ヒキガエル
(蟾蜍・蟇蛙)

カエル目 ヒキガエル科
体  長 7〜15cm

レスリング大会?
 
 花の広場の集水桝の中で,ヒキガエルたちがレスリング大会をしているのを覗き見したことがある。茶色っぽい感じと薄紫色をしたヒキガエルの対抗試合のようで,身体の若干小さい茶色組が優勢なのか,ほとんどが薄紫色組のバックにまわって押さえ込んでいた。大会は夜遅くまで行われ,時にはカエルたちの歌声が,公園の近所のお宅まで聞こえてくることがあるという。この大会の後,池で産卵が行われるようだ。
2002.3.8
 
 
冬眠妨害
 
 観音崎自然博物館前の駐車場傍を,私と同じ団地に住むYさんが偶然通りかかった。手には大きなヒキガエルを持っている。横須賀中華街で元コック長をされていた方なので,てっきり中華料理の材料にされるのかと,声をかけお尋ねした。

 Yさんは数人のお仲間と観音崎周辺を散歩するのが日課で,この日たまたま横須賀美術館の建設工事現場付近でヒキガエルをみつけ,珍し物好きの私のためにわざわざ素手で持ち帰られたと言われる。中華料理の材料にするつもりは毛頭無かったようだ。

 ご厚意ありがたく,私も素手でうやうやしくヒキガエルを押しいただき,記念写真を数枚撮った。その姿はなかなか風格があり,昨年引退した大相撲の朝乃若関の仕切り姿に似て,どこかユーモラスなところもある。

 その後,Yさんのご了解をいただいて,ヒキガエルを博物館へ持ち込んだ。居合わせた研究員に飼育展示するかお尋ねしたところ,既に先客がいるので,折角だけど逃がして欲しいと言われた。

 ヒキガエルがいた横須賀美術館の建設工事現場は,昨年一月中旬,工事が開始されるまでは「走水園地」というサクラの名所で,中心部に大きな池があった。そこはカエルたちの住処であり,産卵場所であった。ところが工事によって池は消滅,カエルたちは行き場所を失ってしまった。

 ヒキガエルは池がなくても数年は生きていけると思うが,産卵場所が失われたため,横須賀美術館周辺のカエルたちはいずれ絶滅する運命にある。寒中,地上に現れたこのヒキガエルは恐らく冬眠中,工事の騒音のため安眠を妨げられ,ノコノコ起き出してきたのではないだろうか?
2006.1.24
 
 博物館で飼育展示することを断られたヒキガエルを,研究員のアドバイスに従い,博物館前の小さな池の傍の,日当たりの良い落ち葉が堆積した場所へ放してみた。自由の身になったヒキガエルは,脱兎?のごとく一目散に逃げ出し,軟らかそうな土の上にうずくまった。しばらくすると後ろ足で土を掘り始め,徐々に身体を土の中へ沈めていき,3〜4分もすると枯れ葉の下に埋もれてしまった。

 これから春になり,カエル達が冬眠から覚めると,横須賀美術館の裏道付近で行き場を失い,ウロチョロしているカエル達に出くわす機会も多いかと思われる。その時はぜひ捕まえて,公園内の池のある付近で放していただけたらと思う。
 
 
 
 
 
  
  
ヒキガエルの産卵
 
 花の広場の下の池でヒキガエルが無数の卵を産み落としていた。ヒキガエルの卵のかたまりはヒモ状で,長いものでは10mに達するものもあるという。中には1万個近い卵が入っているようだ。先に産卵して既にオタマジャクシになっているアカガエルの卵塊は,コブシのような形をしているので,区別は簡単にできる。
2006.3.4
 
 
 観音崎自然博物館前にある「水の広場」の池を覗くと,浅い水底に妙なものが目に入った。まるでナスカの地上絵のようにも見えるその物体はヒキガエルの卵だった。昨年1月,この付近にヒキガエルを一匹話したことがあるので,ヒョッとするとそのカエルが産卵したのかもしれない。
2007.2.27
 
   
 花の広場の下の池で,ヒキガエルが無数の卵を産み落としていた。ヒモ状の卵は小さな池の一画を埋め尽くすほどで,呆れるほど多い。その卵塊の周りでは,1ヶ月ほど前に産卵したアカガエルのオタマジャクシがチョロチョロと泳ぎ回っていた。
2009.2.8
    
 

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