フウトウカズラ
(風藤葛)


コショウ科  つる性常緑低木


 観音崎公園の各所でフウトウカズラが花盛りだ。花盛りと言っても,つる植物の仲間のヤマフジやスイカズラのように,美しくもなければ,匂いが良いわけでもない。

 花は3〜8cm前後の穂状で,花としては奇妙な形をしている。タブやスダジイ・エノキ等の大木にからまり,覆い被さるように咲くフウトウカズラの花には,どこか不気味な雰囲気すら漂っている。

 フウトウカズラは雌雄異株で,雄花は雌花に比べより長く,10cmを超えるものも珍しくない。葉はハート形で,雌株の葉はほぼ円形,雄株の葉は少し細長く楕円形に近いが,その先端は尖っている。
2005.6.8
 
雄 株
 

雄花
   
雌 株
 

雌花
フウトウカズラの実
 
 5〜6月にかけて咲いたフウトウカズラの花は,やがて緑色の実を結び,冬が近づくとオレンジ色に色づきはじめ,やがて徐々に赤くなり,色彩の乏しい冬の観音崎にヤブツバキと共に彩りを添えてくれる。

 フウトウカズラはコショウ科の仲間だが,香辛料のコショウがどんな木から採れるのか気になり,「コショウ」をキーワードに検索したところ,実や花がフウトウカズラそっくりなのに驚かされた。

 あまりにそっくりなので欲を出し,フウトウカズラの実が香辛料として使えるのではといろいろ調べみたが,どうやら似ているのは外観だけで,コショウの代わりにはならないことが判明,いささか拍子抜けした。
 

2008.10.27

2004.12.6

2002.3.31
つる性植物は邪魔者か?
 
 フウトウカズラ,テイカカズラ,キヅタ,ヤマフジ等のつる性植物は,自立しないでタブ,スダジイ,エノキ等の樹木にからまり生長繁茂する。その結果,時には自分がからまっている樹木を枯らしたり,陽射しを遮りなんとなく暗いイメージがある。このため,つる性植物を毛嫌いする人も多い。

 最近,観音崎公園内の各所で,大木のつる性植物がノコギリかナタのようなもので切断され,立ち枯れているのが目立つようになった。どうやら,つる性植物から樹木を守り,公園を明るくするため,ご本人は正義感のつもりで何者かが切断しているようだが,私には自然界のバランスを破壊する行為のように思えてならない。 
 

切断直後のフウトウカズラ

切断部

枯れ始めた葉

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