キョウジョシギ
(京女鷸)


チドリ目 シギ科  旅鳥
全長:約22cm



 大潮で干上がった鴨居港の磯で,潮だまりに取り残された小魚やウミウシの写真を撮っていた。何やら視線を感じ顔を上げると,目と鼻の先にある岩の上に見慣れぬ鳥が留まり,こちらを怪訝そうな顔で眺めていた。あまりの近さにこちらがビックリしたが,よく見るとキョウジョシギだった。

 慌ててカメラを構えようとしたが,あまり激しく動くと逃げられる恐れがある。「慌てない,慌てない」と自分に言い聞かせ,ゆっくりとカメラを構え数枚の写真を撮った。そこへ麦わら帽子を被った,潮干狩りスタイルのおっさんが現れ,カメラを構えている私を尻目に,岩場に近づいて行ったため,キョウジョシギ達は驚き一斉に飛び去ってしまった。

 キョウジョシギは北極海沿岸で繁殖し,東南アジアやオーストラリアで越冬する旅鳥で,日本では渡りの途中,春と秋の一時期観察することができる。観音崎でも時折その姿を目にするが,このように間近で見ることは初めてのことだ。
2007.5.16
 
   
飛翔写真
 
 鴨居港の岩場の上に見慣れない鳥がいるのに気づいた。よく見ると,遠目だったが羽の柄が異様に派手なことからキョウジョシギと直感した。数枚の写真を撮りながら徐々に接近。30m位まで接近したところで,私の気配を察したのか,一斉に飛び去ってしまった。慌ててシャッターを切ったところ,幸い2枚の写真にその姿が残されていた。

 帰宅後,写真を整理していて,この鳥を初めて撮ったのが,偶然,4年前の同じ5月16日であることが判った。キョウジョシギ達は毎年,旅の途中のこの時期に観音崎周辺を通過するようだ。
2011.5.16
 
  
  
  
  
余    談
  
 私がこの鳥と初めて出会ったのは5年前。色合いこそ地味だが,派手な柄の鳥の名をあれこれ調べ,小学館のNEO野鳥図鑑でキョウジョシギと知った。ところが,NEO図鑑には漢字が表記されていない。私は「狂女鷸」と書くものと勝手に思いこんだが,後日,永岡書店の野鳥ガイドブックで「京女鷸」と書くことを知り,おおいに驚いた記憶がある。

 私が「狂女」と勘違いした理由の一つは,羽の柄が黒を基調にしている割に異様?に派手な印象があり,その上,目の周辺の黒模様はサングラスに似て,人相ならぬ鳥相?を悪くしている。「狂女」と勘違いしても不思議ではない雰囲気がある。それが何故「京女」なのだろう?

 あれこれ調べた結果,キョウジョシギの名前の由来は,羽の派手な柄を京都の女性の着物に例えたものと判ったが,最近,野鳥に限らず,動植物等々の名前をカタカナで表記,漢字で表記することが少なくなった。カタカナだけではこのような誤解や混乱が生じる。ぜめて図鑑や事典・辞典等では漢字を並記して欲しいと願うのは私だけだろうか?

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