シロスジカミキリ
(白条髪切虫)


コウチュウ目 カミキリムシ科
体長:44〜55mm

 観音崎公園・花の広場の片隅に一本の木が倒れていた。奇妙な折れ方で,強風で折れたり,ノコギリやチェーンソーなどの道具で切断されたとは思われない。気になり,断面をよく見ると,幹のあちこちに2cm大の穴があき,繊維質がボロボロになっている。カミキリムシだ!と直感した。
2010.12.7
 カミキリムシに倒されたと思われる木の幹の直径は約17〜18cm,樹高は5〜6m,シラカシの若木と思われる。ヒョッとしてカミキリムシがいるのでは?辺りをキョロキョロ見回してみると,落葉の上に一匹のカミキリムシを見つけた。犯人はシロスジカミキリだった。
 
 まだ幹の中にシロスジカミキリが残っているかもしれない?改めて残された株の断面を調べてみたところ,頭部らしきものが目に入った。目を近づけて見ると,まるでドクロのような不気味な顔でギイギイと鳴き声を発している。まだ生きているようだ。細い木の枝を口元に近づけると食らいついてきたので,恐る恐る引き上げると上半身が出てきた。
 その後,倒れた木の周りを丹念に探してみたところ,合計5匹のシロスジカミキリを見つけた。人間にとっては害虫なので,殺してしまおうか?標本として持ち帰ろうか?とも思ったが自然のままに残すのがベストと考え,残された株の上に置いてきた。この冬を越すことができるのか,少々気がかりでもある。
余   談
 
 帰宅後,放置してきたシロスジカミキリに,何故か後ろめたい気持ちもあって,あれこれ調べて
みたところ,フリー百科事典「ウィキペディア」のシロスジカミキリの生活史欄に興味深い記述を見つけた。

 「交尾が終わったメスは生木の幹の低い所にやってきて、木の皮をかじって円形の穴をあけて産卵する。メスは横に移動しながら次々と産卵するので、木の幹には産卵痕が輪状に残る。それらの産卵部位では師管や道管も損傷するので、樹皮が再生してもささくれ立ったような状態になったり、こぶ状に肥大したりする。

 孵化した幼虫は樹皮下に食いこんで材部を食べる。幼虫が材部を掘り進むとトンネルができ、木の強度が弱くなって折れやすくなる。殊にシロスジカミキリは大型になるうえ、3〜4年かけて成長するので木へのダメージも大きい。強風などでクリやクヌギの太い木が根元から折れてしまうことがあるが、これも材部がシロスジカミキリに食い荒らされたことによるものが多い。

 充分に成長した幼虫は幹の中で蛹になり、羽化した成虫は木の幹に直径2〜3cmほどの円形の穴を開けて外に姿を現す。

 ブナ科樹木を食い荒らすのでクリ畑などでは重要な害虫だが、雑木林の新陳代謝を促す一面もある。また、成虫の脱出痕や産卵痕からは樹液が染み出すので、カブトムシ、クワガタムシ類をはじめとした昆虫類が多数集まる。」

 シラカシの折れ方は,正にこの説明がピッタリ当てはまる。人間にとっては,大切な樹木を食い荒らす「百害あって一利なし」と思われる害虫だが,雑木林の新陳代謝を促したり,昆虫たちのエサとなる樹液を提供する一面もあるという。自然界の摂理からすれば,それなりの存在価値もあるようだ。


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