ヘクソカズラ
(屁糞葛)



アカネ科  つる性多年草

 ヘクソカズラ が観音崎のあちこちで花盛りである。漢字で書くのを憚る気の毒な名前のつる植物で,講談社の日本語大辞典によれば,”全草に悪臭がある”と記載されている。

 物好きな私は,ヘクソカズラに近づきその臭いを嗅いでみたが,それほどの臭いを感じなかった。そこで,葉を採り指でもんでから再び臭いを嗅いでみたが,青臭い感じはしたものの,ヘクソカズラと命名されるほどの悪臭ではなかった。古人に比べ私の嗅覚はよほど鈍感なようである。

 ヘクソカズラの別名にサオトメバナがあるが,花の形が早乙女の笠に似ているところからつけられた名前のようで,私にはこの名前の方が,この愛らしい花に相応しいように思われる。できることならこの名前を正式名にしてあげたい。

 ヘクソカズラにはもう一つヤイトバナの別名がある。花の中央にある赤紫の部分が,お灸の跡に似ていることからつけられた名前のようだが,”ヤイト”は現在では死語に近く,その跡を見たことのある人は今では稀な存在と思われる。

 私は小学生の頃,今は亡き祖母の背中にあったお灸の跡を見たことがあるので,面白いネーミングをしたものだと納得するが,この別名はいずれ忘れ去られるに違いない。 
2004.8.6
  
  
  
ヘクソカズラの実
  

2004.1.15
ハマサオトメカズラ
(浜早乙女葛)
  
 観音崎の海岸周辺では,ヘクソカズラの海岸型「ハマサオトメカズラ」が見られる。花はヘクソカズラと見分けがつかないほどそっくりだが,葉が厚くて上面に光沢があるのが特徴で,海辺の厳しい環境に適応するため変化したようだ。
  

2011.8.2
  

2011.8.2

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