アライグマ
(洗熊)


哺乳綱食肉目  アライグマ科
頭 胴 長 42〜60cm
尾  長 20〜41cm
体  重 4〜10kg
住宅街に出現!
 夕食後の8時半過ぎ,空模様が気になり,家の前の道路へ出た。夜空を見上げていると,何やら視線を感じ,辺りを見回したところ小動物と視線があった。10mほど先の路上で,ジッとこちらを見つめている小動物がいる。最初は子犬か猫と思ったが,そうではなさそうだ。

 ヒョッとしてタヌキ?昔,この新興住宅地がみかん畑だった頃,タヌキやムジナが棲んでいたと聞いたことがある。事実,10数年前,知人宅で囲碁をしていた時,親子連れと思われるタヌキが白昼堂々と現れ,驚いたこともあった。ところがそのタヌキとも違うようだ。

 目のまわりから頬の辺りが黒く,フサフサとした長い大きな尻尾。アライグマだ!これまでアライグマの実物を見たことはないが,昔,テレビ放映された人気アニメ番組「あらいぐまラスカル」に登場した主人公のラスカルになんとなく似ている。

 慌てて家に入り,2階へ駆け上がり,カメラを片手に戻ったが,アライグマは姿を消していた。ガッカリして家へ戻りかけたところで,今度は頭上に視線を感じ見上げると,アライグマとバッチリ目があった。

 我が家前のお宅の庭から,こちらを見下ろすような姿で,ジッとこちらを見つめている。私に何か話したいことでもあるのだろうか?その姿がなかなか愛らしい。カメラを構えても動こうとしない。辺りは薄暗く,肉眼ではそれと判るが,ファインダや液晶画面では,姿が闇に紛れて確認できない。

 止むを得ず,フラッシュ撮影させて貰うことにした。シャッターボタンを押す,閃光が走る。当然,アライグマは驚いて逃げると思ったが,依然として同じ姿勢を保っていた。徐々に角度を変えながら5枚目の写真を撮ったところで,背後にある部屋の灯りが点いた。その途端,アライグマは驚いて姿を消してしまった。
2008.5.11
 
幼  獣
 観音崎公園・走水展望広場からふれあいの池へ通じる坂道を下っていると,目の前,約6〜7m先にネコのような小動物がいるのに気づいた。良く見るとネコよりもタヌキに似ている。私に気づいたのか顔を上げるとアライグマだった。

 慌ててカメラを構えたが,私に気づきながら逃げようともしないで,のんびりと何かの臭いをかいでいる。次に顔を上げた瞬間を撮ろうとしたが,私を無視するかのように,顔を下に向けたまま,のんびりと藪の中へ消えてしまった。

 その間,おそらく一分足らずの僅かな時間だったと思われるが,そのときの愛らしい雰囲気や写真から判断して,アライグマの幼獣と思われる。アライグマは幼獣の時は抱き上げたくなるほど実に愛らしいが,成獣になると凶暴で手に負えなくなるらしい。ご用心!ご用心!
 2012.10.24
 
 
 
アライグマは鳥?
 
 観音崎園地のバーベキューエリアで,家族連れが大きな木を見上げ,なにやら話が弾んでいた。近くに居合わせた女性に「何か居るんですか?」と尋ねたところ,大きな木の高いところにあいたウロ(樹洞)を指さし「アライグマが居るんです。」と言う。

 目を凝らしてしばらくウロを眺めていると,確かにアライグマらしき顔が現れた。アライグマは更に前足を出し,上半身を覗かせたが,下で見上げる人々の騒ぎが大きくなり,それに恐れをなしたのか,ウロの中に姿を隠してしまった。アライグマは鳥でも無いのに,地上から高さ5〜6mはあると思われるウロにどうして入り込んだのだろう?
2015.9.19
余   談
 アライグマの名前は,食物を水で洗うことに由来しているが,飼育下ではそのようなことをするものの,自然下ではそのような習性はないと言われている。日本でアライグマが知られるようになったのは30年位前,テレビで放映された「あらいぐまラスカル」の影響が大きい。

 「あらいぐまラスカル」に登場するアライグマは,いたずら者だが,愛らしく利口者。家族の一員として大切に扱われていた記憶がある。アライグマは北米原産。もともと日本には生息していなかったが,ラスカルの影響もあって,ペットとして輸入され一時期人気者となった。

 ところが,ペットとして飼われたアライグマが遺棄されたり,逃亡したものが野生化。近年,それが全国各地で増え過ぎて,農作物被害や野生在来種への脅威が増大している。特に三浦半島は生息密度が高いことで知られ,鎌倉市を中心に深刻な被害が出ていると聞く。

 アライグマは雑食性で,果実・農作物の他,魚類・鳥類の卵・両生類・昆虫類・甲殻類等々,多種多様のものを食べる。これなら住宅地でも食べ物に不自由しないで繁殖できるはずだ。

 最近,観音崎周辺地域でも目撃例や被害が発生。果実や農作物の被害の他,屋根裏に住みつかれ,悪臭・異臭に悩まされたり,池の錦鯉を食べられてしまった話なども聞く。タイワンリスやハクビシン同様,人間の身勝手で輸入された彼らが,増えすぎて悪者や害獣扱いされるとは,彼らの方が被害者なのかもしれない。

 尚,アライグマ・タイワンリス・ハクビシンの被害によりお困りの場合は,横須賀市役所農林水産課の「アライグマ・ハクビシン・タイワンリスの被害にお困りの方」へアクセスすると,詳しい対処法が掲載されています。

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