ウツギ
(空木・卯木)


アジサイ科(旧ユキノシタ科)  落葉低木
樹高:1〜3m

 ♪卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ホトトギス) 早も来なきて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ♪は小学唱歌「夏は来ぬ」の一番。初夏になると,私は何故かこの歌を思い出し,長年口ずさんできたが,この歌詞をどの程度理解しているかとなると怪しげで,”卯の花を豆腐のおから”かと思っていたくらいだから,相当いい加減なものである。

 ところが,2005年5月24日読売新聞朝刊2面の洒落たコラム「四季」欄で「卯の花は初夏を告げる花」としてウツギを紹介,その写真が掲載されていた。 ”卯の花=ウツギ”だったのか?(*^_^*) 講談社の「日本語大辞典」で確認してみると @ウツギの別名 A豆腐をつくるとき,豆腐をしぼったあとのかす,から,おから,雪花菜とあり間違いない。

 そこでもう一つ意味の怪しげな”忍音”を調べてみたところ @ひそひそ声。小声。 Aかすかな泣き声 B陰暦4月ごろのホトトギスの初音とあった。私にとってBはそれこそ初耳で,@かAの意味かと思っていただけにいささか驚きであった。

 遅きに失した感もあるが,向学心に燃える?私は,卯の花とホトトギスの関係について更に調べてみると,どうやら両者は密接な関係にあり,万葉集の時代から度々和歌に登場,俳句の季語のような存在であることが判明した。

 それにしても小学唱歌にしては,ずいぶんと難しい語句やテーマを選んだもので,当時の小学生達がこの歌詞の意味をどれだけ理解して歌っていたのか,はなはだ疑問ではあるが,なんとなく「夏がやって来たんだ!」そんな気分で歌っていたような気もする。
2005.5.24
 

2019.5.22
 

2018.5.13
 

2011.5.23
鴨小グラウンド北西,道路を挟んで山側のウツギ
   

2011.5.24
 

2011.5.24
ウツギの仲間
 観音崎には万葉の時代から詠われたウツギの他に,ウツギと名のつく植物が5種類もある。ところが,ウツギと同じアジサイ科(旧ユキノシタ科)に属するのはマルバウツギだけで,コゴメウツギはバラ科,ハコネウツギ・タニウツギ・ハナゾノツクバネウツギはスイカズラ科と判った。

 名前の一部にウツギという名を戴きながらも,その属する科が異なるだけでなく,生えている場所・環境等から推定すると,ウツギ・マルバウツギ・コゴメウツギは,観音崎に自生していたと思われるが,ハコネウツギは自生種も多いが,植栽もあり混在している。タニウツギ・ハナゾノツクバネウツギは全て植栽されたもののようだ。

 観音崎に自生していた種と,近年植栽した種を見比べると,近年植栽されたものは色彩的にも華麗で,自生種は地味な印象を受ける。華麗をとるか地味をとるかは好みの問題でもあるが,私は地味な自生種を保護増殖,華麗な植栽種はほどほどにして欲しいと願うこと大である。
 
マルバウツギ/アジサイ科
   

2019.5.7

2018.4.18

2020.4.29
コゴメウツギ/バラ科
    

2019.5.5

2019.5.5
ハコネウツギ/スイカズラ科
  

2017.5.20

2019.5.13
タニウツギ/スイカズラ科
  

200.5.22
ハナゾノツクバネウツギ/スイカズラ科
   

2004.6.12

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