キダチアロエ
(木立蘆薈)
ススキノキ科 多肉植物
樹高 1〜2m
帰化植物 南アフリカ原産
渡来時期 鎌倉時代
 観音崎周辺の住宅地で赤いアロエの花が見頃を迎えた。むかし東京に住んでいた頃、アロエは伊豆か房総の南端辺りへ行かないと見られない南国の植物と思っていたが、30年ほど前この地へ越してきて、住宅地のあちこちでアロエを見かけ驚いた記憶がある。

 しかしながら、当時のアロエは最近目にするものよりかなり貧弱で、花も現在のように赤く色鮮やかではなかった。観音崎のある鴨居は暖地とはいえ冬はそれなりに寒く、我が家の池にも、一冬に数回は薄氷が張った。アロエもそのころには成長がストップ、葉肉も心なしか薄くなり、葉の先端部は霜げて黒く変色して枯れることもあった。

 ところが、近年になって地球温暖化の影響か、冬になっても池に氷が張ることもほとんどなくなり、アロエの葉も生き生きとして威勢が良く、赤い花の色は鮮やかで数も多くなった。気象データを調べたわけではないので確信はないが、現在の観音崎の年間平均気温は、30年前の伊豆や房総の南端辺りの気温くらいに上昇しているのではないかと思うのだが、機会があったら一度気象庁へ出かけて調べてみたい。  
2004.12.15
 観音崎周辺で見かけるアロエは、ほとんどがキダチアロエと呼ばれるアロエで、”医者いらず”と呼ばれ、昔から民間薬として用いられてきた種類である。

 我が家でも越してきてまもなく、葉をすり下ろした汁が美容に効果があるとのふれこみで、妻が何処からか苗を数本手に入れ地植えにした。それから暫くは、まるで貴重品を扱うかのように妻はアロエを大切にしていたが、あまり効果がなかったのか、いつの間にかアロエは我が家で忘れられた存在になってしまった。

 それから15年ほどが経過したある時、突然、私は腹部に激痛を感じ緊急入院、検査の結果、胆石と診断され、胆のうを摘出することを宣告された。ところが幸運にも、手術のための精密検査中、胆石が体外に自然排出、痛みはウソのように消滅してしまった。

 それでも医者は「貴方の胆のう内には、胆石予備軍がいくつか見受けられるので、胆のうを摘出しましょう。胆のうは盲腸みたいなもので、無くてもほとんど支障はありませんから。」と手術を勧める。

 しかしながら、根が臆病な私は手術が恐ろしく、先生の熱心な勧めにもかかわらず、胆のう摘出を断固拒否してしまった。そのとき私の頭にひらめいたのがアロエで、「”医者いらず”と呼ばれ万病に効き、副作用も少ない。」という何かの本で読んだアロエの効能が頭に浮かび、薬を飲む代わりにアロエの生葉を毎日食べることにした。

 アロエの生葉は予想以上に苦かったが、”良薬口に苦し”と解釈して毎日10cmほど常食、半年後、経過観察のためレントゲン検査を受けたところ、胆のうから胆石予備軍が綺麗に消滅していることが判明、先生から不思議がられた。

 ところが、”のど元過ぎれば熱さを忘れる”で、痛みの記憶が薄れるに従い、アロエを食べる回数が減り、やがて食べることを止めてしまった。それから5年が経過したある日、胆石特有の激痛が再び私を襲った。

 痛みに苦しみながらも、流石に前回と同じ病院へ行くことは気が引け、別の病院を訪れ検査の結果、矢張り胆石と判明、またもや胆のうの摘出手術を宣告されてしまった。ところが、私は悪運が強いのか、その後は前回と全く同じ経過をたどり、三週間ほどで無事退院することができた。

 それからというものは、旅行に出かけたり、飲み会等で深夜帰宅等の例外を除き、毎日アロエの生葉を常食、約10年が経過したが、幸いにして今のところ再発の兆しはない。

 10年間アロエを常食した効果としては、胆石以外にも胃が丈夫になったことがあげられる。私は若い頃から胃が弱く、毎食後の胃薬を欠かせなかったが、アロエを飲み続けた結果、いつの頃からか胃薬を必要としなくなった。整腸を促進したり健胃効果があると思われる。

 アロエにはこれ以外にもいろいろと効能があるようだが、アロエを過大評価するのも禁物で、発病時には先ず医者の判断を仰ぎ、適切な投薬治療を受けることが肝要と思う。アロエはあくまでも補助薬・保健薬的に常用することをお勧めしたい。

我が家の保健薬

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