鴨居港に突き出た岸壁を歩いていると,釣り船のマストの横棒の上に,大きなカモメがちょこんと留まっていた。カモメの3m位離れた場所には,釣り船のオヤジさんが何か作業中にも関わらず,その手許を興味深く見つめるような仕草で,のんびりと留まっている。
私が近づいてカメラを構えても,一向に動じる気配はない。野鳥の多くは一部の例外を除くと警戒心が強く,遠くからカメラを構えただけでも飛去ってしまうものだが,このカモメはよほど人に馴れていると見える。
さらに近づいてみると,そのカモメは大きさ色合いからセグロカモメのようで,私が5m位まで接近しカメラを構えても動こうともしなかったが,オヤジさんが作業の関係で,セグロカモメに手が届きそうな場所に移動したため,横棒から飛び立ち近くの海面へ着水した。
観音崎で沖合を見ていると,時折,漁船や釣り船の周辺を,カモメが飛び交っていることがある。これは,釣り上げた小魚や外道を,漁師や釣り客が海へリリースするのを,おこぼれ頂戴と狙っている光景で,そそっかしいカモメになると,釣り上げる途中の針がついたサカナに飛びつき,サカナの代わりにカモメが釣れるという,落語のような話もあると聞く。どうやらこのセグロカモメはオヤジさんと顔なじみのようだ。
セグロカモメは観音崎やその周辺の漁港等でも時々見かけるが,何故か一羽でいることが多い。同じカモメの仲間のユリカモメやウミネコは集団で行動するが,セグロカモメは絶対数が少ないのか,性格的なものか分からないが単独行動が多い。 |