ウメボシイソギンチャク
(梅干磯巾着)

 
 掲示板でおなじみのmtskさんから「観音崎の走水寄りの磯で,きれいな真っ赤なイソギンチャクのコロニーを見つけましたので写真を添付させていただきます。」とメールを頂いた。 
2004.2.10
 添付されていた写真は特別なイソギンチャクには見えなかったが,「真っ赤」と言う文字に惹かれ,mtskさんに場所を教えてもらい2月13日現地へ行ってみた。現地はちょうど干潮時で磯は干上がっていたが,それらしきイソギンチャクは直ぐにそれと判った。色は真っ赤と言うよりも赤紫という感じで,私はその姿から「ウメボシイソギンチャク?」と直感した。

 ネットで「ウメボシイソギンチャク」を検索してみると,真鶴半島三ツ石海岸に生息するウメボシイソギンチャクは県の天然記念物だとのことで,相当貴重なもののようである。これは大発見!と,磯の生物に詳しい先輩ボランティアの“ろくびい”さんにに写真を数枚メールして確認したところ「 三浦半島ではそれほど珍しい生きものではないと思います。海がひどく汚れていないところには普通に見られるのではないでしょうか。岩棚の天井やその下に集まってくっついていることが多いです。たたら浜の岩にもいたと思います。」とのご返事を頂いた。

 いささか拍子抜けしたが,2月17日観音崎自然博物館へボランティアに行き,念のため研究員に確認したところ,ろくびいさんとほぼ同じ内容の回答で,特に三浦半島の毘沙門付近では数多く生息しているとのことであった。但し,研究員の話ではたたら浜では見たことがないとのことで,春の磯の観察会では目を皿のようにして探してみたいと思う。

 真鶴半島のウメボシイソギンチャクが,何故,県の天然記念物に指定されたか?再度ネットでその経緯を調べたところ「関東大震災によって海岸線が隆起した結果、相模湾のウメボシイソギンチャクはほとんどが死滅した。わずかに、真鶴半島三ツ石海岸に残ったウメボシイソギンチャクの群生地は、震災前の様子を残す貴重なものであることから、県が天然記念物として指定した。」とあった。

 それにしても,干上がって触手をつぼめた様子はいかにもウメボシに似てどこか愛らしい,その反面,水中で触手を広げて開花している様子はどこか妖艶な美女に見えるのは,私の気のせいであろうか。
 
 

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