ウバユリ
(姥百合)


ユリ科  多年草
草丈:60〜100cm

 ウバユリの開花が近づいたようだ。4月の下旬頃は瑞々しく多かった葉が,花茎が伸びてツボミがふくらむに連れ,葉は見る影もなく黄ばみ枯れ落ちていく。「昔の人はこの様子を見て,娘が花の十八になるころ,世話をした人が歯(葉)のない姥になることにひっかけウバユリと名づけた。」と牧野植物図鑑にある。私は2年前,この語源を先輩ボランティアから教えていただいたが,これを検証?しょうと4月下旬から,特定の株の連続写真を撮ることにした。
2004.7.19

2004.4.28
  

2004.5.26
 

2004.6.4
  

2004.6.16
  

2004.6.29
  
 7月7日,思いがけない残念な出来事が発生した。この株からは3本の花茎が伸びていたが,その内の一番成長の早い花茎が,根元からカッターのような鋭利な刃物で切断され,持ち去られていたのである。
 

1本の花茎が消滅!
2004.7.7
  
 それから更に3日後の7月10日,もう1本が根元から折り曲げられていた。これは風のいたずらかもしれないが,刃物での切断は明らかに人間の仕業で,植物愛好家の行為としては本当に残念なことである。
 

更にもう1本が曲損!
2004.7.10
  
 7月15日,久しぶりにウバユリの小群落を訪れると,この前までは固かったツボミが一斉に開き始めていた。私が連続写真を撮っていた残りの一本もどうやら無事開花に漕ぎつけたようである。
 

2004.7.15
 
 7月19日,満開のウバユリを期待して出かけたところ,ほとんどの花が見る影もなく枯れて,ウバユリの名がふさわしいような状態で,「花の命は短くて」を実感した。 
 

2004.7.19
見 頃
 
 ウバユリが見頃を迎えた。東京湾海上交通センター近くの,観音埼灯台へ通じる道に小群落があり,これから一週間くらいが見頃と思われる。見頃とはいいながら,正直のところお世辞にも美しい花とは言えない。ウバユリには気の毒だが,葉は一部が枯れたり,虫に食われたりでボロボロ,茎にも何かの虫の仕業か白い粉をふき,花も色気がなく,形もあまり冴えない。

 「立てば芍薬,座れば牡丹,歩く姿は百合の花」美人の代名詞に使われるユリの花だが,ウバユリにはそのような雰囲気はほとんど感じられない。ウバユリの少しでも美しい姿を写真に残したいものと,苦心惨憺,ようやくそれらしき写真が撮れた。
2005.7.22
 
 
 ウバユリの見頃は短い。一週間後に出かけてみると,既に葉は一部枯れたり虫にくわれたりで,無惨な姿をさらしていた。ウバユリという気の毒なネーミングも,なんとなく解るような気がする。
  

2005.7.29
凵@ 果
   

2013.9.22
新芽
   
 東京湾海上交通センター近くの園路脇で,色つやの良い美しい新芽をみつけた。あまり見かけない新芽だ。辺りを見回してみると,園路沿いに同じような新芽が数ヶ所で芽ばえている。なんの新芽だろう?春から秋にかけてこの辺りで見られる植物を頭に浮かべ,ふと思い出したのがウバユリだった。新芽の生えている辺りを見直してみると,紛れもなくウバユリのようだ。ウバユリは7月中旬頃花を咲かせるが,その頃になると葉は虫食いだらけで黄ばみ,見るも気の毒な姿になっている。そのウバユリの葉がこんなに美しい色つやをしているとは,私にとっては驚きであり発見であった。
2006.3.8

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