米原子力空母
ジョージ・ワシントン
(George Washington)

主要要目
艦種・番号 CVN73
満載排水量 104,178ton
主 要 寸 法
(LBd)
333×41×12.5
発着甲板幅 76.8m
主 機 械 原子炉2基,蒸気タービン4基4軸
馬  力 260,000shp
速  力 30kt
乗  員 士官・兵員:3,200名,航空要員:2,480名
主 要 兵 装 RIM-7 シースパロー短SAM2基
RIM-116 RAM2基,ファランクスCIWS3基
搭 載 機 85機
ニミッツ級 6番艦
母  港 横須賀
就  役 1992.7.4
出典:フリー百科事典「ウィキペディア」
 2009年5月20日観音崎大橋をバイクで走行中,浦賀水道を南下する大きな艦影が目に入った。空母かもしれない?バイクを止め,デジカメでズームアップしてみると,艦橋側面に「73」の艦番号が印されていた。原子力空母ジョージ・ワシントンだった。

 ジョージ・ワシントンは2008年9月米海軍横須賀基地に配備された初の原子力空母。艦名は初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンに因んで命名された。甲板上に艦載機が見あたらないところを見ると,航空要員は厚木基地で休養中?長期作戦航海前の練習航海なのだろう。
 その後,ジョージ・ワシントンは6月10日に横須賀基地を出港。イージス艦や航空部隊などと共に,西太平洋で同盟国の海上自衛隊やオーストラリア海軍などと共同演習を行い。オーストラリア,シンガポール,フィリピンに寄港。9月3日横須賀配備後,初の長期作戦航海を終え,約3ヶ月ぶりに帰港した。
一般公開
(写真提供:和田完一氏)
  
 2008年12月6日米海軍横須賀基地に9月から配備された原子力空母ジョージ・ワシントンの艦内の一部が,配備後初めて一般公開された。地元では原子力空母の安全性への不安も根強く,市民団体による抗議活動も続いているため,一般公開を通じて安全性をアピールする狙いもあったようだ。

 当日私は野暮用があって参加できなかったが,参加した知人の話によれば,会場前から延々長蛇の列。市民の関心の高さがうかがわれたとのこと。市内は勿論,県外からも多数の参加者があり,最終的には約30,000人が訪れたと聞いた。

艦橋に「73」の艦番号

見学者の長蛇の列

甲板下・格納庫に飾られたクリスマスツリー
一冊の漫画本
  
 見学者には一冊の漫画本が配布された。日本人の父とアメリカ人の母の間に生まれた若い水兵が,ジョージ・ワシントンの乗組員となり,艦内で経験したいろいろな出来事を通して,原子力空母に対する理解を深めて貰うのが狙い。

 横須賀基地到着後,鎌倉に住む祖父母を訪ねる。父は18歳の時,留学のため渡米したが,牧場で働きながら通学していた時,牧場の一人娘と大恋愛の末結婚。留学が終われば帰国して親子3人で暮らす予定が,アメリカに永住してしまった。

 そのような経緯もあって,祖父母を訪ねてもしっくりしないのでは?内心不安を感じながらも訪ねてみると,父親からの連絡で,孫の訪問を心待ちにしていた祖父母は勿論,隣近所の人々から大歓待されるというストーリー。
  
余     談
  
 昨年暮,旧友との忘年会の時,北関東に住む友人が,ジョージ・ワシントンの横須賀母港化に触れて「原子力空母は恐くない?不安じゃない?」と問いかけてきた。日頃からノー天気な私は一瞬戸惑ったが「基地の人口は約20,000人,GWの乗員は約6,000人,もし,チェルノブイリ原発のような事故が発生すれば大変なことになるが,米軍族やそこに働く人たちはそれほど心配していないようだし,俺も同じだよ。」と答えた。

 改めてこの問題を考えると,私の答えはあまりにもノー天気過ぎるが,徒に恐れる必要はないと思う。広島・長崎の原爆を経験している日本人としては,「原子」という言葉にアレルギーが少なからずある。しかしながら,原子爆弾は「原子」の悪用だが,それをエネルギー源として活用することは平和利用で,原子力発電所や原子力船の建設・建造を妨げてはならないと思う。

