キツネノカミソリ
(狐の剃刀)



ヒガンバナ科  多年草
草丈:30〜50cm

 観音崎園地から東京湾海上交通センターへ通じる坂道の斜面で,キツネノカミソリが見頃を迎えた。一見したところヒガンバナに似ているので,ヒガンバナが早くも咲き始めたと勘違いされる方もいるようだが,良く見ると幾つか相違点がある。

 下の写真4枚目まではキツネノカミソリで,これだけ見ているとヒガンバナ?と錯覚するが,5枚目のヒガンバナの写真を見れば,色や形状が似てはいるが,明らかに異なっていることは一目瞭然である。 
2005.8.22
   
  
  
  
ヒガンバナ
  
名前の由来
  
 花の色が狐色をイメージさせ,葉の形がカミソリに似ているところからキツネノカミソリと名づけられた。色の区別を表すために考案された色の名称を色名と言うが,その基本色彩語の中に「狐色」がある。その狐色とキツネノカミソリの色は確かによく似ている。
  
  「狐色」はキツネの毛皮に似た色を表す。
昔から食物をこんがり焼きあげた色の形容によく使われる。
(日本語大辞典)
 早春,芽を出したばかりのキツネノカミソリの葉は,薄く平べったい感じをしていて,カミソリの刃に似ている。生長するに従い葉は長く細くなり,カミソリの刃の印象は薄れ,一見ヒガンバナの葉に似てくるが,ヒガンバナに比べて葉の幅が若干広く,色は少し薄い感じの緑色をしている。
  

2006.3.10
   

2006.3.10
オオキツネノカミソリ
神奈川県絶滅危惧TA類
   
 観音崎にはもう1ヶ所キツネノカミソリが咲く場所がある。花の広場の片隅,通称オタマジャクシ池の傍,クヌギやコナラ等が植栽されている付近で,7月中旬頃咲いていた。

 同じ花なのに何故1ヶ月も花の時期が異なるのだろうか?花の広場の片隅にはクヌギやコナラ等の落葉樹がまばらに植栽されているが,観音崎園地から東京湾海上交通センターへ通じる坂道周辺はシロダモやタブ等の常緑樹が鬱蒼と茂っている。日照時間の差で開花時期に1ヶ月の差が生じるのだろうか?

 ところが今回,キツネノカミソリについて名前の由来等を調べている過程で,オオキツネノカミソリの存在を知った。雄シベと雌シベの「シベ」が花から大きく飛び出しているのがオオキツネノカミソリ,「シベ」が花からあまり飛び出さず花の中にほぼ収まっているのがキツネノカミソリだと言う。

 改めて2ヶ所で撮影した写真を見比べてみると,7月中旬,花の広場の片隅で咲いていたのはオオキツネノカミソリ。現在,観音崎園地から東京湾海上交通センターへ通じる坂道周辺で咲いているのはキツネノカミソリであることが判明した。

 因みに,ヒガンバナの「シベ」は花から大きく飛び出している。オオキツネノカミソリの花がキツネノカミソリよりヒガンバナに似ていると感じるのは,「シベ」の長さに関係があるようだ。
    

2004.7.10
  

2004.7.10
  

2004.7.10
キツネノカミソリの実
   
 2005年9月16日 キツネノカミソリが咲いていた観音崎園地から東京湾海上交通センターへ通じる坂道を歩くと,花は既に終わり,直径10〜15mm位の,実をつけていた。
   

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