが,
マウスポインタを画像の上におくとフラッシュ撮影に変わります

 
カラスウリの実
       
 晩秋から冬にかけて,木の葉が落ち,草が枯れる頃になると,カラスウリの赤い実が目立つようになる。抜けるような青空に浮かぶ赤い実はどこか郷愁を誘い,遠い昔を思い出させてくれるような気がする。

2003.9.22
 

2003.10.17
 

2003.10.20
 

2005.12.18
 

2005.12.19
名前の由来
       
 カラスウリの名前の由来について,私はこれまで漠然と,何らかの形で鳥のカラスに関連があるものと思いこんできが,改めて考えてみると,どこがどう関連しているのか皆目見当がつかない。

 初心にかえり,植物図鑑・百科事典・辞書類を片っ端からひもとき,ネットを拾い読みして,鳥のカラスとは全く関係のないことが判った。カラスウリを漢字では普通「烏瓜」と書くが「唐朱瓜」とも書くと言う。”唐朱”とは唐から伝来した朱墨のことで,カラスウリの実の色がその色に似ていることから唐朱瓜と呼ばれたようだ。

 最近,動植物等の名前を”カタカナ”で表記することが多くなった。私もネットで検索する時には,キーワードをカタカナで入力することが多いが,カタカナでは名前の由来がわかりにくい。その点,漢字が並記されていると,名前の由来が一目瞭然のケースが多い。

 「当用漢字」「常用漢字」等,国語施策の一環として漢字表記が減少する傾向にあるが,カタカナ表記だけでは,日本古来の動植物等も外来種のように感じてしまうのは私だけであろうか?

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