シ メ

スズメ目 アトリ科 冬鳥
全長:約18cm

 コブシの花が咲き始めた走水園地を歩いていると,チッチッチッチッとあまり聞き慣れない,鳥の鳴き声が聞こえてきた。鳥を驚かさないように抜き足差し足で近づくと,エノキの枝にスズメより少し大柄な鳥が止まっていた。鳥の視界に入らぬよう,榎の木に隠れるようにして更に近づくと,声の主はシメのオスであった。

 シメは夏に北海道で繁殖,晩秋に本州以南へ飛来,春先に再び北海道へ帰るアトリ科の冬鳥で,観音崎では数はそれほど多くないが,毎年7〜8回はお目にかかることができる。 
2004.3.6
オ   ス
          
 シメは単独で行動することが多く,これまで複数でいるのを見たことがない。比較的暗い場所を好み,常緑樹の茂る木陰やヤブの中で見かけることが多い。

 エノキの枝でさえずっていたシメは,来園者も少なく私がエノキに同化するようにしていたため,安心しきって枝から下り,地面に落ちている木の実を食べ始めた。

 安心して木の実を貪るように食べている姿を,私はシメシメとばかりに夢中になって写真に収めたが,家に帰って数えてみると50枚近くあったのには我ながら呆れた。

 しばらくして,犬を連れた来園者が近づいたため飛び去ってしまったが,シメが食べていた木の実を後で調べたところエノキの実であった。シメがあまりに美味しそうに食べていたのでかじってみたが,あまりにも堅く入れ歯の私にはとても噛み砕くことができないのには驚いた。

 シメはズングリとして頭が大きく太いクチバシが特徴で,目つきが鋭いこともありどこか凶暴な感じがして,お世辞にも可愛いとは言えないが,木の実を食べるシメの仕草は憎めないところもある。写真のシメは体色が濃く,顔つきが鋭いのでオスのようだ。
メ   ス
      
 建設中の横須賀美術館の裏道を歩いていると,目の前を一羽の鳥が横切り,飛び去った。大きさがスズメとムクドリの中間くらいの鳥で,ほんの瞬間だったが,クチバシが白っぽい感じがした。

 シメかもしれない?一昨年までは,一冬に7〜8回はお目にかかっていたが,昨年は一度も会わずに終わっていた。シメの世界に何かあったのでは?と心配していたが,今年は飛来したようだ。

 飛び去る姿を目で追いかけたところ,50〜60m先の木の枝に留まった。肉眼ではシメかどうか分からないので,デジカメでズームアップして見ると,ぼやけてはいるが,矢張りシメのようだ。

 何とか鮮明な写真を撮ろうと,抜き足差し足で接近しながら数枚の写真を撮り,15m位まで近づきカメラを構えたところ,傍をジョギング中のご夫婦が走りすぎたため,シメは驚き,何処かへ飛び去ってしまった。

 帰宅後,パソコンに取り込んだ画像は,ほとんどが手ぶれのためピンぼけであったが,一枚だけシメであることを確認できる画像があった。それを見ると,体色が淡く,顔つきも若干柔和な感じがするのでメスと思われる。
2007.1.29
 

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