ヤクシソウ
(薬師草)


キク科  越年草
草丈:30〜120cm


 ヤクシソウが花盛りである。観音崎では比較的日当たりの良い場所数ヶ所で,小群落を見ることができるが,観音崎バス停近くの第2駐車場裏〜青少年の村裏山〜戦没船員の碑に至る山道の群落は見事である。

 この山道は私の好きなコースの一つで,そろそろヤクシソウが咲いているのでは?と訪ねてみると,予想以上に早く咲き始めたと見えて,ほぼ満開の状態であった。ヤクシソウはキク科の越年草.。それほど華やかな花ではないが,秋も深まり花の少なくなった観音崎の内陸部で見られる数少ない花の一つである。
2003.11.8
 
  
  
  
 そろそろヤクシソウの咲く頃と,青少年の村裏の山道を歩いてみた。毎年,山道の両側に愛らしい黄色い花を見ることができるが,夏の終わり頃ほかの雑草と共に,回転するノコギリのような刈払機で刈り取られてしまい,今年は見ることができないのでは?と心配していた。

 幸いにして,その後発芽して生長したと見られるヤクシソウが,数ヶ所で確認することができたが,群落と呼べる状態ではなく,ようやく絶滅を免れた程度の数であった。ヤクシソウを単なる雑草と見るか?貴重な山野草と見るか?ヤクシソウに限らず,雑草か否かの価値判断は個人差もあり,なかなか悩ましい問題である。  
2004.10.29
 
 ヤクシソウの花は若干見頃を過ぎた感もあるが,一昨年まで群落の見られた青少年の村裏山〜戦没船員の碑に至る山道からはほとんど姿を消してしまった。昨年も早期に刈り取られたが,それでもその後,芽を出し生長した株が幾つかあって,群落とは言えないまでも,絶滅を免れ安堵していた。

 ところが今年は草刈りが更に頻繁に行われたためか,貧弱な株が一株と,苗のように小さなものが数本見られるだけになってしまった。それでも苗のような数本は,けなげにも種を保存するためか,それぞれ可愛い花を必死に咲かせていた。

 群落消滅の原因は明らかで,昨年も指摘したように過度な草刈りにある。草刈りと言えば昔はカマでしたものだが,近年は「刈払機」と呼ばれるノコギリの刃状の円盤を回転させるエンジン駆動の道具でするので,広い面積の草刈りがいとも簡単にできる。

 その結果,観音崎公園の園地や園路沿いの草刈りが頻繁に行われ,それと平行して暗い印象を与える?”つる植物”の除去も行われる。その一方で華やかな園芸植物が植栽されるため,以前に比べ明るく清潔感溢れる都市型公園に変身しつつある。

 しかしながら,それと反比例するように,観音崎の豊かな自然が失われていくような気がしてならない。この山道にはヤクシソウの他に一昨年まではヒヨドリバナも見られたが,今年はヤクシソウ同様,苗木のような可愛いものを数本見かけたものの,花は一輪も見ることはできなかった。
「公園の美化と自然保護」両立させることはできないのだろうか?
2005.11.29
   
 
 

画像をポイントすると2003年の画像が見られます。
ヤクシソウが見頃を迎えた。青少年の村裏山〜戦没船員の碑に至る山道からは,ほとんど姿を消してしまったが,それに代わって,花の広場の公園管理事務所脇の階段頂上付近で,小群落が見られるようになった。数年前から管理員の方が,除草の際に保護していただいているお陰で,年々その数を増している。
2007.11.6
 
   
 2009年この付近の除草をする下請け業者が代わってしまった。ヤクシソウの保護についての申し送りがなかったのか,無差別に刈り払われ,ほとんど姿を消してしまった。
 群落の見られた2ヶ所から,ほとんど姿を消してしまったヤクシソウ。幸いにして,小さな株が数ヶ所に散在しているので,これらの種を採取して,復元を試みようか?と考えていた矢先。第2駐車場から三軒家園地方面へ至る坂道の崖地に,ヤクシソウの大群落を発見した。

 その場所は,2003年頃まで群落の見られた「青少年の村裏の山道」のほぼ真下付近に当たる。そこから落ちのびてきた?種が,周辺の大木が倒木や切り倒され日当たりが良くなり,ヤクシソウに適した環境になって,爆発的に増殖したと思われる。

 崖地は70〜80度の傾きがあり,ここならば刈り払われる心配はない。斜面は崩落防止用の金網で覆われているので,周辺に大きな木が生えることもない。ここしばらくは観音崎のヤクシソウは絶滅の心配はなさそうだ。
2009.10.27
   
  

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