ウ ミ ウ
(海鵜)


カツオドリ目 ウ科 留鳥
全長:約84cm

 観音崎自然博物館の隣にある展望園地からは浦賀水道を一望できるが,その展望園地に隣接する海上自衛隊観音崎警備所下に広がる磯の先端部に,ウミウが羽を休める岩場がある。警備所は普段立入が禁止されているため,近づく人も居ないこともあって,ウミウたちは安心して集まり,展望園地に設置された大型双眼鏡で眺めると常時20〜30羽が羽を休めている。

 春の大潮の干潮時になると,博物館下から警備所下の磯は沖合まで干上がり地続きとなる。そんなある日,磯の生物と海藻を探しながらウミウ休憩所のある岩場まで近づいてみた。岩場まで50mくらいの場所まで接近して,光学・デジタル合わせて27倍のウルトラズームで眺めてみると,ウミウ達は安心しきっているせいか,それぞれがおもいおもいのポーズで羽を休め,見ている方が呆れるほどまとまりがなくリラックスしていた。

 私はこれまでウミウは単に黒い鳥と思っていたが,パソコンに取りこんだウミウの画像を見ると,地味ではあるが以外と色彩が豊富なのに驚ろかされた。観音崎自然博物館の研究員にこのことをお尋ねしたところ,ウミウは幼鳥と成鳥・オスとメス・そして季節によっても微妙に色彩が変化し,そのためこのように色彩が異なっているとのことであった。
2003.4.21
  

満潮時の磯  はウミウが集う岩場

三羽ガラスならぬ三羽のウミウの幼鳥?
観察スポット
 
 冬の観音崎は冬鳥が多数飛来,落葉樹が葉を落とし雑草類が枯れていることもあって,バードウオッチングには最適のシーズンとなる。しかしながら,野鳥は非常に敏感で,初心者には簡単に見つけることが難しい。ところがウミウを間近に観察できるお薦めスポットがある。

 観音崎自然博物館から鴨居港に通じる観音崎通りの「観音崎大橋」がそれで,眼下に広がる岩礁で羽を休めるウミウ達を肉眼で観察することができる。晴れた日には沢山のウミウが群れ集い,潜水して魚を捕ったり,疲れると岩の上で昼寝をしたり,時には濡れた羽根を乾かすためか,翼を広げている様はなかなかユーモラスだ。

2003.11.26

2003.11.26

2003.11.26

2003.12.30
猿島から飛来
 ウミウは集団で営巣する習性があるが,観音崎には彼らのコロニーがないので,私はつい最近まで,彼らは城ヶ島のコロニーから飛来してくるものと思いこんでいた。ところが夕方5時頃,豪華客船「飛鳥」の写真を撮ろうと海岸園地で待ちかまえていたところ,5〜6羽のウミウの群れが巣に戻るためか,北西の方向に向かって飛んでいくのを見かけた。

 城ヶ島は南西の方向にあるので不思議に思っていると,次から次へとウミウの群れが北西の方向へ飛んで行く。私は昨年東京品川区立会川の「ボラちゃん騒動」を思い出した。立会川に異常発生したボラを狙って集まったカワウ達が観音崎へ飛来しているのでは?従って,彼らの巣は横浜か東京方面にあるのではと私は考えた。

 後日,観音崎自然博物館の研究員にその話をしたところ,私にとっては予想外の答えが返ってきた。「観音崎のウミウは猿島から飛来します。猿島にはウミウのコロニーがありますよ。」 ”灯台もと暗し”とはこのことで,地図で確認すると観音崎のほぼ北西方向に猿島があった。
2003.12.16
 
鵜呑み
 観音崎大橋の沖合には,ウミウやカワウが集まる岩礁地帯がある。周辺の海域で獲物を漁り,体が冷えたり疲れると岩場に上がり,日なたぼっこをする姿は何とも長閑で微笑ましい。そんな光景をノンビリ眺めていると,岩場近くの海面で一羽のウミウがバタバタ妙な動きをしているのに気づいた。橋の上からは50〜60m離れているので肉眼では定かで無いが,どうやら大きな獲物を捕らえたらしい。

 慌ててカメラを構えズームアップ,獲物はドチザメのようだ。ドチザメは最大全長が150cmになるサメ。磯で投げ釣りをしていると時々釣れるが,大きさはほとんど30cm前後。ウミウはそれを呑み込もうとしているが,ドチザメも必死に暴れて抵抗している。しかし数分後,急所を咬まれたのか急にグッタリ,ウミウはそれを頭から丸呑みにしてしまった。

 食べ物をあまりかまずに呑み込んだり,物事の真意・内容をを良く理解せず受け入れることを「鵜呑み」と言うが,人間だったら窒息してしまいそうなドチザメを丸呑みしてしまうとは!ウミウの喉は一体どんな構造をしているのだろう?その上,ドチザメの皮は鮫肌で紙ヤスリのようにザラザラしていて結構厚い。それを消化してしまう胃や腸も相当頑丈にできているに違いない。
2013.8.6

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