コウヤボウキ
(高野箒)

キク科 落葉小低木
花 期 10〜11月
樹 高 60〜100cm


 観音崎公園・花の広場入口付近の崖でコウヤボウキが見頃を迎えた。3〜4年前,先輩ボランティアからその存在を教えられ,初めてコウヤボウキの花を目にしたが,花数も少なく,何となく貧弱な花で正直のところガッカリした。
2005.11.5
 
 初対面ではガッカリしたものの,1年後,そろそろ花の咲く頃と気にしていたところ,1ヶ月ほど前からツボミがふくらみ始めた。今年は何故か花数も多く,葉も青々として全体に生き生きとしている。気候の関係かもしれない。
2006.10.30
    
 
 そうなると現金なもので,花をマクロモードで撮影,更に拡大して見たところ意外に美しい。洋花のような原色の華やかさこそないが,カールした花びらかシベなのか?どこか愛らしい花だ。

 講談社の日本語大辞典でコウヤボウキについて調べたところ,”キク科の草本状落葉小低木。…中略…高野山ではこの枝でほうきを作る”とあった。名前の由来についてはなるほどと納得したが,その外見から,私はコウヤボウキを草本と思いこんでいただけに,キク科の落葉小低木とは意外であった。それにしても,木なのにキク科とは合点がいかない。
 
コウヤボウキの綿毛
 

2008.1.23
余    談
 
 毎月第2日曜日の読売新聞朝刊・35面・くらしのページに,生物エッセイストの菅野 徹氏が「まちかど四季散歩」というエッセイを執筆されている。四季折々,その時期にふさわしい生物について,私など足元にも及ばない含蓄のあるエッセイで,毎月楽しみに拝見している。2009.12.12(日)はコウヤボウキについてのエッセイだった。酒飲みの私には興味深かったので抜粋してご紹介したい。

 高野山でほうきにするというコウヤボウキ……略……キク科だが,その科には珍しい木で,それだけでも貴重だが,奈良時代に,細くしなやかな,その枝で作られたほうきが,御物「子日目利箒(ねのひのめとぎぼうき)」の名で正倉院に現存しているから,さらに尊い。」

……中略……

 コウヤボウキは別名タマボウキ(玉箒)と呼ばれる。玉箒ときては「酒は憂いを払う玉箒」の名文句を逸するわけにはゆかぬ。北宋の詩人の蘇東坡が,そう歌ったのが始まりで,以来900年余り,面々と酒徒に,格好の言い訳を与え続け,遠く平安朝の左党も,この口実を愛用したろうが,文字には残っていないらしい。………以下略。


 今頃,街では忘年会シーズン。なにかとストレスの溜まる話題の多かったこの一年間。玉箒で「浮き世の憂さを晴らす」ことにしよう。

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