ゴイサギ
(五位鷺)



コウノトリ目  サギ科  留鳥
全長:57.5cm

 観音崎公園・ふれあいの森の近くにある廃屋のコナラが見事に紅葉していた。コナラの紅葉はモミジやハゼの紅葉ほど派手な美しさはないが,いぶし銀に似た渋い美しさがある。

 その紅葉の真ん中辺りに妙なものがあるのに気づいた。肉眼では定かではないが,デジカメでズームアップしてみると鳥のようだ。寒さのためか顔を胸毛の中に埋めているためハッキリしないが,アオサギに若干似ているものの,別の種のようだ。
2005.12.19
  
 暫く眺めていたが,一向に動く気配もなく,まるで剥製のように微動だにしない。しびれを切らし,場所を移動して別の角度から眺めてみると,もう一羽同じような姿をした鳥が木の上に留まっていた。

 その姿を写真に撮っていると,その一羽が私の方をチラッと盗み見た。どこかペンギンに似ている。観音崎にペンギンがいる筈もないが,体の大きさや色合いはペンギンそっくりだ。
  
  
 暫く眺めていたが,再び剥製状態に戻った鳥は動こうともしない。少し刺激を与えるため,悪いこととは知りながら,廃屋の周囲に張り巡らされた鉄条網が有刺鉄線でないのを幸い,その隙間から侵入し接近することにした。

 ところがその隙間が小さく,フィギュアスケートの浅田真央ちゃんのように身体の柔らかくない私は,思うように身体を丸められず,ガサゴソ音を立て四苦八苦。ふと鳥の方を見上げると,物音に気づいた一羽が逃げ出そうと身構えている。もう一羽の方も飛び立ちそうな雰囲気だ。私は慌てて侵入をあきらめ元の場所へ戻り,その姿を写真に撮った。どうやらゴイサギのようだ。
  
   

角度によってはペンギン似?
  
 ゴイサギは観音崎で過去に一度だけ見かけたことはあるが,このように近くで見るのは初めてのことだ。絶好のチャンスと二羽の写真を数枚撮り,落ち着いて見ると,更に一羽妙な鳥がいることに気づいた。フクロウに似た色模様の羽をしたその鳥は,目が鋭く,顔つきがあまりよろしくない。二羽とは雌雄の違いか,老鳥だろうか?鳥の専門家でない私には分からないが,とにもかくにも写真に撮り帰宅した。
  
  
 帰宅後,図鑑で確認してみると,ゴイサギは間違いなかったが,雌雄の違いか,老鳥だろうか?と考えた問題の鳥は,なんとゴイサギの幼鳥だった。普通,幼鳥はどこか可愛げのあるものだが,ゴイサギは例外のようだ。

 また,図鑑によればゴイサギは夜行性で,顔を胸毛に埋めていたのは寒さのためでなく,睡眠をしていたと思われる。その安眠を私は妨げたわけで,知らないこととは言いながら,気の毒なことをしたと反省している。
 ゴイサギのその後が気に掛かり,同じ場所へ行ってみると数が増えていた。下の写真に写っているのが9羽,少し離れた場所に1羽確認したが幼鳥の姿は見つからない。少なくとも10数羽で小さなコロニーを形成していると思われる。
2005.12.23
 
 
 久し振りにゴイサギのコロニーの前を通ると,成鳥と少し離れた木の枝に幼鳥が一羽止まっていた。そこは比較的人通りのある道路に近く,あまり安全な場所と言えないが,辺りを物珍しそうに眺めている。その姿は,初めて幼鳥を見た時とはだいぶ印象が異なり,クチバシや足の色は黄色みを帯びていかにも初々しい。目つきもどこか愛らしい。

 しかしながら,幼鳥の羽の色や縞模様は,成鳥に比べて野暮ったい地味な感じがする。どうやら保護色になっているようで,周辺の草木に良く溶け込んで,よほど注意してみないとその存在に気づかない雰囲気がある。

 成鳥に比べ警戒心が薄いのか7〜8m位に近づいても逃げようともしない。私は調子に乗って,カメラの画面からはみだしそうな大きな画像や,20枚近い写真を撮らせて貰った。暫くして,数羽のカラスがやってきて,幼鳥のそばでギャーギャー騒ぎ出したため,どこかへ飛んでいってしまったが,残念ながらその姿は撮り損なってしまった。
2006.1.9
 
  
  
 
 冬は日の暮れるのが早い。日が沈み薄暗くなった午後6時頃,鴨居小学校の前を流れる和田川沿いの歩道を歩いていると,川にそそぐ暗渠の出口付近に,何やらうごめく動物の気配を感じた。目を凝らしてよく見ると,ペンギンのような姿をした,比較的大きな鳥のようだ。

 鳥までの距離は約10m,フラッシュを焚いて撮影。帰宅後,パソコンに取りこんだ画像を,明るさやコントラストを調整してみるとゴイサギに似ている。念のため,野鳥に詳しい先輩ボランティアにメールで確認したところ,紛れもなくゴイサギで,次のようなコメントを頂戴した。「ゴイサギは夜型の鳥で昼はじっとして木などに止まっているのであまり見かけないと思います。夜,飛びながらグヮと鳴く声を聞きます。」
2011.1.3
 
 
 
 

PC加工後

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