ユリカモメ
(百合鴎)


別名 : ミヤコドリ(都鳥)

チドリ目 カモメ科 冬鳥
全長約40cm

 車で観音崎大橋を通過中,ふと沖合の岩礁地帯を見ると,岩が白く感じられるほどカモメが羽を休めていた。車を降り,カメラでズームアップして見ると大半がユリカモメで,セグロカモメが数羽混じっている。

 普段,この場所はウミウの休憩場所だが,この日は,ユリカモメの数に圧倒されてか,ウミウ達は隅の方で小さくなっているように見える。ユリカモメは一見したところ可愛らしい鳥だが,数が集まると”ギューイ,ギューイ”結構騒々しい。
2006.2.25

中央はセグロカモメ
 写真を撮りながら暫く眺めていると,突然,何に驚いたのかユリカモメたちが一斉に飛び立った。その数は数百羽,あるいは千羽以上いるかもしれない。最初はバラバラだったユリカモメたちは,やがて白い帯のようになって何処かへ飛び去ってしまった。
 ユリカモメは別名ミヤコドリと呼ばれ,東京都民の鳥に指定されている。新橋とお台場を結ぶモノレール東京臨海新交通も通称ユリカモメと呼ばれ,都民にはお馴染みの鳥だ。ユリカモメはクチバシと脚が赤いのが特徴で,眼の脇,少し離れたところにまゆ毛のような黒斑があるのも特徴と言える。

 ユリカモメはロシヤのカムチャッカ半島方面から秋に飛来して越冬。春4月半ば頃には繁殖地である北国へ渡去する冬鳥で,2月下旬頃から4月上旬にかけて,観音崎大橋沖の岩礁地帯でこのような光景を時々見かける。

2008.2.13

2008.2.13

2003.3.9

2002.1.12

2005.3.7

2008.2.8
在原業平
 
 別名ミヤコドリと呼ばれるユリカモメを見ると,中学時代か高校時代か忘れたが,国語の時間で習った在原業平の「伊勢物語」に出てくる和歌“名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思う人はありやなしやと”を思い出す。

 当時の都は京都。都を追われ江戸にたどり着いた業平が,隅田川に飛び交うこの鳥を見て,都に残した愛する人を思い詠んだ歌だ。学生時代は歌の意味が実感として解らなかったが,還暦を過ぎ,この歳になってようやく業平の気持ちが解るような気がする。

2006.2.3

浦賀燈明堂とユリカモメ  2006.2.3
かもめの水兵さん
 
 3〜4月頃,観音崎大橋の上から,ユリカモメたちのユーモラスでのどかな光景を目にすることがある。亀崎のつけ根,腰越の浜の少し沖合に,釣餌用エビの生け簀があり,その浮き球にユリカモメたちが並んで乗っかっていることがある。♪かもめの水兵さん ならんだ水兵さん♪なんとなく口ずさみたくなるような光景だ。

2003.4.6

2005.3.16

2005.3.16
ミヤコドリの本家
 
 ユリカモメはミヤコドリの別名を持つが,ミヤコドリを本名とするチドリ目ミヤコドリ科の本家の鳥がいる。全長約45cmでユリカモメより若干大きく,旅鳥又は冬鳥として飛来するようだが,残念ながら私はまだ一度もお目にかかっていない。また,在原業平が詠んだミヤコドリはこの鳥とする説もあるようだが,今のところ,ユリカモメ説が有力のようだ。

永岡書店「野鳥ガイドブック」から転載
夏羽のユリカモメ
 
 観音崎海水浴場の浜で,三羽のユリカモメが何やらエサをついばんでいた。前日の荒波で打ち寄せられた海藻やゴミ類に混じって,彼らの好物が打ち上げられているようだ。その様子をなにげなく眺めながら,一羽の頭が黒色でクチバシが暗赤色をしていることに気づいた。

 私はこれまでユリカモメを数千羽,あるいは数万羽見てきたが,それらのユリカモメの頭は例外なく真っ白だった。クチバシも鮮やかな紅色で,眼の後ろに眉毛のような黒班があった。傍にいる二羽のユリカモメは,これまで見たものと同じ姿をしている。

 頭が黒色のユリカモメはこれまでお目にかかったことはない。突然変異か別種かもしれない?兎にも角にも写真を数枚撮った。その後,観音崎園地〜東京湾海上交通センター〜観音埼灯台〜海岸園地〜観音崎園地をのんびり散策。30〜40分後,浜に戻ると,先刻見た三羽が相変わらず一心不乱に,何やらついばんでいた。余程お腹を空かしているらしい。
2008.4.11
 帰宅後,黒い頭の鳥について図鑑で調べてみたところ,突然変異でも別種でもない,単なるユリカモメの夏羽と判った。ユリカモメは秋に北国から渡来して,春には渡去する冬鳥。普段,目にする白い頭のユリカモメは冬羽とか。同じ冬鳥の仲間セグロカモメも夏羽は,頭が黒くなるようだ。

 サクラの花も散り,夏鳥のツバメも渡来。観音崎で見かけるユリカモメの数も,めっきり少なくなった。ユリカモメは集団で行動する習性がある。浜の三羽は,北国へ帰りそびれたはぐれ鳥か,北帰行の途中,体力不足で仲間から脱落したのかもしれない。必死にエサをついばむ姿は,厳しい北帰行に備える準備なのだろうか。
  
続・夏羽のユリカモメ
 
 観音崎大橋の沖合にある岩礁地帯で,北帰行途中と思われるユリカモメが数百羽,羽を休めていた。肉眼では定かでなかったが,頭部が黒い夏羽のものも混じっているようだ。帰宅後,写真を拡大してみたところ,頭の黒いものが約半数,白から黒に変わる途中で,ネズミ色のものも混じっていた。立夏も間近,鴨居港のカモ達もいつの間にか姿を消していた。
2014.4.26

観音崎の野鳥たちTOP   HOME