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バナナの林?

 観音崎にはバナナの林がある。場所はふれあいの森・果実の森の端,走水神社の裏山と水道局の水源地に隣接する出入り口付近にある。果実の森はミカン・ユズ・カキ・カリン・ウメ等々の果樹が,この1〜2年前から多数植栽され,5年後・10年後が楽しみな森であるが,バナナは数十年前からその場所に植えられてあったようである。

 何時,誰がその場所に植えたのか,公園協会や博物館の関係者数人に尋ねてみたが,誰もハッキリしたことはわからないと言う。森の近く走水に古くから住む,現役時代の先輩に電話で尋ねてみたが,バナナの林の存在すら知らなかった。林には高さ10mくらいの木が40〜50本もあるのに,何故その存在すらあまり知られていないのか,それには歴史的背景があるようである。

 観音崎は旧軍の要衝地帯として,明治初期から第二次世界大戦終了の昭和20年まで,一般人の立入が禁止されていたが,バナナの林のある付近は海岸から離れていて,地形的にも軍事上の価値が低かったことと,民有地と複雑に接する場所にあったことに起因すると思われる。

 バナナの林のある場所は,正式には国有地であったが,軍用地として活用されていなかったことと,民有地と交錯していたため,比較的立入も自由に出来たようで,戦中・戦後から,ふれあいの森が整備されるつい数年前まで,土地の人が畑地として耕作していたことは,周知の事実である。

 しかしながら,今となってはヤブの中で,誰かが名乗り出ない限り,このバナナの林が何時,誰が,どのような目的で植えたかは”永遠の謎”である。いずれにしても,これだけのバナナの林が,自然の状態で存在することは貴重なことと思われるので,本来は観音崎にない帰化植物を保護育成することは望ましいことではないが,この林は例外として,大切にして欲しいと願うのは,私の身勝手であろうか?

観音崎と言えば誰もが灯台を連想し,この地を訪れる人々の大半は,灯台と周辺の磯と園地に集中していて,バナナの林のある場所まで足を運ぶ人は稀であるが,ぜひ一度足を運んで,熱帯のジャングルの雰囲気を,ほんのチョッピリ味わってみては如何でしょう。2003年7月17日現在,バナナの木は花のような大きなツボミをつけているので,いずれ花開き,バナナが実るのではと期待している。 
2003.7.17現在
    

モデル嬢?の身長は156cm
  

交通:JR横須賀駅または京急・馬堀海岸駅から観音崎行きバス
「走水神社」下車が便利
  

2003.7.17

バナナの林について・私の仮説
 「バナナの林」を掲載するにあたり,インターネットで”バナナ”をキーワードに検索したところ,あるサイトの豆知識に“野生種のバナナには種があるとの記述を見つけた。瞬間,私の光り輝く頭の中に,強烈なインスピレーションが閃いた。

 以下は,バナナの林誕生の謎に関する私の仮説である。
 
第2次世界大戦中,台湾やフィリピン等の南方方面へ出征した兵士が,現地で野生種のバナナを食べ,種を見つけ,それを持ち帰り,国有地であった現在の場所へ密かに植えたのではないだろうか?

 その兵士が健在とすれば,80歳を過ぎていると思われるが,これまでの経緯からすれば名乗り出て貰うことは難しく,バナナの林誕生のいきさつは永遠の謎となる。

「バナナ」が「芭蕉」と判明!
 2003.8.24掲示板に,”いには野”さんから下記のようなコメントが寄せられた。

 
”バナナの林 残念ながら花をみるかぎりバナナでわありません。この植物は関東であればどこにでもごく普通にある植物で芭蕉でわないでしょうか、バナナと同じ種類ですが。”

 
私は木に「バナナ」と名札がついていた記憶があったので,これは一大事!と,走水神社側からの細道を辿り,バナナの林?へ行ってみると,確かに「バナナ」と名札がぶら下がっていた。

 家へ帰り図鑑や辞典で調べてみると,講談社「日本語大辞典」の芭蕉の欄には,私が見たとまったく同じような花の写真が掲載され,それを見ると観音崎公園のバナナは芭蕉と言うことになる。但し,辞典では高さ5mとあるが,観音崎のそれは私の目測では10m近く,控えめに見ても7〜8mはあるかと思われ,これがバナナと誤認する一因になったかと推定される。

 翌々日,博物館へ出かけ主幹研究員に相談すると,分厚い図鑑を広げ確認していただいた結果,いには野さんのご指摘通り,バナナは間違いで芭蕉であることが判明,早速「バナナ」の名札は取り外し,「芭蕉」という新しい名札を近日中に取り付けることになった。いには野さんありがとうございました。

    そこで一句!   細道を  辿り芭蕉に  巡り会い    蕪蕉
                     

 それにしても,何故バナナと誤認したのか定かではないが,主幹研究員から本物のバナナなら博物館の前庭に植えられていると教えられ,改めて眺めてみると,それは私がこれまで芭蕉だと思っていた高さ2mほどの若木で,ふれあいの森の芭蕉と比較するとあまりにも貧弱であるが,大きな葉の感じは素人目には区別がつかないほどよく似ている。
  
 

講談社「日本語大辞典」
  

博物館前庭のバナナ 高さ約2m
2003.9.22 新しい名札を確認!

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