ハクセキレイ
(白鶺鴒)



スズメ目  セキレイ科  留鳥
全長:21cm

 ハクセキレイは季節に関係なく,年間を通して見かけるチャンスが多い。私は以前,ハクセキレイを清流が流れる渓谷か水辺に棲む鳥と,勝手に思いこんでいたが,観音崎公園内は勿論,その周辺の市街地でも度々お目にかかる。一見スマートで華奢な鳥だが,結構たくましく,繁殖力は旺盛なようだ。開発により住みかを奪われ,数を減らしている野鳥が多い中で,都市化に順応した鳥と言える。

 ハクセキレイは比較的警戒心は薄く,人をあまり恐れない。昼間は群れることなく,単独でいることが多い。公園内を散歩していると,4〜5m位近づいても逃げようともしない。1m位まで接近すると,流石にチュチン,チュチンと鳴きながら波形を描いて飛び去るが,人の歩く7〜8m位前方に降り立ち,長い尾を上下に振りながら人の近づくのを待つ。そして,1m位までに接近すると再び飛び立つが,遠くへ飛び去ることはない。人の歩く先々に降り立ち,まるで道案内でもしてくれているようにみえる。

 ハクセキレイはセグロセキレイに似ているが,白い顔で目を横切る過眼線と呼ばれる黒い線が特徴。セグロセキレイは黒い顔に白い眉班が特徴だが,観音崎ではお目にかかったことがない。頭と体色の黒と灰色は,オスとメス,夏羽と冬羽,成鳥と幼鳥で微妙に異なるようだが,素人の私にはなかなか見分けることができない。

オスとメス? 親鳥と若鳥?
2007.7.1
 

2005.4.17
 

2005.4.17
 

2006.1.27
  

2006.1.27
  

若鳥  2007.7.8
  

幼鳥  2007.6.20
飛翔写真
 
 ハクセキレイは人なつこい鳥だが,その飛翔写真を撮るのは意外と難しい。飛び立つと波形を描いて飛ぶので,シャッタースピードの遅いデジカメでは,なかなか思うような写真が撮れないままに終わっている。
   

2005.9.28
  

2007.3.22
キセキレイ
 
 観音崎にはセキレイの仲間キセキレイが棲んでいるが,数は少なく滅多にお目にかかれない。姿形はハクセキレイに似ているが,白い部分が黄色いのが特徴。ハクセキレイに比べ警戒心が強く,7〜8m位まで近づくと飛び立ち,遠くへ飛び去ってしまう。
   

2007.11.25
  

2007.11.25
  

2002.3.17
幼鳥・若鳥はキセキレイに似ている
 
 ハクセキレイの幼鳥〜若鳥には,身体全体が若干黄色みを帯びているものがいる。遠目にはキセキレイ?と見紛うが,黄色があまり鮮明でないのと,過眼線が異なるので,よく見れば区別がつく。
  

2008.10.9
余   談
 
 セキレイの仲間の特徴に,長い尾を上下に振る動作がある。日本書紀にはセキレイ(にはくなぶり)が,イザナギノミコトとイザナミノミコトの陰陽神に男女の交合を教えたとの記述がある。尾を上下に振る動作からの連想だろうが,古人もなかなか想像力が逞しい。

 夏休みになると,観音崎自然博物館へは,各地からボランティアや学芸員実習の大学生がやって来る。時折,それらの学生達と展示用の植物採集に出かけるが,ハクセキレイに出会うと,男子学生だけの場合に限り,この話をすることにしている。

 その途端,学生達は大喜び,私との隔たりが一気に縮まり,親しげに話しかけてくるようになるから,効果は絶大なものがある。しかしながら,女子学生の場合はセクハラになる恐れがあるので,流石の私もこの話は控えることにしている。

観音崎の野鳥たちTOP   HOME