 世界初の原子力空母は1961年就役の「エンタープライス」で,就役後48年が経過。ジョージ・ワシントンは就役後17年。その間,マイナーなトラブルはそれなりにあったようだが,米海軍が所有する11艦の原子力空母で,爆発事故等の重大事故が発生したとの話は聞かない。

 現在,エネルギー源の中心は石油と天然ガスだが,どちらも何時かは枯渇する資源。近年,太陽光や風力,地熱等が新エネルギー源として脚光を浴びているが,いずれもそれなりの制約があって,本命とは言い難い。「原子力」をいかに安全かつ有効に活用するかが,これからの課題だと思う。
2009.9.8
福島第一原発事故
  
 私が上記余談を書いてから約1年半が経過。その時は予想だにしなかった事態が起こった。2011年3月11日発生した地震と津波により,東日本の太平洋沿岸各地で甚大な被害が出たことが,連日,新聞・テレビ・ラジオ等で報じられている。

 日本の観測史上最大規模の地震と津波による被害は,これが現実のものとは俄に信じられないものがある。被災者のご心痛ご苦労は計り知れないが,中でも深刻なのは,東京電力福島第一原子力発電所の事故で,地震発生後約2週間が経過した今も不安定な状態が続いている。

 放射能漏洩による30km圏内からの退避,農産物や水道水の汚染,水産物への影響等々。原発に対する漠然とした人々の不安が現実のものとなってしまった。私はこれまで,現在の科学技術力からすれば,「原子力」は完全にコントロールできると信じてきたが,自らの不明を恥じるしかない。

 3月22日新聞を見て唖然とした。空母ジョージ・ワシントンが,4月上旬ごろまで定期メンテナンスを続ける予定を途中で切り上げて,21日午後1時過ぎ,行き先も告げず横須賀基地を出港したという。基地関係者によると,福島第一原発事故を受けての退避措置らしい。なんとも皮肉な話だ。

 在日外国人が続々と母国へ逃げ帰っているとか。サッカーやプロ野球の選手も含まれているという。いたずらに浮き足立ち,慌てふためくのは見苦しいが,楽観視するのも禁物であることを,今回改めて思い知らされた。政府・東京電力が総力をあげて事故を鎮圧することを祈りたい。
2011.3.27
 
東日本大震災で被災された皆様には,心よりお見舞い申し上げます。
余震が続いていますが,皆様のご安全と一日も早い復興をお祈りしております。
帰国の途
 
 2015年5月18日(月)原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が,約7年間にわたる日本での任務を終えて米海軍横須賀基地を出港した。後継の同型船ロナルド・レーガンは今年秋にも同基地に入港する。
 
2015.5.19読売新聞朝刊から転載

2015.5.11 試験航海時撮影
観音崎園地
 
野暮用で自宅を出るのが遅れ,あたふたと観音崎園地へバイクで向かった。午前9時45分頃到着。GWは既に目の前を通過中。磯にはカメラマンらしき人が多数。慌てて数枚の写真を撮った。

 本艦撮影後,園地の先端に星条旗と国際信号旗が2枚掲揚されていることに気付いた。帰宅後,国際信号旗について調べたところ,掲揚された2枚の旗を組み合わせると「ご安航を祈る」「I wish you a pleasant voyage」の意味があり,世界共通でされている旗旒(きりゅう)信号であることがわかった。それにしても誰が揚げたのだろうか? 
 
 
   
展望園地
 
 国際信号旗撮影後,バイクで先回りして展望園地へ移動。5分足らずで到着。ここにもGW目当てのカメラマンと見物人が多数。大半が私と同じ年代の男性高齢者。この日は比較的好天だったが,海霧がうっすらと発生していたため撮影条件はあまり良くない。それでも気を取り直し,大潮で遥か沖まで潮が引いている誰もいない海に入り,海面に近い目線から撮影してみた。
 
 
 

米国海軍艦艇  シップ・ウォッチングTOP  HOME